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好きにしろ(仮)外伝:神剣の舞手  作者: やー
漢達の宴――謡え、野郎共の狂詩曲
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突入作戦

 砦内での襲撃に対し、即座に兵士達の編成が行われ砦内の探索が始まろうとしていた、その時だった。

 そして戦闘態勢は整い、いざ砦の外へと出ようとしたその瞬間にガチャリとドアが開き。

「あ」

 格摩達と、思いっきり鉢合わせしてしまった。ついでにサブマシンガンの乱射のおまけつきだ。

「格摩さん、一先ず突っ込んで! 援護なら任せろ!」

「おう、一番槍なら任せろ!」

「へっ、この俺を抜かすなんざ10年はええぜ!」

 言って、格摩と武旋は飛び交う銃撃の中を突撃していく。飛び舞う銃弾は何故か器用に二人を避けて行く。

 しかし、部屋の中は何故か瓦礫だらけで銃弾の乱射はあまり意味を成さないようにも見えた。実際にユージも彼方此方の壁に当てることで銃弾を跳ねさせて二人を援護している。

 それでいて援護射撃になる時点で何かが色々おかしいが、ユージの行動は更におかしくなる。

「んじゃいっくぜえっ! バレットフィーバーってもんみせてやんよおおおおおッ!!」

 後方援護。

 この言葉が正しいなら、普通彼が行うべきは物陰に下がりながらサブマシンガンよりもスナイパーライフルなどで確実に敵を減らす行動である筈。

 なの、だが。彼はよりにもよってサブ両手に握ってトリガーを引き絞ったまま、前衛の二人を避けながら逃げる兵士に襲う兵士も纏めて銃弾をばら撒いてばら撒いてばまきつくす。

 それでいて前衛の二人には全く影響がない。無理やり踊っていながら更にサブを鈍器にする勢いで振り回して銃弾の大盤振る舞いで撃ちまくる。

 おかげさまで、あっさりと弾切れを告げる乾いた音が鳴る。

「ふぅー、撃ったー」

「お前、一寸は考えて」

「撃ってるよー」

 言って、ユージは格摩の背中でサブのマガジンを取り替える。言われて見れば、彼の撃った弾は殆ど兵士に命中していた。それよりも。

「俺、実は雇いの主の弾薬庫からたんまり弾丸くすねたんだよねー他の奴ら、銃なんて使ってなかったし……」

「……それって、どんくらいだ?」

 苦い顔のまま、武旋が問う。ユージは遠い目で、応えた。

「少なくとも、数種類の弾丸撃ちつくさないと食料がはいらねえ」

「お前やりすぎだ!?」

 その事実に格摩は拳を構えて襲撃を警戒しながら突っ込んだ。ユージも吹っ切れたようで。

「いーじゃねーか! 思わずやっちゃったよ! だって、久しぶりの実弾だもん! 魔力塗れでも俺実弾何の心配もなく、一発120enとか一々計算したり財布撃ったりする幻影さえ無く鞄中空っぽになるまで撃てるなんて」

「だからって限度があるだろ!? 何で詰め込んだ!?」

「そこに、弾があるからさ」

 変にかっこつけ、ユージはサブマシンガンのリロードを完了させて再び銃を乱射しながら戦場を駆ける。

「ヒャッハアアアアアアッ! やっぱり定期的に実弾撃たねえと色々感覚無くすかんなあ、実弾最高だぜえええええッ!」

「おい、あれ完全にイッてねえか何処かに」

 その様子を見ていた武旋は思わず呟いた。格摩はそれを聞いて苦い顔を浮かべてあさっての方を見る。

 銃使いの筈なのに思いっきり前線に出ていると言う何処かがおかしいような、何もおかしくない状況が出来ている。だが、二人とも響く銃声に迫る現実からは逃げ切れずにお互いにもう一度しっかり認識してそれぞれ戦場へと舞い戻る。

 二人が最前線に戻ると、ユージがサブマシンガンを持って暴れ回っていて殆どの敵はなぎ倒された後だった。之ではやる事がないなと思っていると、上から何かが落ちてきて。

「っ!」

 突如、ユージはサブマシンガンの銃口の先を上に、崩れ掛けた天井、二回に突き抜けた方向に向けて弾幕を展開する。一体なんだと思っているとユージの近くで爆炎が誕生する。

「な、何!?」

「こ、こいつは!?」

 格摩は地面から壁を展開し、武旋と共に壁の中に隠れる。

 ユージは両腕をクロスさせて目の前の爆風に耐えながらも張る弾幕の手を緩めずに撃ち続け、連鎖して幾つもの爆発が起こる。

「手榴弾か!?」

 続いて激しい銃声と共に弾丸の雨が降り注ぐ。響く銃声はユージのサブマシンガンよりも重く、激しい。

「ハッハーーーーーッ! 蜂の巣にしてやんぜええええええええええええッッ!」

「どっかで聞いたような……まいっか」

 晴れた爆炎の先、見えたのは火を吹くアサルトライフル。サブマシンガンと撃ちあうには立ち位置を度外視しても考えるまでも無いことだ。

 しかしユージは弾幕を上に張りつつも瓦礫の方へと後退するが無数の手榴弾と弾幕が逃走を許さない。

「俺はそんなにあまかねえよ。そこらの寄せ集め兵士と一緒にすんじゃねえ」

「ああ、そうだな」

 だが、ユージはサブマシンガンを投げ捨ててボストンバッグに手を突っ込み。

「サブ一本でライフル勝てるかああああああ!?」

 直後、連発式のグレネードランチャーより放たれた擲弾により二階の傭兵は巻き込まれた。が、それでもアサルトライフルによる弾幕は止まっていない。

 しかし、ユージは構わず続けてサブマシンガンによる弾幕を展開しつつグレネードランチャーから擲弾を続けて発射する。

 再び巻き起こる爆発の連鎖。だが直ぐに弾が切れるが直ぐに片手で強引に中折にするとそのままグレネードレンチャーを軽く投げ上げ、そこから新しい弾を叩き込むように再装填すると思いっきり振って元に戻すとまた擲弾を一気に撃ちつくす。

「す、すげえ」

「あ、あの野郎、あんな事して銃が壊れたりしねえのか?」

 武旋と格摩はほぼ呆れ気味に呟くがその間にも手榴弾がころころ落ちてくるのが空中で別の爆炎が巻き起こる。

「……この、やり方。強引なリロード。まさか、お前」

 傭兵は薄暗い二階からアサルトライフルを構えて姿を現して叫んだ。

「お前、もしかして兄弟か!?」

「ああ、やっぱりかあ……手前」

 言って、ユージは溜息混じりに上を見上げ、二人の少年達には互いに視線を交わし合いながら。

「久しぶりだなあ、A-4ッ!」

「相変わらずだなあ、A-7」

 ではまた。

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