質疑応答の結果と禁書発見の報告
その日の晩、俺は例の明晰夢の中でグーシオンと相対していた。
ここでは威圧感が伝わりにくいのか、動けないといった事は起きていない。
早速の質問タイムと行こうかと意気込んで発言しようとしたら、機先を制されてしまった。
「聞きたいことは分かっている。慌てなくとも教示しよう」
それからは試練そっちのけで質疑応答が行われ、俺たちが抱いた疑問や不安は解消された。
・最強の悪魔とは、概念その物が疑似的に受肉した存在であり、基本的には人類に危害を加える事はできない。ただし、同じく概念的な攻撃方法を確立した者が現れた場合はこの限りではない。
・サタナキアについては、配下の魔神であり、交戦する事は好ましくはないがサリアの仇という事情がある以上は討伐したとしても不問とする。
要約するとこの通りの回答があった訳だが、とりわけ安心したのは最強の悪魔に関してだ。
つまりはコチラがそいつを倒しうる技を手に入れない限りは戦闘にはなり得ないという事なんだろう。
攻性概念なんて習得する方法すら想像できない。
とは言えあくまでも『基本的には』であって絶対ではない。
油断はするべきではないと思われるな。
サタナキアに関しては、基本何があっても交戦するつもりで居たので言質を取れたのは大きい。
まぁ、グーシオンが最高責任者とは言えないかも知れないのでコチラも油断はできない。
この辺りの話をしていた為に、試練は行う時間的な猶予が無くなってしまった。
夜明けである。
明晩の試練を約束して、遠くなる意識に身を任せた。
目覚めてすぐに聞いた話を全員に語って聞かせ、再び迷宮へ。
・・・失敗したな。
禁書についても聞いておくべきだった。
禁書なんて言われる位だから、もしかしたらかなり危険な何かがあるのかも知れない。
どうせすぐには見つからないだろうし、今夜グーシオンに聞けば良いか…。
とか思っていると、探し物が見つかったりするのは一体何なのだろうか??
サヤマが倒したアークデーモンが不気味に脈動する表紙の本を持っていた。
血管のような何かが表紙全体を這っていて、脈打っているし、そもそも表紙自体が焼け爛れた皮膚のような質感である。
サヤマはあんな物を持って平気なのだろうか?
・・・平気なんだろうな・・・目がキラッキラしてるもん。
呪われたりはしない様なので俺も持たせてもらったが、どうしても本を開けない。
まるで俺を拒むかのようにビクともしない・・・皆がやってもダメだった事を考えると、俺たちにはこの本を開く資格が無いという事なのだろう。
その資格があるのはどうやらサヤマだけのようだ。
少し悔しいと思ったのは秘密である。
サヤマは待ちきれない様子でソワソワしていたが、ここで開くのは危険だ。
周囲は魔物の巣窟だ。
安全地帯に到達するまでは我慢してもらうしかない。
そう説得して先に進むと、件の安全地帯が見えてきた。
その前に魔物の群れが居るのも見えてきたが。
記載していなかったが、俺たちが現在居る階層は第3階層だ。
それ故に戦闘は少しばかり厳しい・・・と言うよりは面倒なだけか?
物理に強い耐性があったり、魔法への耐性が強かったりとやたらと面倒な敵構成になっているのだ。
第3階層でこんなにメンドクサイのでは次はどれだけの無理難題をこなさなくてはならないのかとゲンナリしてくる。
リプスとサリアがそれぞれ敵を相手取り、苛烈に攻撃を加えていく。
数体の魔物がサリアに接近するが、リプスのライフルが火を噴いて魔物を蜂の巣に変える。
サリアが半歩下がって魔物の爪を躱した時に、サヤマが火属性魔法を撃ちこむ。
そこに、背後に回っていた俺がアゾットを突き刺すと魔物は力なく倒れ込んだ。
その間にもリプスのサブマシンガンがその他の魔物達を血だるまに変えていき、サヤマの全体魔法で沈む。
魔法が聞かなかった奴は、俺とサリアがサクッと刻んで置くのがいつものパターンだ。
これで戦闘終了・・・俺たちは速やかに安全地帯へと入り込んだ。




