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好きにしろ(仮)外伝:神剣の舞手  作者: やー
漢達の宴――謡え、野郎共の狂詩曲
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じーさま

 君はひとつミスを犯した。世の中、身の程という言葉がある。自分の実力が相手より下回っていても時と場合によっては下克上も難しくは無いよ。何せ君はその一瞬にあったのだからね。でもそれを悟られて反撃されてしまったのが運の尽きだ。君はあの後無様でもいいから即刻逃げるべきだったと言っておくよ。

 次からは気をつけるように、良いね?



「ふむ」

 護堂は刀を納めて腕を組んで周りを見た。そこに広がる風景を見渡した。特別おかしい事はない、さっきまでと同じ見ていた風景と同じだ。違うのはずたぼろになって地に付す名を知らぬ剣士のみ。

「こやつ、やりおったか」

 腕を撫で、そこに刻まれた傷を確認する。切り傷は一切無いが、確かに切られた痛みがそこから感じ取れる。

「あの刹那に、わしに十五は返すとは。あっぱれぞ、宗治郎」

 満足気に頷き、そして首を動かして風景を変えた。そこには乱れた着物を着た女が。

「お見事ですね、護堂様。その剣の冴え、聞いていた時よりも鋭くなっていますね」

「忍の者達め……一体何処で見ておる事やら。それより貴様、皐と申したか。何時までそのような格好をしておる」

 護堂はそう言うと皐は何を言っているのかと、ぽかんとした表情をした。見れば切り飛ばされて噴水に叩きつけられた後ゆえか、服装は乱れ、結っていた髪のリボンが解けてストレートへアとなっている。

「えっと、その」

「貴様とて女子(おなご)だろうに、格好くらい気を配れ」

 言われた皐は慌てたように髪を結い上げた。護堂は更に記者達に首を向け。

「今日はもういいだろう。十分な絵もインタビューも出来たであろう」

「あ……は、はい!」

「では今日はもう帰っても良いか?」

「は、はい! 有難うございました! お疲れ様です!」

 記者達はそう言って頭を下げて立ち去り、護堂は地に付すティンを見て。

「ふむ、お前達。わしの家に来るか? この状態では起きるまで待たねばならぬだろう」



 ぱちり、と言った感覚でティンは目が覚めた。ぼうっとしていると徐々に視界が開け、そこに何があるのか分かってくる。

「……ぁ、うち?」

「いえ、違いますよ」

 真横からそんな声が聞こえてくる。見れば、皐がそこに居て。

「ああ、わしのうちだ」

 そう告げるのは黄昏に照らされた護堂。縁側に腰掛け、こちらに背を向けて風に吹かれている。

「起きたか、小娘。具合は如何だ?」

「え、あーうん、へーきっぽい」

 そう言ってティンは体を適当に体を動かしながら返す。それを見た護堂はふっと笑うと。

「それだけの台詞が言えるのなら大丈夫か。流石は宗治郎の教えた子、と言う事だろうな」

「宗治郎……それがじーさまの本名?」

「そうだ。貴様の剣の基礎にあやつの癖が強く出ておる。間違いない、あれは宗治郎のもの以外にあり得ぬ」

「そう、か……ねえ、皐は知ってたの?」

 皐に問いを投げるが、当人は苦い顔で視線をそらすだけだ。

「知らぬわけではないだろう? 月宮の忍がそのくらいのことを知らぬとは思えぬ。むしろそれを知ってあったのではないのか?」

「……まあ、喋ったのは護堂様ですし。私は無関係ですよね」

「口止めか。あのじじい、小娘を脅すとは落ちたのもよ」

 護堂の呆れるような、からかうみたいな物言いに皐は乾いた笑を漏らし、ティンと向き直り。

「はい。居場所は知りませんでしたが、お顔は存じ上げていたので驚きました。修行の最中に伝説の剣豪に出会えるなど正に夢見たいでした。ですが、道場に身を置く条件として他言無用と言われましたのでただ黙っているしかなかったんですよ。まあ、護堂様が語ってしまったので私は一応義理立てはしました……と言い訳はしておきます」

 舌を小さく出して皐は笑った。その姿は悪戯が露見した子供みたいで、でもティンはその雰囲気には和めず、つい。

「……皐は、全部知ってたんだ。じーさまのこと全部」

「はい……いえ、全てと言うほどは。しかしどのような方かは伺っている程度です」

 責められるような言い方に皐は謝るように返す。それを聞いて、背を向けていた護堂が身を返し。

「貴様はまるで知らなかったのか」

「うん。何で、黙ってたんだろう。家族、なのに」

「故にだ。貴様、彼奴が何故隠居の真似事を始めた切欠を知らぬのだろう」

「あんたは知ってるのかよ」

「ある程度はな」

 不躾なティンのものいいに護堂はしっかりと返す。

「その前に貴様に問いたい。あの時、わしが全力でなかったあの時、わしに我が身を顧みずに切り込んだな。なぜだ?」

「誰かが言ったから」

 気付けば、そう即答していた。口にしてまず出たのは疑問。自分は今なんと言ったのか、それさえ分からない部分で彼女は返事をし、当時のことを思い出して。

「誰かが言ったんだ。諦めずに動きをしっかり見て対処するんだって。そうすれば、あのくらいならあたしでも十分倒せるって」

「このワシをして、あのくらいと言ってのけたか、そやつ。果たして一体誰が言ったのやら」

 言って護堂は家の柱に背を預けて別の方向に目を向ける。その先は胡座を組んで背を向けている格摩の姿、隣には寝っ転がってる関哉の姿がある。ティンは今の今までそこに人がいることに気付かなかったことに驚き。

「俺じゃねえ……」

 ポツリと、不貞腐れてる様子を見せて呟いた。誰の目から見ても彼が不機嫌なのは明らかで、その理由は分からなくて。

「男と女でも、そいつは剣士と剣士の神聖な戦いだ。口を挟む程俺は落ちぶれてちゃいねえよ……」

「ほう、潔いな。或いは友人にでもそういうものがおるのか」

「……確かにな。だが俺は戦いの道を行く格闘家だ、そんくらい分かる。だから俺じゃねえ、つうかあの状況でそいつに助言ってどうやんだよ。どう考えても無理に決まってる」

 そう言って格摩はだんまりを決め始めた。まるで我儘でも言い通す子供をれんそうさせる。

「ふむ、まあよい。どこの誰がそうさせたのかは知らぬ。だが二度はあのような真似をするな」

「何でだよ」

「宗治郎が教えたのは、捨身の剣か? 違うだろうに、あやつがその様な剣を仕込むとは思えん。あれは不器用だが、硬い芯はしっかりと入っていた……己の大事なものを守るという信念がな。貴様の剣にも、基礎だけみればやつにそう言った手癖が染み込んでおる。きちんと己の身を守る剣が、な」

 そう言って護堂は遠くに目をやる。一体彼は何を見ていると言うのであろうか。

「守るって、どういうこと? じーさまがどうしたの?」

「……貴様は何も知らぬのか。よかろう、あの爺に聞いてもはぐらかすだけであろうからな……かたって見せよう、宗治郎の話を」

 さってはって、剣術四天王現代へ。最後の光栄いってみよかー。

 光栄。

 剣術四天王の内、恐らく氷霊はもちろんあらゆる武術が用いられる世界に必ず数人はいる月宮、魔導の世界に必ずその名を刻み続けている蒼末と比べて世界で最も有名と思われる家である。

 また、氷霊とは全くベクトルが違うものの『国を失くした』という話題で意見の分かれる家でもある。元々この家は武術のみで伸し上がった月宮、氷霊と同じような家で、他の剣術四天王と違い国を失くしたと言う記録がない家でもある。

 何故そう言われるか。この家は戦国の世が過ぎ去り、大きな戦が無くなって武術のみでは生きていけなくなったのを境に元々非常時用にと手を付けていた商売に尽力を注ぐようになる。結果として商売は成功して都市間連合などと連携して不動産などにも手を伸ばした結果、現在のように大きな会社となるまでに大成長を遂げた家である。

 よって、光栄と言う国と言うか土地は一応存在するし、その土地は今でも光栄のものとして不動産会社で貸したり時には売ったりしており、確かに国と言う体系は変わったものの光栄の国は確かにまだあるのである。光栄の白も現代に合わせて何度も改築されており、今では立派な高層ビルとなっていて光栄本社として本日も大勢の社員達が此処に通勤しているのだ。

 城がビルに、中の者も武士や侍女がサラリーマンとOLに変わっただけで光栄は何も変わってない、と言う意見と十分変わり果てたし当時の光栄の国の面影は何処にもない、という意見に二分されており、この辺りも専門家の間で熱い議論が交わされている。

 光栄としては、今でも武門の家であると言い続けていて光栄の当主は必ず光栄家秘伝の剣術を学ぶし、時としてスポーツと化した剣道や魔導戦競技の名うての選手としても活躍中であり、商売はあくまでその傍らで行っているのであって本分は剣を振るうことである……とは言っているが見るものはあっさりと『商売が本分』などと切られたり、今尚剣士であることを貫いている氷霊と比べると些か剣士としてぶれている、と言う意見もある。

 が、剣術四天王の中で唯一没落することも、国民も失う事無く現代まで生き続けた家であり、時代に適応し続けるその姿は上に立つ者として評価すべしとして多くの歴史の教科書にその名が出る家でもある。

 さて、総評。

 月宮、民? 何それ美味しいのと言うか剣以外要らない。

 蒼末、民は国の宝、宝が要らぬと言うなら我らは去るのみよ。

 氷霊、剣士としてある、それのみが我らの意義なり。他は等しく塵である。

 光栄、剣だけ食っていくの難しいんで他の事もやっていこう。

 と言う感じですかね。しっかし、この設定いつ使うんだろうか。と言うか四天王言うけどこのメンツがなんかの幹部に来る日、あるのか?

 んじゃ、また。

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