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好きにしろ(仮)外伝:神剣の舞手  作者: やー
漢達の宴――謡え、野郎共の狂詩曲
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ニトロスペシャル☆

総評、ニトロっていいよね。

「おい水純、手前如何いう事だ!?」

「貴方達が先生の友人と聞いた瞬間に思いついたのです。貴方方に重要な事を何も伝えずに適当に泳がせておけばこの通り、僕と先生だけでこの砦を大暴れして弱体化した後で情報屋に流してあれこれして壊滅させると言う計画が全部おじゃん、いやあ最高ですね」

「なん、だと……!? つーか俺らいないほうがもっと悪いじゃねーか!」

「ええ、その辺りは本気で助かりました」

 格摩と武旋は、水純から聞いた彼ら本来の計画を聞いて愕然とする。

「先生自身はカオスを好む性格。故にこの様なくそめんどい手段と方法で世界を回すことを思いついたのです。いやまじホントしねあの教師。ですので貴方がたを適当に放置しておけばこういったことをやらかしてくれると信じていました。ええ、本当に、先生のあの怒声が聞こえただけで僕は最高に満足です……では後の処理お任せします。僕は適当に読書してますので」

 そう言って水純は部屋の隅に向かって座り込み、本を読み始めた。その様子に呆気に取られていると異臭がして格摩は即座に飛び退く。

「いやおい待てこら手前!?」

「今の俺は我慢弱い……堪忍袋の緒なら、当の昔に切れているッ!」

「いや一寸待て、色々待て!? つか今の明らかに強力な酸じゃ」

「いいねえいいねえ、抱きしめたいなあ格摩ァッッ!!」

 叫んで投げたのは幾つものフラスコ瓶、格摩も周囲の人間も中身を理解したのか一斉にその場を避け、投げられたそれは床に激突するすると爆発を起こし。

「マジであぶねえ!? っつか一寸落ち着け! 話を聞け、短絡的になるのは速いぞ!?」

「話を聞けだと? お前の望みどおり勝負してやろうッてんだ、今更そんな事を言い出すとはナンセンスだなッ!」

 その爆発から逃れながら説得を試みるが、そもそも数貴は聞く耳さえ持っていなかった。よって、その返答は。

「こいつはまだ取っておく予定だったが、そこまで遊んで欲しいなら全力でやらせてもらうッ!」

 大量のフラスコ瓶と、術式による弾丸のように濃縮された水の弾丸、砦の部屋中が破壊されて行き果てには壁一つが熔解する。

「ま、待て、砦の壁が解けて……おい、おいおい、今お前強酸を生成して魔法を」

「どんなに状況だろうと、今の俺は――阿修羅さえも凌駕する男だッ! 手前ら馬鹿タレどもを蹴散らす為の秘策、惜しまず使ってやるよッ!」

 数貴の位置は対して動いては居ないが術式の展開と、牽制と言わんばかりにフラスコ瓶を投げ付けていく。

「愛を超え、憎しみをも超越し、これぞ名付けてッ!」

 しかし、術式によって投げられたフラスコの中身が変色して地面に激突すると同時に爆発し、爆発は連続して動き回り、より巨大化していき。

「数貴式ニトロマイン・阿修羅スペシャルッッ!!」

「もう何言ってるかわか」

 格摩に迫った瞬間、一気に部屋中を爆炎で埋め尽くされた。砦の部屋は既に倒壊、いや寧ろ熔解して異臭を撒き散らし、それどころか色取り取りの煙が立ち上っている。武旋やビリーたちは爆発に巻かれながら慌てて部屋の外へと退避に成功する。

「あの野郎、見境なさ過ぎだろうが!? 怒り狂いすぎだろう!」

「いえ、先生が本気で怒る時はどっちかと言うと黙り込みます。ああして叫んで怒鳴り散らしてストレス発散しているだけでしょう」

 と、水純が静かに答える。

 見れば水純は初期の位置から一切動いておらず、ずっと読書に集中していてしかも無傷で干渉を受けていない。部屋中が爆発しようとも、水純だけは無事であった。理由を単純に言えば、元々このようになるのは彼からすれば簡単に予想が付く話であり問われるほうが不思議なほどなのだ。

「おい、格摩ぁっ!?」

「お兄さん、無事か!?」

 武旋とユージはその虹のような煙幕に声をかける。しかし、反応はなく瓦礫が崩れる音と更なる爆音と岩が立てて溶けていく嫌な音が立つ。

「っくそ、なんじゃこりゃ、降って来たのは熱湯か? 溶ける様にあつ……いや、これ、酸か?」

 その煙幕から格摩の声が漏れる。晴れていく煙の中、溶けて爛れた服を纏った格摩が見えて来た。何故かふら付いていて前が定まっていない。まるで、酔っ払っているかのような。

「くそ、数貴式スペシャル阿修羅って何だよ、っつか砦を吹っ飛ばすなって」

「続いて、アンドリバースッッ!!」

 更に続く試験管が幾つか投げ込まれて地面に激突して割れ中身が床に漏れていく。

「アンドリバース? いやだから意味が」

 言いかけて、格摩はその匂いを感知して思わず口と鼻を塞いで蹲った。まるで、吐き気を催してるかのように。

「数貴式ニトロマイン・阿修羅スペシャル」

 煙の中、静かに数貴は格摩の前に現れる。

「俺が即興でてきとーに作った名前で、本来の名はマジカルアルケミック。お前ならこの名前に聞き覚えがあるだろ」

「数貴、手前」

 声をかけられた数貴はさっきとは打って変わった暗い表情で格摩の前に歩み出る。

「そう、水属性魔法中級技術こと水質変化を利用した術式による危険な薬品で攻撃する俺の一番目の切り札だ。だが、今のは昔お前らとつるんでいた頃よりももっと性能を、主に非対人系に強化したものだ……今まではニトロや酸しか使えなかったがもっと有毒物質の生成に成功したから、余計に威力を跳ね上げてある」

「いや、お前、今、非対人って」

「ああ。言ったよ、非対人。だから、もう人にかける事は想定していないレベルの有毒物質を混ぜてある。お前、目の前が定まってないしフラフラだろ? 理由か、この色の付いた煙……全うな物に見えるか?」

 数貴は言って、今だ晴れぬ色取り取りな虹色の煙幕に目を向ける。格摩は徐々に体中を震わせながら立ち上がろうとするが。

「当然のように、気化したこいつを吸えば神経がイカれて全うに立つ事は出来なくなる……よく、立てるなあ格摩君?」

 足がもつれ、崩れそうになって奇妙な格好でしゃがむのが精一杯な格摩を数貴が最高にあくどい笑顔で見下ろしていた。

「……アンドリバースってのは!?」

「匂いを嗅げば一発で分かる……いい感じで最後に食ったもんあらいざらい出だせるだろ?」

「そっちのリバースゥヴッ!?」

「おうよ。人間の嫌がる刺激臭の研究には梃子摺ったわー」

 そう言って数貴は格摩の頭に水の弾丸を撃ち込み、彼はあっさりと地面に倒れこんだ。

「って、おいお前!?」

「んで、次に始末するべき馬鹿は……」

 と、数貴が目線を逸らすとビリーと氷牙は即座に土下座をしていて。

「いねえか。しゃーない、水純状況終了だ、合流して適当に暴れるぞー」

「了解です」

 言って、水純は本を閉じて立ち上がった。数貴を指を鳴らし、砦の部屋を蝕むなぞの液体を無害な物へと変換し。

「お前、もう、いいのか?」

「ああ、お兄さん。まあ、別にそこまで怒ってませんし軽くイラっときたんで格摩君簿懲りましたが概ね平気です。さて、次はどうするか」

 ニトロといえばバンディクーです。ゲーム会社なんて知りませんんじゃまた。

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