限りない宇宙へと、愛した翼を広げて
響く銃声、その音に引かれて誰もがそこに注視する。そこには何時から居たのか、どうやって現れたのか、金髪に青い服の――冒険家の間でそこそこ人気のセット装備、フェザーシリーズの防具を身に纏った女が居た。
突如現れたその女に誰も彼もが、ティンを除いた誰もが等しく驚いて動きを止めていた。結果として暴れ出した怪獣によって数人の死傷者が出た事によって静止した時が再び動き出し。
「あ、浅美さん!?」
「浅美ちゃん!? 何で、どうやって此処に!?」
女、浅美は銃を5発撃つと一呼吸置いて今度はその銃口を黒服に向ける。
「ぞ、増援、いやたった一人しかも女だ、片付けろ!」
黒服の言葉を聞いて真っ先に反応したのは恐ろしい事に周囲の兵士ではなかった。勿論、同士討ちを始めている怪獣でもない、フロースでもユリィでも、ティンでもなく。
浅美の、左手からの早撃ちだ。
素早く、ガンホルスターから銃を引き抜くと同時に兵士と怪獣を撃つ。舞うように飛び交うマズルフラッシュに風を纏って縦横無尽に飛び交う銃弾が兵士の腕を顔面を怪獣の身体を次々と打ち抜いていく。やがて弾が切れると浅美の右腕に付いていた腕輪が輝き。
「ディメンションリロード」
と口にすると転がった空薬莢が消えて、マガジンも一瞬ぶれると浅美はもう一度トリガーを引いて発砲する。
浅美は更に右手の銃を直に15発全部撃ち抜くとガンホルスターに銃を突っ込むと今度は右手を虚空に突き出すとまた黒い穴が生み出され、そこから棒が出現し浅美はそれを掴み取り。
「来い、カオス・スパイラル」
捻れに捻れて、まるでドリルを無理やり潰して長剣にしたような、禍々しいデザインの長剣を異空間を鞘として引き抜いた。
抜いた直後、浅美は長剣で周囲の怪獣を薙ぎ払い、背後を銃撃して更に長剣を振るって目の前の怪獣を叩き斬り、兵士を撃ち抜き、怪獣を次々と切裂いて撃ち抜いて蹴散らしていく。
「こ、この女ぁッ!」
「だ、誰かあいつを」
「煩い」
次々と出来上がる怪獣の死体の山、それを見て黒服の男が銃を構えて周囲の兵士が周囲に呼びかけてはいくがそれよりも早く浅美が音がする方へと銃を撃って彼らの口を塞いで更に怪獣の死体を作り出していく。
飛び交う血しぶき、舞う肉片、ティンで到底巻き起こすことなど適わないであろう殺戮の嵐がこの空間に巻き起こっていた。
ティンが一人切れば浅美はその間に二体は切り裂き一人撃ち倒す、あまりにもスピーディな蹂躙に見ていて思わずそんなのありか、とさえ言いたくなる。剣を振るいながら銃を撃つ、単純が故に強力な戦法だがティンは一つの心配事が浮かんだ。
(銃弾、持つのか?)
その一点、拳銃は基本的に消耗品でありいくら銃本体がどんなに動こうとも銃弾が無ければただの鈍器でしかない。その点は瑞穂が口を酸っぱくしてまでしてきしていた筈だ。まあ、あれはどっちかといえば撃ってなくなればその分買うひつようがあるからだったからだが。
浅美は15発撃ち尽くす頃には兵士も、動ける怪獣も殲滅していた。残る黒服に向けて剣を槍を向けて。
「で、まだやるの?」
「お、おのれ……こうなれば!」
黒服が懐に手を突っ込むと同時、巨大な魔法陣が頭上に展開される。しかしそれに一番驚いたのは他の誰でもなく、黒服本人で。
「何!? ど、どういうことだ!?」
「ハーーーーーーッハッハッハッハ!!」
響く笑い声。そこで浅美は。
「あのお爺さんは何処!?」
「そう言えば、居ない!? 頭に五発も銃弾を受けたのに!?」
「あそこです!」
ユリィが指差す先、浮遊術式を用いて展開された巨大術式の上を浮かぶルドレフが居て。
「よくも、我が実験結果達をやってくれたな! だがしかし、そんなことはいい……あんなものは、そこの死の商人共が欲しがった駒、確かに私が生んだ愛すべき作品! 今度の物はそんなちんけなおもちゃと一緒にされては困る代物だ!」
魔法陣が輝き、中から巨大な卵が落ちて来る。その巨大さに思わず浅美達は目を見張って眺め。
「さあ今こそお前がそこから這い出る時だぁ……生まれ落ち、その誕生を祝いたまえよ!」
「皆気をつけて! 規格外の化け、物……が……」
浅美はそれでも周囲に警戒を呼び掛けるが、それが何なのか目にして無駄だと悟る。生まれ落ちた球体はまず長い首が剥がれた、次に翼が剥がれて力強く展開し、続いて尻尾、今度は折り畳まれた足で、最後に組んでいた腕を開き、怪物の咆哮が月の中に轟く。
長い首に二本の角、肉体を覆うは生々しくも鎧のように輝く鱗、巨大な蝙蝠の様な翼、大凡誰もが空想したであろう空想の怪物が二人の前に姿を現した。その化け物の名は。
「スペェェェィス・キメラッ! タイプ、ドラゴンッ! 我が究極生命体よ、その力を示せぇッ!」
「やらせるかぁぁぁッ!」
ルドレフの言葉に応じその巨大な腕から繰り出す爪の一撃を一行に向けて振り下ろした瞬間、浅美は風の翼を生み出して鳥の鳴き声を響かせるように音速が如く速さでアル・ヴィクションを構えて。
「アカシック、レディストォッ!」
拒絶の力による防壁を生み出し、化け物の一撃を防いだ。
「何ぃッ!? 馬鹿な、あんなちんけな剣で我がドラゴンを!?」
「おおおおおおおりゃあああああああああああああッッ!」
更に、押し込んで翼を羽ばたかせて更に空へ空へと浮かんでいく。浅美は途中で剣を持つ手を両手から左手だけにすると右手をジャケットの右ポケットへと突っ込む。そして取り出した白く輝く何かをそのまま機械の翼へと叩き付けた。直後、浅美の背中の翼が白く輝き暴風が大気の無い月に巻き起こる。暴風が止むと浅美の背中には機械の翼と大きな鳥の翼と四枚の翼が生えていて、そのまま更に上へと羽ばたいていく。
「天空神の鳳翼!」
四枚翼と化した浅美は更なる速度と疾風を持ってドラゴンを押し出し遂には天井へと叩きつける。浅美は開いていた右手を虚空へと突き出し、右の腕輪が光ると空間に穴があいて再びカオス・スパイラルを引き抜いて目の前のドラゴンに突き刺す。ドラゴンの掌は硬く、カオス・スパイラルを持ってしても僅かにしか食い込まないが浅美としてはそれで充分だった。女神の守護剣、混沌の長魔剣、この二つを一つに重ねる事でこそ意味を発揮する。
浅美はアル・ヴィクションの放つ拒絶の力に、カオス・スパイラルが導く混沌の力を術式を持って強引に混ぜ合わせた。本来交わらぬそれはやがて強力な破壊の力と化し、渦となって。
「必殺、虚空光天撃ッ!」
光線として解き放つ。拒絶と混沌の力の奔流がドラゴンの肉体そのもののに叩き込まれ、より強く天井へと押し込まれる。ひび割れる天井、砕けて行く照明、そして土、月の表面の様な岩辺が見え始めると同時に巨大な地下施設の天井にドでかい穴をぶち開ける。
ドラゴンは宇宙へと打ち上げられ、虚空光天撃の衝撃で宇宙で爆散した。その光景を見届けたフロース達は。
「よし、これであのドラゴンも終わりだね!」
「はい、浅美さんの必殺技が決まりましたし、生き物が宇宙で活動できる筈が」
「いや待て!」
ユリィが当然の常識を口にすると同時、ティンが制する。浅美は厳しい表情で撃ち抜いた宇宙の化け物を巻き起こる爆煙越しに睨み続けて、やがて咆哮が轟く。
爆煙を薙、宇宙空間だと言うのに平然と生命活動を行う化け物を見てフロースはあり得ないものを見る目を向け、ユリィは絶望でその顔を彩り、ティンは苦い虫を噛み潰した表情となり、そして浅美は苦しげな表情で見つめた。
「う、そ」
「はーーーーーーーーっはハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!! 見よ、これが我が究極生命体だッ! 宇宙だろうと死なぬ、そして羽ばたく、更には大気圏も貫く、我が究極のスペース・キメラァァッ!」
ユリィの零れ呟きをも潰す笑い声が、天地に響く。この絶望的状況でも浅美は右腕のエレメンタルリングを輝かせながら己自身も月に張られた結界術式の外――大気も重力も存在しない宇宙空間へと飛び立つ。
浅美の術式制御により宇宙空間であろうとも生命活動は出来る、だがあの巨大な怪物を前に浅美一人ではあまりにも。
「だ、誰か行けないんですか!?」
「無茶、言わないでよ」
ユリィの必死な叫びに、フロースは力なく答える。
「あそこまで行けば完全な宇宙空間、宇宙に空気は無いし、何より重力も無い。生きることは当然だし動く事だってままらない、そんな状況でどうしろって言うの」
「そ、そんな……じゃあ、浅美さんはたった一人であの怪物と戦うんですか!?」
悲痛な叫び答える声はなく、代わりに激しい金属音が響く。浅美はまずドラゴンに向って突進して切り結ぶもまずサイズに差があり過ぎる。浅美の身体はドラゴンの腕の半分程度しかない、その上で爪と双剣で切り結んでいる。
飛び交い、音も超えて光さえ置き去って時すら突き抜けて浅美は宇宙を蹂躙するかのごとく飛翔する。
しかし。
最初こそは浅美の速さによるアドバンテージが生きていた。気付けば一瞬で移動している浅美の超機動、それによってドラゴンを翻弄しつつまず背中を、腹を、腕を、顔を、切り付けて切り裂いて、兎に角に斬りつけるも浅美の攻撃ではドラゴンの身体に傷を付ける事さえ難しい。
そして気付けば、ドラゴンが浅美の攻撃に対応し始めた。
「な、くっ!」
更に飛び、時すら置き去る瞬間移動を行いながら攻撃を仕掛ける。ドラゴンの懐に潜り込んで方向を変えた瞬間に、膝打ちが浅美を襲う。素早く後方へと下がって更に飛び込むが今度はそのタイミングでドラゴンの爪が浅美に迫る。
浅美は戸惑いながらもまたもや後方へと下がるが、ドラゴンは遂に浅美に追いすがり始める。確かに、速さは浅美が圧倒的に上だ、だがしかし浅美が一瞬停止した瞬間を狙ってドラゴンが迫った。その爪が、遂に、ほんの僅か、薄皮一つ、細胞の欠片程度だが。
確実に、浅美の身体に攻撃が入った。時間を動かさず、0秒の世界を1分以上も動く事が出来る女が、まさかそんな事すら出来ない怪物程度の攻撃を受けてしまったのだ。
「う、そ、でしょ」
その事実に、遠めに見ていたユリィは膝を地に着いた。浅美の速さ、そして風の加護は絶対なる優位性を彼女に与え続けていた。風による加護が、全ての物理攻撃を受け流し続けていたのだ。それが、どうして。
「風の加護が、無いんだ」
「どういうこと?」
フロースの呟きにティンが問う。
「私達風の魔導師は基本的に、大気中の空気を掴んで飛んでいるんだ。空気の中を泳ぐように、風を纏う事で浮力を得ている……でも宇宙には大気が無いんだ! つまり、何時ものように大気を纏っての浮遊が出来ないし、大気で背を押しての移動さえ出来ない! 今の浅美ちゃんは……体の中で風を作って、それをジェット噴射させるように動いてるんだ!」
「……それが、浅美の動きが悪いことと、どんな関係が」
宇宙では浅美が徐々に徐々に、ドラゴンの攻撃を受けながら戦う居続けている。ティンはそんな浅美を見ながらうちにある回答者としての能力を使いつつ、フロースに問う。
「宇宙には大気と重力が無い、それによって生まれたディスアドバンテージが結果的に方向転換の動きの悪さに繋がっている! 幾ら浅美ちゃんが空間制御で強制停止出来て直角に曲がって動けると言っても、一々ジェット噴射させて動いているんだから方向転換の瞬間に、どうしても隙が出来る! 大気がある中で行う事になれているからこそ、何時もと勝手は違う飛翔に慣れてないんだ!」
「あのドラゴンもどきが普通に動ける理由は」
「よく分からない。でも、あいつはそもそもが宇宙で動く事が前提になっているし、何よりも風以外の魔力も多量に持っているから、あそこまでのことが出来るんだと思うッ!? 浅美ちゃん!」
フロースが悲鳴染みた声を上げる。見れば浅美の頭から流血している、つまり攻撃をまともに受けたのだ。
「浅美さぁん! ねえ、浅美さんがこのまま意識を失ったら」
「宇宙に空気は無いから呼吸が出来ずに窒息、真空は血液が沸騰して体が爆発、気圧も無いから体内の気圧で破裂、さあどの死に様が見たい?」
ユリィの涙交じりの言葉に、ティンは最早笑うしかないと浅美の死に様を予想する。始めこそはティンに向けて怒りの目を向けるが、ティンが悔しさに滲んだ笑みを浮かべている所を見て、何もいえなくなった。
浅美は、宇宙を見ていた。
「広いなぁ」
ただこの宇宙を。
「永遠を」
この広い宙を、何処までも。永遠に、何もかも置き去りにして。
「直に終わる世界が嫌だった」
あの懐かしくも愛しい浜辺。
「少し走った程度で終わる空が嫌だった」
でも退屈で仕方なかった。空を見上げるのは好きだったけど、でも自由に飛ぶ鳥が羨ましくて。
「この海は、宇宙のような魂を持つものには狭すぎる」
あの時、誰かに指摘された。お前はそういうもであると、いつか空を求めて全てを投げ出すと。
「だから、自由の翼が」
浅美は目を閉じて、祈りを口にする。それは何時かの模倣、誰かの物まねだ。
「日は、生まれた時から変わらずに」
「決まった輪を、星と競うように翔け回る」
「それは雷鳴のように、早く。そう、そして何よりも早く」
「この永遠を翔け抜けよう」
「光と共に飛翔せよ」
「その一閃は炎を超える」
「それはだれも知らない、届かない。至高の存在」
謳うは天上の歌、大いなる天使達の歌うこの大宙の唄。
「この祈りこそが」
広い世界を飛びたい、何よりも、限りの無いこの空を祈って翼を抱いた少女の願いを、今。
「私の原初!」
「浅美、さん?」
見ていた。宇宙を漂う浅美の魔力がおかしな事になっている、まるで。
「まるで、生まれ変わるように」
「あの、術式は!?」
フロースが目を見張って驚き、そしてティンは見た。浅美の体が巨大な術式に飲み込まれ、体が再構築されていく。その世界は。
「創世ッ!」
純白の羽が生み出される。純白の翼は浅美を包み込むように畳まれていて、一枚一枚、一つ一つ羽が零れ落ちていく。そしてついにその翼が展開され、大きな四つの白い翼がこの大いなる宇宙に広がった。
「神翼、天包ッ!」
神の翼で天を包む。浅美だけの宇宙が此処に新生し、愛した翼で無限の大空へと今羽ばたいていく。
「な、え!?」
「創天術式!? そんな、浅美ちゃん何処でそれを!?」
生み出された機械のような四枚翼、それを羽ばたかせて浅美はゆっくりとドラゴンに近付き、ドラゴンの腕が千切れていて浅美はそれを遠い何処かに投げ捨てた。
「え、え?」
「は、はや!?」
その圧倒的な速さ、少し動いただけでこれだ。一体どういう事なのかが全く持って分からない。だが浅美は宙に浮かぶ二つの剣を握り締めてただ叫ぶ。
「行くよ、アル・ヴィクション、カオス・スパイラル。さあ、舞台の幕を上げようか!」
宣言し、ドラゴンの体全身が一度に切り刻まれる。身体のあちこちから血が吹き出し、それでもドラゴンは抵抗しようと浅美に向けて爪を向けるも、向けた瞬間に肘から先がぐちゃっと潰れた。
音も時間も、全てを超えた浅美の速度。何より宇宙すら適応する翼がさっきまでの失っていた優位性をひっくり返す。元よりこの翼はその為のもの、永遠を、この宇宙を何処までも遠く何よりも早く駆け抜けようと得た翼だ。
そもそも浅美の身体自身が時すら追い越す宇宙と化している。もう何であろうとも、何一つ追い抜かせはしないから。
「これで沈める」
アル・ヴィクションを鞘に収める代わりにカオス・スパイラルを両手で構え、そして溢れんばかりの混沌力を剣に宿して一閃。
「混沌を制し!」
続けて薙ぎ払い、返し。
「秩序を砕き!」
振るい、振るい振るい振り回し、吐き出されるは混沌の暴乱。全てを飲み込み、全てを砕き、全てを生み出す混沌を操り。
「今、在るべきものを」
切り刻み突き刺し払い。
「無きものへ!」
混沌の渦へ、全てを混ぜて何もかもをなくしてしまう混沌をここに。
「奥義、混沌制覇斬ッ!」
世界を断つ。その勢いを持ってかの混沌を討つべき御敵へと叩き込むように薙ぎ払った。
え? 前回の描写といい浅美の撃ってる銃弾貫通力高過ぎねって?
きっと貫通力の高い銃弾なんだよ、ほら世の中探せば自動小銃でもあれぐらいの貫通力持った弾丸くらいあるだろう? そもそも、浅美は風の魔法で銃弾を自由に動かせるしね。
……え、人間の体を貫いて怪獣の体を貫きまくる銃弾が、そんな威力で弾を撃つ銃があるかって? Ok,ネタばらしをしよう。ああ大丈夫、魔法なんて一言でも終わらせないから。
浅美の銃があんな超威力な理由、それはなんと。
あの銃の弾丸、魔力弾と呼ばれる銃弾に変更されてるからさ。
え、何それって? OK,こっからはQ&A方式で答えよう。
Q、魔力弾とは?
A、魔力を固めた弾丸のこと。作り方は、空薬莢に特殊術式を施した上で魔力を注ぎこむだけ。威力は注ぎ込んだ魔力質量で変化、簡単に言えば自身の持つ魔力攻撃力をそのまま銃弾の威力に出来ると言うもの。
浅美の銃弾はこれを使っている為、浅美の持つ魔法攻撃力まんまを銃の威力としている。余談だが、あれだけで上級魔法に届きかねない威力が出ていて、9mm自動拳銃がアンチマテリアルライフル級の威力になっていると思えばいい。これが、人間限定の非殺傷設定の魔力弾で更に貫通力に特化してそれも肉体強度が高く設定されている怪獣に当たっているから作中描写見たいな感じですんでいるが、もしも人間以外の――例えばエルフにでも当たっていればパァーンと体が弾けてるよ? 一応魔力の固まりだし、防御魔法で防げるから実際に体がパァーン出来るのは赤ん坊とか幼児くらいだろうけど。
Q、何でそんなものに? と言うか何時変えた? 何処にそうなっている事を匂わせた描写がある?
A,ごめん、描き忘れた。
なんてことは無い。ぶっちゃけ言い掛かりレベルの上に筆者以外には決して分からないと言えるレベルでちゃんと匂わせる描写は置いてある。具体的には前の話のティンが浅美の格好を見た時の所をよく読んでみよう。
読んだかい? 覚えてるかい? じゃあ今度はこの作品初期に戻って浅美の装備を読んでその差異を確かめよう。ああ、この比較で一つ分かることがある。
浅美は、ティンと分かれてから再会するまでに武装が完全に戦闘用に変わっていることに。
特に注目するべきは位置が変わっただけの剣系武装ではなく、やたらお金が掛かっている銃系武装。ガンホルスターを買っているんだ、しかも二つ。なら銃弾にだって手を出していてもおかしくは無い。
そんなのこれだけで分かるかって? 実にその通りだ。が、本編以外にもこの設定がちゃんと出てたりする。活動報告の記事名『ギリギリを狙ったぜ!』でちろっとだけ、この魔力弾について触れている。つまり、この記事こそが今回の銃弾が凶威力描写だったフラグだったんだ。
で、何故浅美がそれに変えたのか?
さてさて、浅美が魔力弾に変えた理由は二つ。まずコストが低く済むこと、低コストなのに威力が高い。この二つのみ。じゃあ、別の問題と行こう。
Q、低コストとは?
A,上記の通り魔力弾の生成方法は極端な話、空薬莢と術式作成の知識と魔力を生み出せれば簡単に生産及び量産が出来る。つまり、空薬莢が魔法に耐えれなくなるか、銃によってマガジンに入らなくなるまでずっと繰り返し使い続けることが可能。つまり、金が掛かるタイミングが空薬莢入手くらいなのですっごく低コスト。
Q、高火力とは?
A、魔力弾は基本、生み出す魔法使いの魔力攻撃力そのままを威力に反映できる。小規模な魔法でもある為、ぶっちゃけた話この魔力弾を瑞穂が使えば9mm自動拳銃が戦車主砲、林檎が使えば同じ銃でもはや戦艦主砲に匹敵する威力になる。え、何でこれ使わないのかって?
基本、魔導師に銃を使うって頭は無い。と言うより、魔法の威力強化できないし魔法制御の効率化も出来ない銃より杖や腕輪の方が遥かに強いってだけ。何せ9mm自動拳銃を戦車や戦艦の主砲級にするより、杖や腕輪を使って超高性能爆弾とかにした方が戦略的にも有効だし。そもそもこの二人、特に林檎なら銃無しで戦艦の主砲級の弾丸くらい飛ばせる。
Q、でもなんで分かれた後に? そんな有能な武器ならもっと前から変えるべきだと思うが。
A、こればかりは酷い理由しかない。いいかい? 突込みどころ満載だぜ?
ずっと変えて無かった理由は、単に、その存在を知らなかった。と言うかかつて浅美が組んでいたパーティメンバー全員その存在を知らなかったと言う杜撰過ぎる理由である。
ちなみに、理由も全部きっちりあるのが尚酷さに拍車をかけてあるのが何とも。
火憐→そもそも知らない。魔力弾よりも普通の魔法の強いだろJK。
メイリフ→銃? え、何それ美味しいの?
林檎→銃等と言う軟弱な武器、知りたくも無い。
美奈→銃器には疎い。と言うか、よく知らない。
刃燈→同じく銃器には疎い。
瑞穂→存在は知っていたし、作り方は知っていたけど浅美の魔力は低いから意味は無いだろうと決め付けていた。
はいそこ、瑞穂を殴りたいと思っちゃいけない。こいつはこう言う女だ、この女を主役にしたらこんな描写山のように出るからこのくらいでカチンときちゃ駄目だ。
と、一応殆どの面子がその存在を知らず、約一名は知っていたけど無意味と断じて言わなかった。でも何で変えたのかといえば、次に浅美が集めたパーティから銃器に詳しい人と出会い、教わり、浅美が実は魔法力の素養が高いと判明したからに他ならない。
おかげで浅美は魔導師として成長した方が圧倒的に強いと言う事実が判明するが、まあ置いておこう。
大体こんな所ですね。はい、この作品はこう言ったたった一行や数文字の文に詰め込むとは思えないような濃厚な設定が詰まっています。その恐ろしさはぶっちゃけ作者が読まないと意味が分からないほど、言い掛かりにも匹敵するレベルです。
しかしルドレフ博士は至近距離からアンチマテリアルライフルに匹敵する威力の銃撃を頭に受けて平気なのか……我ながら飛んだ狂人を出したものです。
それじゃまた。
Q、魔力弾が開発された経緯を詳しく。
A、おいおい短編一つ出来るほど濃厚な話が出るがいいのかそれで。




