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取説ください2

 

 目が点になる私に、その辺に生えてた草を一掴み握りしめ、立ち上がった有理は尚も言う。


「あのね、これはおひたしにしたらおいしいんだって!まみーつくって!」


 キラキラお目目で握りしめた草を私に渡そうとしてくるが、私にはその異様に青い草はとてもじゃないけど美味しそうには見えない。

 ていうか、何?

 なんで有理がそんなこと知ってるの??


「ゆー、なんでそれが美味しいってわかるの?」


「えっとね、こえがきこえたんだよ。

  ナントカってなまえで、ゆでておひたしにしたらおいしいんだって!」


 えーーーー、、、


 なんじゃそれ。

 誰だよテキトーうちの可愛い有理に吹き込んだのは。

 明らかに毒々しい青じゃないか。

 絶対に毒あるってこれ。


 いやーな顔して受け取らない私に、有理がぷりぷりとしだす。


「はやくー。まみーゆーおなかへったよぅ」


 そりゃお腹は減ってるけど、ないわー。

 その毒々しい青い草食べるって、ないわー。


 そう思いながら、そもそもホンマに食えるんかい?と、有理の握りしめている青い草をじっと見つめてみると、突然、青い草がうすらぼんやり緑に縁取られて淡く光り、そこへ向けて小さな矢印がぴこぴことしていることに気づいた。


 うわー、これ、知ってる。

 アレかな。古きよき時代のRPGのいわゆる【調べる】とかかな。

 ええ、もうこれお馴染みのやつですよね。

 しかしどうやって選択したらいいのやら?と思って矢印に集中すると、出てきたよいわゆるコマンド画面みたいな、半透明のレイヤーみたいなのが。



青露草(アオツユソウ)】食用可 レア度F

 極僅かに体力を回復させる効果あり。

 磨り潰して汁を煮詰めて濃縮させると体力回復剤として使える。

 茹でてお浸しにして食べると美味く、腹持ちも良い。



 キタコレ。

 鑑定だ~。


 なるほど、私には慣れ親しんだ昔やってたRPGみたいに見えて、有理は文字がそんなに読めないから直接頭の中に語りかけられたってことかな。


 しかし、ホントに美味いんかな?

 明らかに毒々しいんだけど。

 つかどうやって茹でるんだよ~鍋も水も火も塩もないのに!


「わかった、ゆー、これは美味しい草みたいだね。

  よく見つけた!エライエライ!」


 頭をナデナデしながらとりあえずその草を受けとる。

 鍋も水も火もないけど、それはそれとして有理を誉める。


「ゆーエライ?えへへ~。」

 と照れる有理の何と可愛らしいこと!!!

 思わず抱きしめちゃう可愛さ!


 暫くかいぐりかいぐりして堪能したあと、せっかくだから有理と二人、周辺を鑑定して回る。

 あっちでこっちでと、何かよく見たらいろいろ光ってる。

 どうやら有理も光って見えるらしい。

 その辺は一緒なんだな~。


 片っ端から調べてみて判ったことは、大きく三つ。

 光の色と強さ。そして「これを調べたい」とかちゃんと思わないとダメで勝手には調べられない事。


 色については今のところは緑と白の2色で、植物系なのか有機物系は緑色、石や鉱物系か無機物系は白色。

 強さについてはこれはレア度が高ければ高いほど強く光るようで、今のところ青露草のレア度Fと、雑草とかのレア度ランク外、あとは一つだけレア度Eってキノコがあった。

 レア度がどんだけランク分けされてるのかはわからないけど、まあそんなんは正直今はどうでもいい。

 ざっくりと仕様がわかればそれでよし。


 有理とも情報を擦り合わせ、とりあえず最初に見つけた青露草を一束ね摘み、他にも食用可とあった草やキノコや実を一抱え分ほど摘み取る。


「まみー、いっぱいとったね!」

「だね~。大漁だ~!」


 そうやって笑い合い、さて、これで川でもあればな~。

 と回りを見渡すと、ある方向に矢印が向いている。


 おや?と矢印の方を見ると、またもや半透明のレイヤーが出てきた。


【至 タオ川】清流 飲用可


 キタコレ便利だな!調べる便利すぎだろ!

 いいのかこんなに便利で!


 と、思いつつ、ある意味、これスマホ使えたら当たり前に出来ることじゃんね。

 何かな?と思えばググればいいし、どこだ?と思えばマップを見ればいい。


 なんか納得行くような行かないような、でもこれ他の人も出来るんかな?とか、他に人っているのかな?とか、やっぱり気になるココハドコ?





  ―――――――――――――まぁいいか。


 どちらにしろ、ネットは使えないんだから便利なことに変わりはない。

 そして、便利なことに不満はない!

 ってことで、川がある方へ行ってみることにした。

 だって喉乾いたし~。茹でてお浸しにして食べたいし~!腹減った!!


「ゆー、あっちに川があるんだって。行ってみようか?」

 手を差し出しながら言うと、お手てつないでにっこり笑う。

「うん、いくー」

 潰れにくそうなものは斜め掛けバッグや有理の保育園カバンに詰めて、あとは片手に抱えつつ手をつないで川の方へ向かって歩きだした。





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