変わらぬ朝 【400字原稿用紙1枚】ショートショート
毎朝この時間に目が覚める。
何年も同じ時間に目が覚めるとは、体の慣れというものは恐ろしい。
左目だけをちらりと開け辺りを見廻す。
いつもと変わらない朝。
カミさんが朝食を鼻歌交じりで作っているのが聞こえてくる。
「―――。」
フライパンの淵で焦げる醤油の音と香りが、二階にゆっくり舞い上がってきた。
「……今日は魚か」軽く一伸びし、足早に階段を降りた。
「おはよー」「―――。」調理に夢中でこちらに気が付いていない。
まだ、朝飯には早そうだったので、そのまま居間を抜けて縁側に出た。
庭は天然芝で手入れされ、十五平米はあるであろう和洋折衷な近未来モダン庭園。
裸足でそのまま庭に出れる事が何よりも最高な事だ。
しかし最近、腰の調子が良くないからか足つきが重い。
軽く庭で体を動かし始めるとちょうど、
朝食の支度が整い居間のほうからおカミさんがオレを呼んだ。
「タマー、ごはんよー」