初めての対人戦~対するは星の双剣士。
各武器の定義。
注:非常にどうでもいいのでスルー推奨。スクロールでおさらばしましょう。
短剣の定義は刀身柄含め全長五十cm未満、かつ刀身三十cm未満とする。以上の条件を満たしている場合、短剣と分類する。
刀剣の定義は刀身柄含め全長1m未満、かつ刀身五十cmから九十cm未満、刀身の厚さ二cm未満、刀身の幅三cm未満。以上の条件を満たしている場合、刀剣と分類する。
以上、参考資料『世界総合武器連盟・武器図鑑』より。
「――見られた以上は止むを得ん。そいつも始末しろ」
幹部級の男が言った瞬間、女は左手を右の腰に置き抜くと――星の剣が。続いて右手を左の腰に置き抜くと――星の刀が女の手の中に。
女は両方の剣をジャグリングする様に回しながら頭上で刀身を交差させ、音を鳴らして二刀を構える。
ティンはそれを見て、その大凡の構えの名を口にする。そう、その名は。
「二刀、流……ッ!?」
二刀流。そう、二刀流だ。二刀流と言ってもこの世界、アーステラに二刀流は大きく分けて三種類も存在する。
一つ、それは短剣二本による二刀流だ。
このタイプの特徴はリーチに乏しく、殆ど切れ味に威力を期待する短剣を二本持ち、より強烈な手数を持って敵を攻めるタイプだ。一番の長所は何と言っても短剣の持ち味を最大限生かし、ほぼ二倍に近いほどの手数を持つ事と短剣特有の防御能力の特化である。攻撃を受け流し、切り捌く事にも優れた短剣を両手に構える事は防御力の上昇に繋がるとも言える。
次は刀剣と短剣の二本による二刀流。人によっては正統派、人によっては最もバランスが良いと言われる二刀流だ。
攻撃用の刀剣に防御用の短剣をそれぞれ持って戦うタイプだ。言い換えれば、盾の代わりに短剣を持つ事で攻撃寄りになっている。だが、リーチの違う二本を同時に装備する事により他の二つのパターンより手数が減っている。だが、堅実な立ち回りを可能とするタイプであることに変わりはない。
そして、最後――これこそが二刀流の中で最も有名かつ、最も扱い難い二刀流。刀剣二本によるリーチの長い剣を両手に握るタイプの二刀流であるッ! 他の二タイプと比べ、非常に扱いづらい。
理由は二つ、リーチと重さである。刀剣は短剣よりも巨大な為、長いリーチによる振り難さ、重さによる持ち難さが多大に影響が出るのだ。特にリーチに関してはより扱い辛さに歯車をかけている。長い刀身ゆえに二本の剣を扱う際、小回りが利き難く腕が絡まり、時には自分の腕さえ切ってしまいかねないのだ。つまり、二本のリーチのある剣を巧みに操り、刀剣を腕一本で振り回すほどの腕力と体力が要求される。
だが、この二刀流には他の二刀流にはない大きな長所が存在する。そう、武器の重さとリーチを生かしたまま敵に圧倒的な手数を叩き込める所、動き次第で単純に攻撃の重さが二倍と化す所であるッ! それがこのタイプの二刀流の魅力ッ!
そして彼女の構えは――刀剣二本の二刀流だ。
「ほおう、面白そうじゃねえか!」
突如として真上からそんな声が降ってくる。見上げればビルの屋上にリーダー格の仮面がもう一人いて。
「だ、誰!?」
「……黄龍」
黄龍と呼ばれたそれはビルの屋上から飛び降りて、ティンは即座に瑞穂を足で挟むとその場から飛び去り、直後に黄龍がティンがもといた場所に降り立つ。
女は二刀を構えて踵を返すと背後に襲い掛かって来た男二人を一気に横一文字に薙ぎ払うッ!
ティンも抜剣して掛かって来た男どもの内一人右肩口を切り裂き、次の男を返す刃で左腰に刃を当て切り上げ、身を回して次の男の右脇腹を一閃し、更に次の男を舞う様に頭上真ん中を切り裂き、別の男に肩からタックルして左肩口を切り裂くッ!
この間、僅か五秒ッ!
「黄龍、貴様には待機を命じたはずだ」
その光景を黙って見ていたリーダー格は黄龍と言うなの存在に意識を向ける。
「このオレが倒すことになるだろう獲物を見に来る位いいだろ?」
「イレギュラー要素が多い。今手を出すのは危険だ」
「へいへい、俺はお留守番してりゃいいのね」
続いてティンは他の男達の弱点を見切る。それがティンの長年の鍛錬により身に付けた技術。モノの弱点や脆い所を見切り、切り裂く。新聞紙の破り易い部分を破る様に――あ、意外と結構弱点だらけ。
ティンは打つべき急所を見切り、あっさりとそこに剣を当てて撫でる様にスライドさせて切り裂くッ!
(あの女……意外と動きが悪いな)
と、余裕が出来たので女の動きを見る。
女は両の手に握り締めた剣を振り上げて掛かって来た男をバツの字に切り裂き、続いて左右の男を切り伏せるッ!
直後、女剣士は後ろから羽交い絞めにされ前から殴りかかられる――が左の剣を後ろに突き刺して前の男を蹴り飛ばし、後ろの男を背負い投げの要領で投げ飛ばすッ!
更に女剣士へ三人の男が一斉に飛び掛り。
「重奏・流星刃」
二重に描かれる星の軌跡が、一斉にそれをなぎ払う! しかし、投げ飛ばされた男が立ち上がって飛び蹴りを繰り出し、女剣士は左の剣で足を突き踏み込んで右の刀で股座から切上げるッ!
(何だろう、見様見真似で踊りと剣術を混ぜた様な。あの程度なら……大した事はないな)
思いながら襲い掛かる男どもの内一人を突き、蹴り飛ばして振り返って次の男へ右肩から切り下ろすッ!
女剣士踏み込んで左の剣を右肩口に叩き付け反撃をされるよりも先に左の脇腹から右の刀を振り上げるッ!
「退けッ!」
ふっ。と、仮面の男達は夜の闇に紛れて消えていく。
「……なるほど、剣が変わるだけでこうも変わるとは。剣が剣士の魂である……その言葉の意味、深く理解させてもらった。
土産代わりに、我が名を告げよう」
「――名前?」
「強き者へ送る、礼儀と思ってくれ。この名は――四天王が一人、玄武。また会おう、ラグナロックの剣士」
言うだけ言うと背を向け、背後に手を突き出す。
「しかしこのまま帰るのも癪に障る。置き土産を残そう。何、この程度の輩も片付けられぬ様なら我の見込み違いと言う事になる。
さらばだ」
男が去ると同時、黒い獣たちが這い出て来る。聖都を襲った謎の獣達が。
「クソッあいつらなんてものを置いていくんだよ!」
ティンは言って剣を再び構え直す。同時、ちらりと背後に横たわる瑞穂に眼をやる。まだ目を回しており「はにゃにゃ~……」とギャグ漫画で出て来そうな気絶中のセリフを漏らしている。復帰にはまだ時間がかかりそうだ。
(瑞穂を守りながらこいつら……ちょっと厳しいか)
次にティンは何故かその場に残って居る黄龍と呼ばれる存在に目を向ける。
「丁度いいぜ。オレとやり合う資格があるかどうか見てやるよ」
そう言って黄龍は飛び上がり、再びビルの屋上へと飛び上がっていく。そして目の前で佇む女剣士に視線を向ける。
彼女はゆっくりと首を回し、周囲を見渡している。
「……こりゃ……ちょっと……」
微かに見える口元がわずかに動くのが見えた。
が、ティンに読唇術を習得してないし、風の魔法使いでもなければ地獄耳も無いので何と言ってるのか皆目見当もつかない。
女剣士は首を振ると再び二刀を構える。
そして、獣たちが一斉に襲いかかってきたッ!
ティンは男達を切り裂いた時と同じ要領で次々と襲いかかって来る獣達を切り裂いていく。踊る様に、払う様にッ!
跳びかかって来た獣の頭上に斬撃一つ、もう一匹に返す刃で顎の下に斬撃一つ、後ろから来たのに振り返って口から上下を真っ二つッ!
女剣士もまた左右の剣を巧みに振るって獣達を切り裂いていく。
しかし、ティンの様に一撃必殺ではなく二発三発の斬撃で沈めていく。その様子からはあまり実力が高いとは思えない。
それでも華麗に、そして確実に敵を切り裂いていく彼女の剣は中々のものだ。
襲いかかって来た前の獣を蹴り飛ばし、後ろから来た二匹に踵を返してバツの字に切り裂き、そこから右足を軸にコマの様に回転して周囲の奴を切り裂いて払い、後から来た奴に右から切り込み左から切り払うッ!
二人の剣戟により、次に倒れて行く化け物達。やがて二人が背を合わせると残りの化け物達も黒い血潮を撒き散らして倒れた。
そして、一瞬お互いに顔を合わせ距離を取る。
「で、あんた結局何者?」
女剣士は剣についた血潮を払って立ち尽くすのみ。
「一体どうしてあたしに味方をしたの?」
女剣士は二刀を握り締めるだけで答えない。やがて右手の刀の切っ先をティンへ向けた。
まるで、「剣士なら剣で語れ」と言わんばかりに。
「……やる気だって言うなら、こっちも容赦はしない。来るなら、来い!」
ティンは握った剣を一払いして上段に構える。
女剣士も改めて二刀を構えた。
(そういや、道場の外で誰かと戦うなんてこれが初めてだっけ?)
そして、二人は駆けだす――そしてティンは思い知る。二刀流の本当の恐ろしさを。
瞬間、ティンは何か嫌な感じをして握る力を弱めて女の右の刀を受けた――瞬間、左から突きが来るッ!
ティンは慌てて剣に力を込め、右の刀と交えた自分の剣を軸にして左の突きをよけ、ふっと右の刀から力が抜け、女剣士は一歩踏み込み右の刀を上段に構えて振り下ろすッ!
(これが、二刀流……ッ! 油断してた、さっきは複数に剣を向けてたぶん、今度は二本の剣がこっちに向くんだ!)
ティンは踊る様な足捌きで急いで後ろに逃げ――女は更に踏み込んで左の突きを繰り出すッ!
「なっ」
これには流石にティンは驚いた。自分の足捌きに追い付く人間が華梨や皐以外にも居るとは思わなかったから。世の中広い。
突きに対してティンは更に右側――と見せかけ左へと避けるッ! 相手はそれに釣られ思いっきり右の刀を振るい――左の剣も同時に振るうッ!
「くぅッ!」
ティンは剣を構え、鉄の激突音が軽く響く。だが所詮ついでに振られた剣、ティンは軽く捌いて懐に潜り女の脇下に剣を振るい――次は右の刀がそれを防ぐッ! 続いて女剣士は脚を払い、ティンはそれを足場に代わりにして跳び退き、距離を取る。
(……思ってた以上に、やる。何かだんだん楽しくなってきた楽しくなってきたッ!)
ティンは思わず足で地を鳴らし、小刻みに揺れ始める。リズムに乗り、より過激な剣戟に移る為剣を右側上段へと構える。
向こうもテンションが上がったのか、剣をジャグリングさせる様に回転させて目の前で剣を交差させ、火花を散らして構える。
そして、同時に駆け出す――距離十mッ! ティンは女の動きを見る。
残る距離九m――女剣士は右の刀を左の腰に置き、左の剣を右の肩に置く。
そして、距離八m――ティンはそれを見て、眼を見開いた。
続いて距離七m――その構えから見て取れる選択肢は三つ。
更に迫って距離六m――上段が先か、胴抜きが先か、それとも同時か。
残り半分距離五m――それは、ティンにとっては最も重要な選択肢。上段を防ぐか、胴抜きを防ぐか、両方同時に防ぐか。
気付けばもう距離四m――同時に防ぐを選べば一見どっちが来ても問題無い様に見える。が、その場合片方だった時に送れて飛んで来るもう一つの斬撃が変わり別の方向になる可能性と危険性がある。だが。
(両方から来ると言う選択肢はまず無いと思う……ッ! だって、軌道が重なっているッ)
激突はもう直ぐ距離三mッ! 同時の斬撃は両方の軌道が重なっている。だから、余程の手鍛でもない限り同時の斬撃の線は薄い。なら。
(右か、左か――!?)
もう相手は目の前残り距離二mッ! ティンは刹那の合間に頭を動かし、見切る。どっちが先か、それともどっちもか? 読み負ければ自分が斬られる、それは初手を取られると言う事だ。戦いにおいて、それほど不利な事はない。故にティンは悩むッ! 考えるッ! 理不尽な選択肢をッ!
(いや、ならいっそ下がる――いや駄目だッ! こいつはあたしのステップに追いつけるッ! 逃げるのは引き伸ばしと一緒。じゃあ、此処で仕掛けるかッ!?)
いよいよ選択の時――距離、一mッ! ティンは悩む。上段か胴抜きか? どちらを捌くか。
相手は既にまじか。女は腕を動かし、剣を振るう。そして――ティンは決める。その道を。選択を、する。気付かなかった、真の第三の選択肢をッ!
(そうだ……あったね。あたしらしい選択肢ッ!)
ティンは剣を握り締め、狙いを定め。
二人の女剣士が交差する。己の剣を振り抜いて。
夜闇の風が吹く。どちらが初撃を与えたのか? お互い軽装剣士。一撃で戦いが決まる可能性さえある。
「――ま、さか」
ぐらりと、黒コートの女が肩膝をつく。
「脚を、斬るなんて……」
決めた。ティンが……下段を振り抜いて、一撃を決めたッ!
が。
「ぐあッ……!」
ティンは右肩を抑えて肩膝を付く。
「胴抜きでも、上段でもなくて……上下、同時か……!」
が、それでもティンは立ち上がる。傷はない、痛みだけ。
しかし、勝負は一撃ではついてないと彼女は剣を構える。
「……え?」
ティンはちらりと見えた。女のフードが零れて見事な長い黒髪を。
しかし女は直ぐにフードを被り直す。そしてふっと消え去った。
「……逃げ、た?」
ティンが呟くと瑞穂が唸りながら立ち上がる。
「で、あんたは?」
上を見上げて、見下ろして居る黄龍を睨む。だが。
「引き上げだよ。ここでやってもいいが、玄武が駄目だとさ。あーばよ」
言って闇に溶けて行く黄龍。ティンは完全に気配が消えたことを確かめて。
「瑞、穂!」
「ん……頭、くらくらするぅ……」
そう言って頭を押さえる。まだ完全に回復しきってはいない様だ。
ティンは瑞穂の肩を支える。
「って軽っ! 瑞穂軽っ!」
と言う事で折角なので背負って歩くことにした。
浅美は買い物から帰って来てから事の顛末を聞くと、こうなった。
「どうして早くわたしを呼ばないのッ!」
お嬢さん近所迷惑、と言いたくなるほどのボリュームで怒鳴る浅美。
流石のティンもこれには吃驚である。
「い、いや、それは、最終手段と言う奴だし、結果的にあたし一人でどうにか」
「ならなかったらどうするの! 勝手に一人で行動しないでよッ!」
「み、瑞穂も倒れちゃったし」
「余計にだよッ! ティンさん防衛戦なんて出来ないじゃん!」
「ま、まああれだよ、結果オーライってことでさ、ほらナポリタン食べようよ。買って、来たんだよね?」
ティンの言い訳めいた返しに浅美はずずいっと顔を近づけて。
「もう無茶はしないって、約束して」
「え、あいや、それは」
「や、く、そ、く」
小指をティンの目に突きささん勢いでビッと突き出す。怒り心頭の浅美にティンはおずおずと小指を差し出して、浅美がティンの指に絡めて来て。
「ゆーびきーりげーんまーんだからね、今度なにかあったらちゃんと呼んでね?」
「分かった、分かったよ、約束する」
ティンは剣呑な浅美に何とか返し何度も頷いた。約束した浅美はある程度満足したが、実際は空腹なのでそっちに取り掛かる。
で、肝心の瑞穂は。
「……くにゅぅ」
寝てた。それにティンがコメント。
「……気絶から睡眠に移る人間始めてみたよ」
翌日。二人は今日でアルバイト最後。張り切って開店前の店内掃除を始める。
そんな時、店長がギターを持って出て来る。ティンはそれを見て。
「あれ、店長それどうしたの」
「なに、うちの奥に眠っていた物を引っ張り出したのさ。所謂趣味の産物さ。今日で此処を止めていく人が多いからね、まあ逆に昨日から入った子も居るが……まあ軽い歓迎会と送迎会と言うところだ。
浅美くん、悪いがコーラスをお願いできるかね? ただ私の演奏に乗って鼻歌でも歌ってくれれるだけで良いから」
「ん、良いけど……」
「すまないね」
浅美は乗り気じゃなさそうに返事すると呼吸を整える。
そして、店長の奏でるギターが響き、浅美が歌った。
「はい、お給料だ」
ティンは店長から直々に給料袋を手渡され、何とも表現し難い感情が湧き上がる。
「ははは、そんなに給料を貰うのが嬉しいのかい?」
「うん!」
「はっはっは、そんな笑顔で返されるとこちらも嬉しいよ。それではまたね、ティンくんに浅美くん。またこの街で働きたくなったら何時でも来るといい」
「はいッ!」
「ありがとうございます」
ティンは思いっきり頭を下げ、大して浅美は軽く頭を下げる。
挨拶を終えると二人は踵を返して歩き出す。
「で、何処いこっか?」
「えっと……携帯型おきがえ君って何処に売ってるの?」
「コンビニや雑貨屋だよ。じゃあデパートに行こうよ、丁度夕飯も買っていくから」
二人はそんなこんなでデパートにたどり着く。と浅美が携帯電話を取り出す。
「あ、瑞穂さん? うん、今仕事終わって買い物する所。お給料? うん、ちゃんと貰ったよ。でね今日は何にする? うん、分かった」
「瑞穂、何だって?」
「好きにして良いって。ティンさん、何処に行けば良いか分かる?」
「……さっぱり」
「じゃあ案内してあげるね。こっちだよ」
と、浅美はティンの手を引いて……案内板の前に立った。
「……何を言えば良いの?」
「えーっと、携帯型おきがえ君の売り場はーっと」
「返す事さえないの!?」
浅美は返事する事なくうんうん唸りながら案内板を見つめる。
「日用雑貨売り場。携帯型おきがえ君ならそこ」
と、二人の背後から声がかかる。振り返ってみれば、瑞穂が立っていた。
「あれ、来たの?」
「うん。浅美さんが無駄使いしない様に」
「あれ、さっきの電話で色々言ってなかった? 夕飯とか」
ティンは疑問を言葉にする。確かにそうだが。
「ああ、それ。給料日だから好きにして良いって言ったけど、金銭面で好きにして良いとは言っても聞かないだろうからこうして来たの」
「なるほど、そりゃ確実だ」
「えーっ、なんでーっ?」
瑞穂とティンのやり取りに浅美は大いに不満を漏らす。
「じゃ、まずは日用雑貨から行くよ」
「ほーい」
と言う事で三人は移動。
「あったあった! これが携帯型おきがえ君かー!」
とティンはスイッチ型の装置が入った袋を手に取る。
「他に買いたいものはある?」
浅美はティンの横に立つとそんな事を言った。彼女は言われて考え始め。
「んーそうだ、携帯も買っていこうかな?」
「別に良いけど……携帯持ってないの?」
「うん。あたし遠くに行く事ないから持つ事なくてさ」
「じゃ、行こう。確かこの階に売り場があるから」
と瑞穂が先導……ではなく浅美が先導して携帯売り場へとたどり着く。
「じゃあ私が手続きとかやっておくから、二人は他の欲しいの買ってていいよ。後、この階から動かないでね
あ、後ティンさんの冒険者ライセンスも貸して。手続きに必要だから」
そう言って瑞穂はティンから冒険者ライセンスを受け取ると携帯売り場の受付へと向かう。
「携帯って手続きが要るの?」
「うん。電話会社とか色々ね。ティンさん、他に欲しい物は?」
「えーっと……あ、おんがく君だ」
ティンは携帯売り場の近くにある携帯型音楽プレイヤーを売っている所に向かう。
「おんがく君欲しいの?」
「うん。音楽聞くの好きだし」
「じゃあ買いなよ。お金はあるよね?」
「え、良いの?」
「うん、自分で稼いだお金があるんでしょ? それで買いなよ」
「……うん!」
買い物を終えた三人はデパートを出る。
「はいティンさん。携帯」
「あ、ありがとう」
「私と浅美さんの番号が入ってるから、何かあったら遠慮せずにかけて」
そう言ってティンは携帯を受け取った。
ども、やーです。今回もやたら解説ばかりでつまらんと思います。
というか皆こう思っているでしょう。「世界総合武器連盟って何!?」と。
世界総合武器連盟とは通称WW連盟と呼ばれる武器の販売や鑑定などを司る組織です。この世界一の武器マニア集団です。武器の規定などは彼らによって行われています。
世界で一番武器に煩い連中です。武器について語らせたら3時間は軽い連中です。
加入条件? 武器語り二時間以上。その上で審査員を納得させること。
後、二刀流については結構思い入れがあるので軽く語ってしまいました。引いていいのよ? マニアの語りとはマジ顔でドン引きするものです。
ちなみにおんがく君はこっちの世界で言うウォークマン的なものです。
それでは次回にでもー。