序章
今回はあらすじにある主人公のある事件を書きました。第0話みたいなかんじなんでそこんとこよろしくお願いします。
『どうしてこんな事になっちまったんだ』
まわりは真っ赤。
燃えさかる炎の赤か、血の色か。
あたりは人の死骸でいっぱいになっている。
それらの真ん中には銃を持ち狂ったように笑う『奴』。
それに向かって銃を向けて立っている俺。
(どうしてこんな事になっちまったんだ)
頭の中で何度もこの言葉が響く。
「くっくっくっくっ、はっはっはっはっ。楽しいなぁ!はっはっはっ!どいつもこいつも面白くねぇ!さて次は何をするかなぁ!」
『奴』が叫ぶ。
『奴』はまた血を流す気だ。
今『奴』を止められるのは俺しかいない。
そう、俺しか止められない。
そのはずなのに引き金が弾けない。
手が震えている。
「そうか…まだお前がいたか」
『奴』が俺に気づき、俺と向かい合う。
『奴』が両手をあげた。
「ほら。撃ってみろよ。早く俺を殺してみろよ」
「くっ…」
そうだ。
撃つんだ。
そうすれば全てが終わる。
こんな惨劇をもう一度『奴』に繰り返させるわけにはいかない。
撃て。
撃て。
撃て。
撃て!
..........................。
なんでだ。なんで引き金がひけないんだ!
しばらくの静寂のあと、『奴』が苛立った顔になった。
「そうか…撃てないのか。悲しいな。とても悲しいよ。まだ俺にこんな世界を生きろってのかい。好い加減にしろよ!お前が俺を殺さないのなら、俺がお前を殺す。お前が俺の代わりに死んでくれる。そうして、俺はお前の代わりに生きる。そうすれば俺は苦しまずして、生きていける。そうだ。それがいい。それが一番だ!そのためにはお前は不要だ。だから、そう、だからこそ!俺のために死んでくれ!」
『奴』はそう言って、俺に銃を向けてきた。
不安、焦り、恐怖。
これが頭の中でぐちゃぐちゃに混ざっている。
その頭の中で『奴』の言葉を理解するのはほぼ無理だった。
ただ分かる事は、『奴』が俺を殺そうとしている事。
『奴』を止められるのは俺しかいないのに、その俺が死ぬ事は許されない。
だから撃つしかない。
だけど撃てない。
俺の師であり、俺の憧れであり、俺の目標であり、俺の最初の友である『奴』を撃てるはずがない。
頭では分かっていても、体が撃つこと自体を拒んでいる。
『奴』に銃口をむけると、手が震える。
「カウントダウン。10、9、8」
『奴』の言っていることがすぐに理解できた。
このカウントダウンは俺が『奴』を撃つか、俺が『奴』に撃たれるかを俺が選択するためのカウントダウン。
「7、6、5、4、3」
もう時間がない。
撃つしかない。
「2」
『奴』の銃口をさだめようとするが、手が震えてうまくさだまらない。
「1」
「くっ…くっそぉぉぉぉぉ!」
「0」
銃声の音が二回聞こえた。
そう、俺は引き金を引いた。
なんで引いたのかは分からない。
死への恐怖か、友への思いか、怒りか。
俺は引き金を引いた時、目を瞑ってしまった。
その目をゆっくりと開いた。
そこには『奴』が倒れていた。
頑張ってかいていきます。感想できればお願いします。