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抜刀・剣舞・双剣

「ではそろそろ行きますか」

 そう言って席を立ったのは皐だ。続くようにエグネイとティンが席を立つ。支払いを済ませ、店の外に出る三人。

「ではこれからどうします?」

「あ、ご免。あたしこっちに行くから」

 皐が振り返って問うとティンが返す。言うとティンは踵を返して歩き出す。

「あ、そうですか。それでは、またいつか」

 ティンはその言葉を背中で受けると振り返ってに手を振って答える。そうしてティンは歩き出した。

 夜。

 街を出てティンは満月を見上げながら草むらの中を歩いていた。金色に輝く綺麗な月灯りのした、ティンは歩き続けている。が、やがて歩みを止めて草むらの中に一人佇み、風に身を任せるように俯いて目を閉じる。夜風がそっと草むらを撫で、ティンの髪を、マントを靡かせる。暫く風を受け、純白に淡く輝くマントに身を包んでティンは夜風を受け続ける。やがて、ティンは目を開けて顔を上げる。

「久しぶり。会いたかった」

 その言葉を合図にするように次々に黒い影が現れる。黒いボロマントに黒仮面の者達――ティンの持つ神剣を欲する者達。

 その中のリーダー格でもある黄龍が一歩前に出る。

「ほう、オレ達に会いたかったか。それはつまり、オレ達の主のためにその命を投げ出して神剣を差し出すと言うことか?」

「な、訳あると思ってる?」

 ティンは言って剣を抜くがまだ構えずにぶらんと遊ばせている。

「では、どうして?」

「お前らのアジトに連れて行け」

「ほう? 先の言葉と矛盾してはいないか? その身を差し出すことに何も」

「――お前らの本拠地に、直接殴り込む。だから案内しろ」

 ティンの射抜くような視線と共に発せられた言葉。それを受けた仮面の機械軍団の一つが体を僅かに揺らし始める。やがて声が漏れ始める。その声は紛れもなく――笑う声だ。

「面白いことを言う。貴様、そう言って素直に案内すると思っているのか? そもそも貴様さえ葬ればよい話。此処でこの逃走劇を終わらせるとしよう」

「そうかよ」

「しかし、此処に来て己からオレ達の本拠地へ乗り込もうとは……貴様は阿呆か?」

「五月蝿い。お前らが居ると、安心して家に帰られないんだよ!」

 啖呵を切って剣を構える。

 ティンがこんな事を言い出すのも何も唐突ではない。ここに来ていよいよ旅の目的がわからなくなって来たのだ、今ティンに思いつくことと言えば彼らとの決着。ならばだ。此処で彼らの本拠地へと攻め入ろうと思いついても不思議ではない。それに、だ。

(紗羅が、泣いてる)

 そうだ。大事な義妹が泣いてる。自分の気のせいかもしれない。それでもそんな気がする。だが、それでも帰らなきゃいけない。こんな用事はさっさと終らせて。

(本当に泣いてたら、怒ってやらないと。あいつは姉ちゃんなのに、泣いてたら妹達も不安がる。もうあいつは泣いてばっかじゃ駄目なんだ)

 だから、こいつら全部叩っ切って、帰らなきゃ。自分の家に。

 そう決心を固めると剣を握り締めて顔の横に、上段に持ち上げて開いてる左の手はそっと添えるように剣の柄の端に触れて、腰を少し落とす。何時もの、ティンが15年かけて鍛えに鍛えこんだ彼女の剣の構えだ。

「いいだろう、ならばオレが片付けてくれる! お前達は」

「良い月ですね」

 とそこに、黄龍の口上を切裂いてそんな声が響く。ティンは驚いて声の主を探す。彼らも同じく声の主を探す。見れば黒い髪の女が一人、月を見上げている。

「星空も負けてないぞ」

 いや、その隣。そこに草むらに身を沈めて星空を見上げている女が一人。一人は立ったまま月を見上げ、一人は寝転んで星空を見あげる。風が吹き、結い上げられた女の髪を靡かせる。そして、ゆっくりと振り返る。

「で、ティンさん。実に楽しそうなことをしていますねぇ」

「さ、つき……! 何で、此処に居るの?」

「ははは、この説明を行うのは何度目のことですかね。ティンさん、言ったじゃないですか。我々剣士が求め歩く場所は――戦場だと。戦の匂いを追って猛者が現れる――不思議なことではありませんよ」

「その物好きには私も混ざってる、何てことは無いよな?」

 そう言いながら起き上がる女もまた黒髪の女――エグネイだ。

「エグネイも!? 何で此処に居るの!? もしかして、付いて来たの?」

「おいおい、人を勝手にストーカー呼ばわりすんな。皐が戦場の匂いがするとか電波ゆんゆんに言い出すから付いて来ただけだっつの」

 その割に登場シーンが寝転んでるのは如何言う了見なのだろうか。

「ふん、二人か。ならば障害にすらん」

「随分でかい口を叩くな、お前」

 エグネイは身体を解しながら立ち上がって双剣に手をかけつつ黄龍を射抜くように見て。

「失せろ、オレ達の目標はそこの黄昏の剣士のみだ」

「そうだエグネイ、この馬鹿はあたしが切り伏せるから雑魚の相手を頼む」

「な、お前」

 と前に出かけたエグネイの首元に黒く細長い棒が置かれ、エグネイはぐえっと息が詰まる経験をし。

「さ、皐ぃ」

「いいではありませんか。果し合いとは剣士に取って侵してはいけない神聖なるもの、それに土足で踏み入るのはただの無粋ですよ」

 そんな皐の言葉にティンは内心助かると感謝の念を呟き、真っ直ぐに切裂くべき怨敵へと殺意を孕んだライトイエローの視線を向けて。

「そう言う訳だ、いい加減に決着をつけるぞ黄龍」

「よく吼えた。ならばオレこの手で葬ってくれる! お前たちは手を出すな、こいつ一人ならばオレ一機で十分だ!」

 大見得を切った黄龍はティンに向かって突撃し、ティンは顔を逸らして頬から真っ赤な閃光が走る。

 ティンは僅かに目をそこに動かして傷の具合を確認する。出血は僅か、だが何より。

「どうだ、見えまい!」

 更に黄龍が動いた直後にティンの左腕から赤い閃光が伸びる。そう、彼奴が言うとおりティンは既に黄龍のスピードに目が付いていかない。確実に、以前の時と比べてこいつは強化されている。

 やっかいだな、とティンは冷め切った頭で考えて。

「改造を重ねたオレの速度に追いつけないようだな」

「ふむ」

 勝ち誇る黄龍の言葉に、ティンは確かにと頷く。黄龍はそれを諦観の言葉と受け取り。

「次でとどめだ!」

「あのさぁ……」

 だが対するティンはため息交じりに移動する黄龍に向けて、まるで未来を知っていたとでも言わんばかりに在らぬ方向へと剣を置き、直後に切り込まれその一撃を受け止めて流した。

 その鮮やかな剣捌きに皐は思わず目を見張り、エグネイは口笛を吹く。そしてティンは欠伸をしそうなほどにつまらなそうな表情で。

「単純なスピードがどうしたって?」

「ぬ、ならばこれはどうだ!」

 しかし黄龍はそれをただの偶然であるとして、今度は更に残像を残す程のスピードでティンの周囲を駆け巡り。

「ハハハ! 貴様はこの速さに追いつけるか!?」

「いや、追いつく必要はないね」

 淡々と呟き、ティンは適当に剣を振るう。一見、まるでただ何も無い空間に剣を切り込んだだけに見える。が、何も無い筈の場所から何かが切られた音に続いて黄龍の左腕を切り落ちる。

「な!?」

 驚く声を無視してティンは更に踏み込んで追撃を繰り出そうとして気付けば黄龍は部下達の背後に移動して居て。

「く、ぐぅぅぅぅ! おのれぇ、まだ調整不足と言うことか!? 止むを得ぬ、行けお前達!」

「いや、何しに来たんだお前」

 ティンは頬から伝う血を拭うと剣を構え直し、仕切り直して。

「……総機に通達。たった二人増えただけだ。始末しろ」

 了解の意を示す言葉が響き、二人の剣士に黒い仮面の者達が襲い掛かる。瞬間、白刃が飛び、無数の刃が舞う。

「やっと出番だ、行けるか皐!?」

「構いません。私のことは一切気にせずとも良いですよ、私も気にしません」

「いや、気にしろよ……そんじゃま、女剣士三人集による共闘といきますか!」

 襲い来る敵を抜刀と同時に斬り払い、双剣にて切り伏せる。此処に斬月の剣士、星の双剣士、そして黄昏の舞剣士が揃う。では、これより月下の武闘会を始めるとしよう。

 ども、今回は締め切りぶった切った上にこれだけでアップ。

 ゲームやり過ぎて書く時間が無いよー……思った以上にゲームが面白すぎて書く時間が無い……と言うことで来週は二作同時上げます。はい。

 では。

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