青春を壊された子供達
まず第一に、目の前の状況はなんだろう。
敵兵が数人、間違えようも無く唯の新兵それもドも付く素人。構えの何もかもがもう駄目だと認識する。それに向けて器用に一人4、5発のサブマシンガンの銃弾を打ち込んだ。
(いや、如何考えてもリボルバーに変えるべきだろこれ。サブで全段直とかふつーに無理だろおい)
ユージは走りながら口でぼそぼそ漏らしながら倒れる敵兵を無視して走り抜ける。そして廊下を走り抜ける刹那、三箇所に目を向ける。
(前の部屋にあからさまにトラップ、そして両脇に部屋。ああつまり敵が大量に詰まってると)
しかしその刹那を遠慮なく駆け抜けて部屋に入る直前、床に皹を入れる勢いで跳躍し。
「いぃッ!?」
その下、敷かれたC4を見て更に戦慄してサブマシンガンを撃ち。
「だっよなあ兄弟ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃッッ!!」
ピッとA-7はボタンを押し、ユージの足元が爆発して粉塵が舞いそれでも構わずサブマシンガンを撃ちまくりボストンバッグからグレネードランチャーを取り出して。
同時にA-7はアサルトライフルの引き金を引き絞り、もう片手で同じくグレネードランチャーを撃ち出す。
ユージは爆発に巻かれながらもサブマシンガンを撃ちまくりのロケットランチャーを走りながら撃ち。
A-7も直ぐにグレネードの弾を撃ちつくすともう一丁のアサルトライフルを取り出して迫るユージに立ち向かって二人は同時に互いの銃口を向けあい立ち止まる。
「開幕C4はない」
「人にスティンガー撃った奴の台詞じゃねえよ」
言い合ってお互いの距離を取りながら銃を、ではなく手榴弾を投げあいロケットランチャーを打ち合って二人はアサルトライフル2丁の弾幕の張り合い。
更にA-7は床の紐を拾い上げて引っ張り幾つものミサイルが発射され、ユージはアサルトライフルを投げ捨てて両手に代わりの鉄の塊を構えて手榴弾をばら撒いた。
結果、無数の爆発が部屋中に乱舞し、果てには跳弾混じりの弾幕がレンガの部屋を蹂躙し、爆音と連続で放たれる発砲音、更に金属を叩き付ける音に包まれる。
しかしそれでも二人の前に煙幕も粉塵も、爆炎さえも無視して互いに部屋中を駆け抜けあって重火器を振り回している。
A-7はグレネードランチャーとアサルトライフルをそれぞれ抱え込み、ユージはよりによって細い円柱が纏められた様な形の鉄塊を二つ抱え込んで走り回る。その武器は誰が如何見ても、気が違えているとしか言いようの無い代物で。
「ふつう、決闘にガトリング持ち出すか、おい!?」
「うるせえ! 俺の勝手だろうがよ!」
何と、ガトリング砲を態々二門を持ち出して狭い戦場を走り回っている。
乱舞する銃弾、飛び交うも撃ち落とされる手榴弾にミサイル弾頭、舞う粉塵も貫いて銃弾やら擲弾が飛び交っていくが最初にこの状況を降りたのはA-7。
アサルトライフルもグレネードランチャーも投げ捨てて拳銃とナイフを持ってガトリングを振り回すユージへと肉薄する。この対応には流石のユージもガトリングを投げださずを得ず。
「手前!」
「ひゃはっ!? やっぱ俺らと言えばこいつだろうがよッ!?」
ユージも同じように回転式の拳銃を二本取り出して振られるナイフと打ち合うが、A-7はナイフで切り結ぶ瞬間に銃を撃ちぬく。
手早く回避した瞬間、A-7のナイフがユージの腕を切り裂き、鮮血が舞った。
「なっ」
「ヒィィヤッハー! どうよ、久しぶりだろ血の感触はぁぁッ!?」
A-7は刀身を舐め上げると再びユージとの格闘戦へと戻り、ユージは変わらずごつい銃で殺人ナイフと撃ちあった。
その様子を見ていた格摩は晴れた煙幕の先、ナイフに切られて血を流すユージを見。
「なっ、魔力抜きの、ナイフだと!?」
「そうよ! 俺ら少年傭兵にとって殺人は日常、遊戯! 常識だ! なあ兄弟ィィッ!?」
「んなもん、社会不適合者になるだけだぜ!?」
A-7の振るうナイフに同調するかのように銃を振り回し、更に重ね合わせるフリから2発程度相手に向けて撃ち抜いた。
「みえてんぜ!」
言いながらナイフを背中の裏に回し、撃たれた弾丸は僅かにA-7の顔面をそれ、もう一発は見事に空を切る。だがユージはそれで後ろに下がって足元に落ちていた銃を蹴り上げてつかみ取り引き金を引く。
「いや待て、何でそこでサブ拾うんだよ!」
「言いながらアサルト回収したてめえが言うな!」
銃の銘柄は気にすんな。
ばら撒かれた銃弾に対してA-7も同じく地面に投げたアサルトライフルを拾い上げて銃撃に応戦していく。
だが同時にサブとアサルトの弾が切れると銃本体を投げ捨てて拳銃を取り出すと、見せかけて互いに手榴弾を投げ、その回避方向に向けて弾丸を撃ちぬく。
撃たれた弾丸は宙を飛び、やがて互いに激突しあって地に落ちていく。
ユージとA-7はそれでも横に転がりあい、後ろに飛びあい、互いに反対射線に向かい合いながら互いに打ち抜きあい、中央で弾丸が互いに重ねながら落ちていく。
しかしユージの銃は相変わらずの六発の回転式の拳銃、対して向こうは恐らく10発前後は詰まっているだろう自動拳銃。当然のようにユージの方が先に弾が切れ、A-7は顔を歪める様に笑いあげて、ユージは悠々と空になった弾倉を開けて手早く再装填を終えて構わず撃って来るA-7に合わせて銃を撃つ。
しかし、A-7はこの均衡が崩れたことによってナイフと拳銃の装備でユージに肉薄し。
ユージはそこに向けて銃弾を三発撃ち込む。その狙いは迷い無く、A-7の方へ。しかしA-7はその弾丸を一発だけ切り落として残りの弾丸は受けながらも突き走ってナイフで切りかかる。
「やっぱり、そうかよ兄弟」
「何が?」
振られたナイフを片手の拳銃で受け止め、二人は互いに足を止めてにらみ合う。
「見ろよ、手前の撃った銃傷を」
ユージは言われて一瞬だけそこに目を向ける。無論、そこに銃傷など存在せず後など何も無い。
「で、それが?」
「はっ、ひょろっちまったなあ兄弟! 魔力まみれの品を弾丸を撃つたあなあ、そんなじゃ、赤ん坊一人も殺せねえぜ!?」
「それの何がすげえんだ? 特に凄い事でもねえだろうが」
「知るかよ! 俺はこんなところじゃおわらねえ、俺は」
ユージとナイフと銃で切り結び、もう片手の銃を撃ちA-7は叫んだ。
「俺の、全部をぶっ壊したオトナどもを、全員ぶっ殺すんだッ!!」
んじゃ、また。