第二話 学校生活って、たまに怖い。
いやぁ、とりあえず2話までは出しますね。
残りのはストックとして……ピンチの時に……うん。
ヤンデレは好きかな? 諸君。
俺はとてつもなく好きだ。むしろ俺が病んでいるといってもいい。
それくらい好きだ。好きだが……やっぱり怖い。
や、だって包丁振ってきたりするんだぜ? 怖いじゃ済まされねェよ普通は。
焦ると正直に言ってしまう俺は、ついついリアルヤンデレにカワエエとかほざいちまい、逃げてきた。や、そんな一言で惚れられるとか、自意識過剰なことは言わない。でも、結構休んでいた子がその病んでる子で、しかも学校に登校してきたんだぜ? 偶然、という可能性もあるが……。
というより、ターゲットの邪魔者として葬られそうなんだが……理由が分からないまま。
という訳で、俺は今、普通の人が流しちゃいけないくらいの冷汗を流しています。
「はっちゃん……」
「どうしたん? 遂に俺らもリア充になれるチャンスだぜ?」
「俺、死んだわ」
「……はい?」
とても不思議そうな顔をするはっちゃん。いやまあ、俺も急にこんなこと言われたらそんな顔をするだろうけど、マジでヤバイ。
そんなことを考えていると先生がう~んと唸りながら周りを見渡していた。そして、俺を見て「うむ」と呟きつつ、頷いた。あれ? 嫌な予感が……
「うむ、そういえば、政田の席の隣だったな」
「そうでしたぁぁあああああああああああ!!(小声)」
「おい、ホントガチでどうしたよ? いつもだったら血涙流すほど嬉しい事じゃん?」
「それが今朝襲われた相手でも?」
「むしろそんな経験している奴は幸せだから死ぬべきだ。」
俺に死ねと言うのですか? 確かに相手にもされない男達である俺らにとって、美少女に襲われるのは…いや、これも結構不幸だぜ?
それに気付いた俺は、隣に居るはっちゃんに哀れな目で見るという、地味すぎるがちょいちょい精神的にダメージを与える攻撃をした。しかし、はっちゃんはそれを左から右へと受け流した。チクショウ!
そうこうしている内に、橋本さんは、あと少しで俺の隣に来るくらいまで近づいてきた。俺はその間に遺書を殴り書くという行動に出る。チクショウ! はっちゃん、お前を殴りたかったが、いい奴だったぜバカ野郎! これを読んでいる時にゃあ俺はいないだろうががんば―――
「……おはよう……吉延くん……」
「……オ、オハヨウ! オレハキョウモゲンキイッパイダゼ!」
「おーい、どうした吉さん」
油を差してない人形のように視線をそっちにやると、目に光が無い彼女が俺に微笑んでいた。クソゥ!かわいいじゃんかぁ!俺はその笑みを眩しいように見ていた。が、同時にちらちらと鞄を見ていた。あの中に例の包丁が入っているのだ。
が、彼女はそのまま恥ずかしそうに俺の隣の席へと向かったのだ。あれ? これはもしかして生きてここにいることが出来るんじゃないのだろうか? と希望を持ちながら、ちらちらと彼女を監視した。
「吉さん、あんたいっぺん死んでみる?」
「冗談だったとしても言うの禁止だ。」
「あり? 吉さん、何でそんなにツッコミが冷たいん? は、まさかそれほど彼女を凝視したいのか! そうかそうか…うらやまけしからん!」
「いてぇ!」
「そこ、五月蠅いぞ~」
はっちゃんが俺を攻撃した! どうやら俺が彼女を見つめ続けられる、今の状況に妬んだそうだ。先生はいつもの事だ、と思っているのか(とても心外である)呆れた声で注意してきた。
そしてまた先生が続きを言い始めようとしたその時、彼女が席を立った! え? 何々? 何なんだ! 俺の心は最も悪いテンションによって潰れてしまいそうになる。彼女はゆっくり俺の隣のはっちゃんの方へと……は、はっちゃん?
「お、おい? 橋本、席に戻りなさい」
「……ねぇ、春風さん……少し、おいたが過ぎるんじゃないのでしょうか……?」
「へ? なんぞ? あ、どもども! 俺は春風s
「橋本さん! さあ早く席に戻りましょう! 今すぐに! 先生も困るし俺らも困るしな! な?」
「……うん、分かった……」
は~~~~っちゃ~~~~~ん! 何で空気よまないんだよ? そこまでしてフラグを建てる第一歩である面と向かって自己紹介をするのがしたいのか! 分かるけど止めて! 彼女は今、お前をターゲットにしていたんだぞ! 勿論殺す方のな! 鞄の中に手を入れた時に俺が止めて正解だったよ! と内心ビクビクしながら呟いて、新聞に乗るかもしれないほどの流血沙汰事件を未然に防いだ事に誇りを持つ。ああ、俺、将来英雄になるんだ……。
彼女は先生に一礼して自分の席に戻り、そのまま大人しくしていた。はぁぁぁああ……良かったぜ……。ん? だが待てよ? 今の反応からして、俺の事が……? え、それやったらどうしよう! リア充? 俺、リア充になれるんけ? よっしゃあああああああry と考えたが、まだ分からない域だ。もう少し監視をしておかないといけないだろう。
そんなこんなでその後、HRは無事に終わり、長い戦いが終わった戦士の如く机に突っ伏した。どうやら俺は長期間、メインシステムを警戒モードに移行していたようだ。
一時限目までまだ少し時間がある。そう思った時だ、彼女の方に一杯人が集まってきた。転校生ではないが、いろいろ事情があったため長いこと休んでいたのだ。こうして集まるのは仕方ない。よく見ると【悲しみの㊚達】No.1259876番 赤司 須賀人がいた。こいつも残念ないけめんである。
「ねぇ、橋本さんって【ンズキュゥウウウウンン】だったりする?」
『サイテー!』『バカじゃないの?』『死ねば?』
……そ、彼は紳士なのである。皆までは言うな……。彼女は困った顔をして、キョロキョロ顔をあっちへこっちへ向けていた。おいおい、スーさん、それ聞いちゃうから残念ないけめんになるんだよ……。変態系のイケメン……需要なさそうだ。
そんなことを考えていると、とある女生徒がその中を割って入った。
「あ~、も~、赤司! あんたはどっかに行きなさい!」
「え~……弓ちゃん、今日は何色のパン―――
「おおぉ! 流れるように綺麗な蹴りが赤司の頭部に!」
「おい、赤司! 返事をしろ! 赤司ぃぃいい!」
「赤司ェ……」
入ってきたのは弓ちゃんこと花見 弓である。彼女は女子空手部主将で、赤司等の紳士を消すための組織である【変態紳士撲滅隊】の突撃部隊のトップであられるのだ。
そんな彼女は優しい性格で、真面目ながらも少しふまじめな部分もある(そこが良いのだとか)らしい。スポーツマンとしての美を持った美少女だ。
しかしまぁ、彼女にまたしても赤司は変態トークを持ちかけやがった。彼女にその行為をするのは死亡フラグだと分かっているはずだったのに……バカめ。
しかし、赤司はそれを用いて聞くことにより【悲しみの㊚達】に情報を提供できるのだ。特に初めて会う人にはココまで腐っているなんて思われない美貌を持っているのだ。
呆れながらその光景を眺めていると、隣のはっちゃんが俺の肩を叩いてきた。
「どうしたんだ?」
「今日の分の弁当、今渡しとこうか?」
「ははははは! 何のことだろねェ!」
俺の鞄には弁当はない。食材が今日は無かったのだ。そのため、はっちゃんに作っといてもらったが何か嫌な予感がしたため、俺はとぼけることにした。
はっちゃんは頭にクエスチョンマークを浮かべながら「あれれ~? おっかしいぞぉ~?」と呟いて頭を掻く。ごめんよはっちゃん。今その話題をすると俺かはっちゃんが死ぬかもしれないんだ。しかも、その時ははっちゃんと俺はBでLな関係だと勘違いされて……という理由に変わり、俺らは何らかの誤解を招いたまま死ぬかもしれないんだ。
まぁ、考え過ぎかな? と思いつつ、ふと、彼女の方を見てみるぁぁああああああ! 見てる! 何か笑ってらっしゃるこえぇぇ! そしてスイッと俺から恥ずかしそうに目を逸らして他の人と話し始めた。あぶねぇ……しかし、今の反応で分かった。俺、リア充になれるチャンスがある! だが、同時におびえなくてはならない日々が始まることも予測できる。つまり、結局俺の人生は積んでいるのだ。ははは……。
しかし、予想外なことに、結局何も起こされず、平和的にお昼ごはんの時間を迎えることが出来た。二時限目と三時限目の間に、彼女は友達が出来たのかと思い、ふと見てみた。すると彼女の隣には弓ちゃんがいた。……どうやら、先ほどの事で彼女と友達になれたのだと思われる。仲良く談笑中だ。笑い合ってる彼女はとても可愛かったぜこん畜生!
んで、今はっちゃんと屋上で弁当食べようと思っているんだが……そこで、はっちゃんが何かに怯えているように俺に聞いてきた。
「な、なあ吉さん……」
「ん? どうしたんだ?」
「……橋本さんに襲われてたって言ってたじゃん?」
「あ、ああ。それがどうした?」
「……もしかして、ストーカー……じゃね?橋本さん」
はっちゃんが意を決して聞いてきた。だがなはっちゃん、そいつはストーカーじゃねェ……俺の経験上、そいつはもっとたちの悪い、ヤンデレだと思うぜ? 経験三ヶ月でゲームであるけど……
が、本人が近いので言えるはずがなかった。ので、とりあえず理由を聞いてみることにした。
「……何でそう思ったし?」
「……彼女の机に近付いた時、少し見えたんだ……『吉延君観察記録♡』が……!」
「なにそれ超恐ぇぇぇええええええええ!(小声)」
「しかも細かい動きでさえ書いてある…例えば、呼吸数」
「ゑ!?」
「他に…ペン回しの成功数、失敗数、連続何回出来たかも……」
「あばばばばばばばばばばばっばっばばばば!?」
え、ちょ、マジで? え、呼吸数えてんの? ペン回しも? 先生の受け答え出来てたよ? 橋本さんスゲぇぇええけど恐ぇぇえええええええ! 俺に安らげる時間はあるのですか! 無いんですか! クソ! 今晩はカーテンをしっかり閉めて寝ねェと何か視線感じながら寝ることに!
そこまで考えていた時、ポンっと俺の肩にはっちゃんは手を置いてくれた。何だよ、はっちゃん……。
「どんまい」
「クソゥ!」
「……ねぇ?」
『What!』
橋本さんが、話しかけてきた。相変わらず目に光がない。先ほどまで談笑していた君はどこへ? そんなことを考えていると彼女はこう切り出した。
「……あの……屋上で、お弁当食べませんか……?」
クソ、周りの男たちの視線が痛い……! まさか彼らの敵になるとは……!
俺ら二人に味方はいなかった……。そのため彼女のお話を断ることは、出来ない。可愛い。だが、とても怖い彼女の誘う場は、俺たちが向かおうと考えていた場所であった。クソぅ! 何でもかかってこいよぉ! ……あ、でも、血が出ない方向でお願いします……。
誤字脱字誤文誤った表現などありましたら連絡をください!
今年もよろしくお願いします。