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【短編】三人だけの秘密は、甘美で罪の味。~天才達の完全犯罪~


 ディアルーナは、異世界転生者である。


 しかし、地球育ちの前世を覚えていたところで、何になるのだろう。


 そう、ディアルーナは考えている。


 他人に話したところで、真実かどうかもわからない上に、頭の具合を心配されるだけの話。異世界転生したとSNSで呟けるわけでもない。呟けたとしても、やはり頭の具合を心配されるだけのことだろう。


 不遇な環境したに生まれ育ったから下剋上をする、ということもなく、ディアルーナは恵まれた家庭ですくすく育った。

 地球とは違う世界観の異世界ではメシマズ、というわけでもなく、時代が中世風で生活に苦労する、というわけでもなく、魔法文明が進んだ世界で魔法に触れてすくすくと育った。


 そもそも、ディアルーナの父親は魔法研究所の所長でもある魔法使いであり、豪邸暮らしが約束された高位貴族の公爵だったのだ。恵まれている。


 そういうわけでディアルーナは幼い頃から、魔法に触れてきた。

 人生二回目だからと言って神童だと持て囃されるようなことはない。何故ならこの世界の義務教育を一から学習しなければいけないが、ラノベでよくあるような一度義務教育を終えているから楽勝ー、ということにはならないとディアルーナは思っていた。

 何故なら、魔法があるからだ。流石に1+1などの足し算は解ける。しかし、言葉は一から学ばなければいけない。さらには、魔法文字となるものも別に学ばなければいけなかった。


 ディアルーナは日本語という海外から見れば難しい分類の言葉を話せる使える読めるから頭がいい方だと自負していたが、複雑な記号にしか見えない魔法文字には心底苦戦した。粋がってましたすみません、と心の中で謝ったくらいだ。


 そんなわけで、転生者ディアルーナは、魔法文字のせいですっかり自己評価を下げ、自分は神童ではないと自覚している。


 周りも、流石は魔法研究所長の娘、という目で見ていて、幼いながらに魔法文字を理解していることになんの疑問も抱かなかった。


 そう。魔法研究所長という凄腕魔法使いの娘だからという理由で、当然出来ることだと判断されて、特別視されなかったのである。その肩書きがなければ、また違っていただろう。何故なら、魔力の才能を受け継いでいる血筋はあれど、魔法文字を理解している頭脳は、幼女にはあまりにも不釣り合いだった。


 周囲は当然、凄腕魔法使いの手ほどきがあってのことだと勝手に思い込んだが、その父親の手ほどきなどほとんどなかったのである。多忙を極める父親、魔法研究所長が娘ディアルーナの勉強を見る機会などほぼなかった。一緒にとる食事時に「勉強は順調か?」と尋ねて「うん」というやり取りぐらいしかとっていない。


 夫婦にとって初めての子どもであるディアルーナだから、自分達の子どもだからこれくらい頭がよくなるのか、という認識程度だった。


 しかし、異世界転生故の障害により、元母国語になる日本語とかけ離れた異世界の言葉を学ぶのは、難易度が高い。常人ならば、異世界の言葉学びで躓く。なのに、ディアルーナは並行して学んだ。学び退けた。


 つまりは、異世界転生者あるあるの天才さを発揮しているディアルーナは、異世界転生あるあるの無自覚ムーブをかましているが、それを当人も周囲も気付くことはなかったのである。


 だから、冒頭に戻るのだ。異世界転生したところで何もない、とディアルーナは思うのである。


 その後も、基礎的な魔法文字を習得したディアルーナは、魔法に傾倒。父親だけではなく、母親も魔法研究者である故に、専門的な知識も得られる本を目にすることが出来たディアルーナは、どんどん吸収していった。それはディアルーナがそういう環境に恵まれていたからこその当然の成長だ、という認識である。確かにさらなる成長が出来る恵まれた環境にあるが、常人は先ず、異世界の言葉の学びで手一杯になって魔法文字まで学べない。恵まれたとしても、頭脳が足りない。残念ながら、その修正が出来ることはなかったのである。



 魔法パズルというものが開発されたのは、ディアルーナが7歳になった年だ。


 正しい手順でパズルを解かないとリセットされる難解なパズル。誰もが作れて、誰もが挑戦出来る。その魔法パズルの最難関問題を出題したのは、ディアルーナだった。

 パズル板は一番易しいもので、ピースが6×6である。ピースは正解になれば柄がわかるようになる仕様。

 一面をただ揃えるだけのパズルと言うこと勿れ。これは、魔法パズルだ。


 魔力で動かすピース。その魔力量は幼子にも流せる微量で構わないが、正しい手順でなければ、パズルは元の初めの位置に戻される。リセットだ。あと一手でパズルが完成しようとも、間違えれば最初からに戻される。


 一面のピースを動かすだけならば、レベル1。パズルでありながら、複雑な迷路のような問題。難易度が上がるならば、魔力量の調節というギミック要素も加わる。さらに、隣接したピースの交換で、難易度は上がっていく。


 レベルが上であればあるほど、試行錯誤を余儀なくされる難解パズル、それが魔法パズルだった。

 娯楽品として誕生した魔法パズルは、すでに問題が設定されて商品として売り出されるが、新たな問題を設定出来る使用となっている。


 よって、ディアルーナの両親は、魔法研究所生まれの魔法パズル6×6をディアルーナにプレゼントした。初期問題が解けたら、新たに問題を作ってあげる、という約束をして。


 その魔法パズルの絵柄は、特注品だ。


 ディアルーナの名前は、月色のダイアモンドと呼ばれる宝石の名である。産まれたディアルーナの瞳が、まさにその色だったことから名付けられた。やや癖のある髪は、瑠璃色。顔立ちがよく整った公爵夫妻から生まれたディアルーナは、そんな容姿の美少女だ。

 月光華という花が一輪、そして背景は瑠璃色の絵柄の魔法パズル。

 ディアルーナは、すぐに解いた。


「出来た」

「あら、すごいわ。ディアルーナ。楽しかった?」

「面白かった」

「ではもっと解くか? 新しい問題を作ってやろう」

「うん」


 レベル1の問題がすぐ解かれても、特別すごいことだとは、一同は思っていなかった。

 そして、6×6ピースの魔法パズルでは難易度は低すぎると考えた公爵は、二問目は魔力の微調節もクリアしないと解けないものに設定した。


「あ……リセットされた」

「そういうパズルだからな」

「ふーん、面白い」

「気に入ったようで何よりだ」

「ありがとう、お父様、お母様」


 お礼を伝えたディアルーナは、その魔法パズルを持って娯楽室に向かう。ソファーにちょこんと座り、パズルと解こうとピースを動かし始めた。


 娘が新しい玩具を気に入って何より。

 母親は微笑んだが、父親は一つ頷くだけ。父親はあまり感情の起伏がない不愛想な人間だ。

 娘のディアルーナも父親によく似てしまったのか、子どもらしく騒いだりしない大人しい子である。

 人生二回目なので、落ち着きがあるのもしょうがない。父親とそっくりな性格、と認識されているために、ディアルーナが子どもらしくないと不気味がられはしなかった。


「お父様。解けた」

「……何?」


 ディアルーナにプレゼントも渡したし、夫婦でゆっくり過ごそうとした時、ディアルーナが魔法パズルを持って戻ってきたことに驚く。それは緩やかな表情の変化だった。

 差し出された魔法パズルは、確かに月光華の絵柄が揃っている。


「……どうやって、こんなに早く解いた?」


 流石に魔力の調節部分で試行錯誤すると思ったのに、どうしてだ。


「魔力の調節のところ、強弱つけてカチッと手応えあれば、正解がわかったから」

「何……? ……ふむ」


 ディアルーナ曰く、手応えを探るだけで正解を見つけ出せるという。

 公爵は設定した問題に再チャレンジ出来るリセットボタンを押して、自分の問題と向き合うことにした。言われた通り、魔力の調節の箇所で流し込む魔力に強弱をつけると、正しい魔力量でカチッという手応えが僅かに感じ取れたのである。そうして、ピースを動かしていけば、簡単にパズルは解けた。


「本当だな。研究者も気付いていなかっただろう。すごいぞ」


 公爵は、自分の娘の頭を撫でて褒める。


「これは一つ目のギミックだけでは、難易度が上がらないかもしれないな」

「まだギミックがあるの?」

「ああ。もう一つのギミックを追加してほしいか?」

「うん」

「少し待っていろ」

「担当にも報告しないといけないわね。魔力調整のギミックには簡単に見破れるコツがあるって。お手柄よ、ディアルーナ」


 夫人も同じく自分の娘の頭を撫でた。


「出来たぞ。もう一つのギミックはピースの交換だ。もちろん、間違えれば、リセットされる」

「わかった。ありがとう」


 新たな問題をセットした魔法パズルを持って、またディアルーナは娯楽室へてくてくと戻っていく。

 今度こそ、夫婦の時間を楽しんだ。


「お父様、お母様。おやすみなさい」


 就寝の時間が来て、ディアルーナは挨拶に来た。


「おやすみ、ディアルーナ。……ああ、待て。パズルは渡しなさい。夜更かししてはいけない」

「? もう解いたから、夜更かししない」


 キョトンとした顔で小首を傾げるディアルーナは、引き留めた父親に魔法パズルを差し出す。


「え……?」と声を零してパズル板を見る。

 問題がセットされているが、自分が用意した問題ではないとすぐに気付いた。


「ごめんなさい。自分で問題を作ってみた」

「あ、そうか……そうなのか」


 一時間も経っていないのに、もうギミック二つを使用した問題を解いたという。


「よく……問題が作れたな?」


 パズルが解かれたことにも驚きだが、ヒントもなしに自身で問題をセットしたことに心底驚いている。


「少し難しかった」


 こくりと頷くディアルーナ。


「……私が解いてもいいか?」

「うん」


 また一つ頷くディアルーナは、くるりと背を向けた。

 解くことを見届けることなく就寝するようだ。


 その判断は正しかった。

 何故なら、公爵はその場ではパズルを解けなかったからだ。

 正しい道順でピースを進めるも、ギミックで躓いてリセットされる。進んでも進んでも絵柄は完成しない。集中していれば、魔力量を誤り、リセット。隣のピースの交換も試して、新しい道順を進んでいっては、またリセット。繰り返すリセット。繰り返す手順。


 やっと絵柄が完成頃には、書斎で朝を迎えていた。


(……我が娘は天才なのでは?)


 完成された絵柄、月光華を目を眇めて見つめて、徹夜明けの頭で真実に辿り着く公爵だった。



「お父様、顔色悪い」


 朝食時、ディアルーナから指摘された公爵は、夜通しパズルをしていたとは言えず「大丈夫だ」とだけ答える。


「……そうだ。昨日のパズルだが、研究所に持っていってもいいか? なかなかいい問題だった。娘が作った問題だと自慢したい」

「いいよ」


 あっさりした回答。すでに問題を解いた魔法パズルに興味はないようだ。


「何か感想はあるか?」

「んー……。ランダム機能があれば、一人でも遊びやすいと思った」

「……そうか。伝えておこう」


 ランダムで、自動で問題を作ってくれる機能があれば、誰かに問題を作ってもらう手間もなく一人でパズル遊びが出来るという意見。公爵は、伝えるとともに、ディアルーナが作った問題を仕事場である魔法研究所へ持っていき、頭のいい研究員に挑戦させた。


「なんなんですか、この最高に難関なパズルは」


 結果、昼頃には挑戦者達にそう言わしめた。


 それぞれ時間制限を30分に限定して挑戦させたが、その30分だけでも十分に難解だと印象付けた。先ず、所長は魔力量のコツを知っていたため、なんとか一夜で解けたが、挑戦者達は魔力量のギミックにぶち当たる度、リセットを余儀なくされていた。微量の強弱が難しい。正解の魔力量を見つけ出すことに何度もリセットを受ける。次に進んでもリセット。同じ正解の魔力量が出せず、リセット。リセット。リセット。


「流石、所長ですね」

「……私が作ったと思うか?」

「え? 違うのですか?」


 挑戦者達は当然、この問題は凄腕魔法使いの所長が作ったものだと思い込んでいた。それ以外に考えられないからだ。


「私ではない。娘が作った問題だ」


 爆弾発言が投下されて、その場は凍り付いたように静まり返った。


「……娘さん。今年7歳ですよね」


 副所長が沈黙を破り、尋ねる。所長は、重く頷く。

 齢7歳の少女が作ったパズルに、大の大人達は難関だと頭を抱えていたのだ。

 このえげつない微細な魔力量のギミックを設定したのは、齢7歳である。


「私の娘は天才かもしれない……」


 一徹の頭で所長はぼやく。周囲は同意したくなった。

 そこで待ったをかけたのは、まだ挑戦していない研究員だ。


「いやいや、テキトーだったんじゃないですか?」


 と、宣った。いい加減と書いて、テキトーと読む。子どもがいい加減に作っただけのパズル問題。


「所長も親バカなんですね。きっと本人だって解けないでしょう」

「む……それもそうだろうが……」


 一徹の頭の所長は、一理あると頷いてしまう。なんせ、この問題を作った本人は、一夜明けても覚えている保証はないのだ。つまり、いい加減(テキトー)に作っただけの産物のパズル問題である可能性がないとも言えない。


「所長は解けたんですよね!?」

「ああ、解けた」

「なら、解けるまで挑戦する!!」


 一人の挑戦者が躍起になるのを、所長はコーヒーを喉に流し込んで眺めた。


「えー……オレはディアルーナ嬢が本物の天才かどうか確かめたい。パズル、本人に解かせてくれよ」


 長い付き合いで気心知れた副所長が、そう頼んでくる。


「ああ! また魔力量でリセットされた! 難しすぎるだろ、このギミック!」


 その副所長から気が逸れて、所長は思い出す。


「……そうだ。魔力量のギミックを解くコツは、魔力量の調整でカチッという手応えでわかるぞ」

「「「……それを早く言ってください!!!」」」

「すまん」


 一徹の頭ではそこまで気が回らなかったのである。


「娘が気付いたんだ」


 目頭を揉みながら言えば、またもや凍り付いた空気。

 がしり、と副所長に肩を掴まれた。


「今すぐディアルーナ嬢を呼んでくれ!!」


 必死の形相をする副所長の顔を見ても、表情は微動だにしないように見える所長は淡々と「わかった」と承諾したようにしか見えなかっただろう。正直、コーヒーを流し込んでも覚めない眠気が吹っ飛んだ。


 妻に娘と一緒に遊びに来い、という名目で呼び出した。おやつの時間に、ディアルーナは魔法研究所に到着。

 休憩室に通されたディアルーナは、魔法が開発される研究所という場所に興味津々で、大きな瞳をキョロキョロさせていた。どこまで見ていいのだろうか、という好奇心でいっぱいである。


 そんな一見子どもらしいディアルーナを見て「いやまさか」、「でももしかしたら」と研究員達はソワソワしていた。一緒に来た母親は、その視線に首を傾げる。


「ディアルーナ嬢、いらっしゃい。ところでディアルーナ嬢、昨日このパズル問題を作ったんだって? とっても難しいですね。どうやって解くか、見せてもらってもいいですか?」


 一息で副所長は挨拶もそこそこに用件をぶっこんで、魔法パズルを手渡した。


「はい」


 見せてほしいと言われたので、ディアルーナは受け取って魔法パズルを解き始めた。スルスルとピースが動く。正しい道順で進みつつ、正しい魔力を流し込まれていき、時には隣のピースを交換し、かき混ぜられた絵柄を変えていった。

 一度もリセットすることなく、完成された月光華が副所長に差し出され返される。


 誰もが固まった。親バカだと笑った研究員は、顎が外れかけるくらい口をあんぐり開けて絶句している。


「……私の娘は天才か」


 静まり返った空気の中、所長の言葉が嫌に響いた。


 その魔法パズルは、永久保存版として魔法研究所に飾られることになった。もちろん、問題は二度と上書きされないように、手も加えられて。


 こうして、周囲の認識は『天才少女』となったのだが、当人の認識は変わらない。

 恵まれた血筋と環境だから、これぐらいは普通では? と。




 ところ変わって、天然の天才がいる。

 転生者ではない、真の神童がそこにはいたが、あいにく恵まれた環境とは言い難い生い立ちだった。


 天才は二人。双子の少年である。

 双子だと言うことが災いした。その家では過去に双子の過ちのせいで爵位が伯爵位から男爵位まで落とされたことがあり、親も祖父母も嫌悪を剥き出しにした。双子は自分達の家を貶める存在にしか思えなかったのだ。そういうことで、双子は冷遇された。


 赤子の頃は、乳母に世話を丸投げ。ある程度成長すれば、使用人のように働かせた。あとから生まれた弟とは、大違いの冷遇環境で育ったのだ。


 まさに、ラノベで下剋上をするに最適な環境。

 双子は反抗した時もある。ろくに愛情をくれもしない家族のために何故働かなくてはいけないのか。そもそも何も過ちを犯していない自分達がこんな目に遭うのはおかしい。幼いながらも、疑問を持ち、そして抵抗した。しかし、過去に家の爵位を下げるほどの過ちをした双子だから、双子だからこそ罪深いと罵られて、折檻されて以来、大人しくしている。


 大人しくして見せているだけで、復讐の時を虎視眈々と待っていた。


 その男爵家は、魔法研究所に所属する魔法使いでもあった。よって、図書室には魔法を学べる書物がたくさんあり、双子は掃除を言い渡されてもサボって魔法を学んでいた。魔法文字は、魔法使いの家の子どもとして必要科目として独学を強いられたが、ちゃんと覚えた。


 双子当人はどちらが兄か弟かなんてこだわりを持っていないし、周囲も大して気にしていないが、見分けをつけるために兄と弟と区別されている。


 兄の方は、直感型の天才肌だった。多少ムラはあれど、絶好調な時は家を吹っ飛ばす爆撃魔法も撃てるだろう。大人ですら、成功させるのが難しいであろう危険な魔法。いざという時は、爆発するであろう爆弾である。しかし、それは最終手段としてとっておくことにしている。


 弟の方は、真の天才だ。魔法文字をすんなり習得し、書物で学べる魔法を学び尽くし、新たな魔法を編み上げていて、復讐の時を待っている。自分達が受けた苦しみの倍は苦しむような魔法を、否、呪いをかけるつもりだ。いかに長く苦しめられるか、いかにどれほど苦しめられるか。それだけを考えた呪い。


 あとは、編み上げたこれを、復讐相手の彼らにかけるだけである。両親、そして祖父母、便乗してこき使う使用人達もだ。従順に従っているように見せている少年は、呪いを準備していた。


「そんな呪いをかけたら、すぐにバレてしまうわよ」


 ギクリと焦りを走らせる声をかけたのは、この物語の主人公、ディアルーナだった。


 瑠璃色の髪をふわっと靡かせて、公爵令嬢らしいドレスに身をまとう美しい少女、ディアルーナ。年は9歳となる。

 あれから三年。


 ディアルーナの魔法パズルは、ファンがいるほどに人気である。魔法研究所の魔法使い達はこぞって面白がって、ディアルーナがまだ知らない魔法を学ばせた。どんどん吸収していく無自覚天才ムーブをかましているところである。


 そんなディアルーナは、いつまで経っても自分を天才だと認めないため、副所長が提案した。同じ年頃の子ども達と交流すれば自覚するだろう、と。


 そんなわけで、巡り巡って、双子が冷遇されている男爵家に招待された。もちろん、冷遇された双子と同い年だが、交流する相手は双子ではなく、二つ下の弟の方だ。

 実際、ディアルーナは会って来たあとだったが、あまりにも会話が合わな過ぎて早々に離脱した。

 そもそも、ディアルーナは同じ年頃の子どもと交流しようキャンペーンに辟易していたのだ。

 元々、同じ年頃の子どもと精神年齢が違うのだから、話が合うわけがないのである。終始、帰りたい、と思っていた。


 今回訪問した男爵家は、男爵位の割には豪邸だった。それもそのはず。伯爵時代から変わらない屋敷だからだ。敷地内の庭園は迷路のように広いため、ディアルーナはお手洗いと称して離脱して探検しに来て、そうして双子を見付けたのだ。


 ちょうど、双子弟が呪いを確認しているところを目にして、先の発言が出たのである。

 警戒を滲ませてこちらを睨みつける双子が、先程の交流相手と顔立ちが少し似ていること、そして衣服はボロボロだということを見て、把握は出来た。先程の交流相手よりも年が似ているというのに、会わせない、存在も明かさないということは、だいぶ酷い立場だと推測が出来たからだ。


「苦しめたい呪いなのよね?」


 右手をフイッと振り上げて、ディアルーナは魔力を撒き散らした。彼女の瞳によく似た月光のような仄かな金色の魔力は砂のように舞い上がり、宙に形を作っていく。それは魔法の術式。もっと言えば、双子弟が確認していた呪いの術式だった。


 これは無属性の魔法に分類される、空中にウィンドウを開くような魔法である。魔力の調節次第で、頭に思い浮かべた人相も映し出せる優れものだ。


「ここが毒系の魔法術式でしょ?」と左手の指で差すディアルーナ。


「じわじわと浸食して、内部から破壊されていき、やがて死に至る。苦しめたいのなら、ピッタリだ。でも簡単に犯人があなただってわかってしまうわ。魔力隠蔽の術式を応用して、ここをこうするの。これで誰がかけたかは特定が難しくなる。でもここまでだと、呪いによる毒殺だとわかってしまうでしょ? そうすると、やっぱり簡単に犯人が特定されてしまう。なら、魔法隠蔽の術式を組み込めばいい。これは難しいけれど、ここにこれで、こうして、こうね」


 左手の人差し指を動かして、術式を変えていくディアルーナは、他者が聞けば真っ青に青褪めることを淡々と口にして、そして完全犯罪の魔法術式を作り上げていく。


 金色の粒子のように術式を描く魔力を隔て、双子兄はディアルーナに見惚れた。


 さっきの警戒はどこへやら、キラキラした金色の隙間から見える美しい少女に、口をポカンと開けたまま見惚れてしまう。子どもらしくなくやつれた頬は、赤みを差す。朝焼けのような橙と青のグラデーションの瞳も、キラキラと輝く。


 双子弟も、目の前で作り上げられる難易度が高い完全犯罪の魔法術式に呆気にとられつつ、その術式を作り上げてしまった美しい少女に見惚れてしまうが、それどころじゃないと理性が引き留めていた。


 兄と同じ朝焼けの瞳を術式と少女の交互に向けつつも、声を絞り出す。


「僕には、無理……」


 ここまで複雑な魔法術式を扱えない。そもそも魔力の隠蔽の術式も、魔法自体かけていないように隠蔽する術式も、双子弟にはまだ理解が及ばない高度な魔法術式だった。

 これでは使えない。理解出来てもいない高度な魔法を使おうとしても、途中崩壊する。下手をすれば、毒の魔法を自分が浴びる羽目になるだろう。


「そう? あの毒の呪いを作れたなら、これくらい行ける気がするけれど」


 そんな、買いかぶりすぎだ。

 確かに双子弟は、独学で呪いを作り上げた。それは天才と評価される才能があると自負出来るほどの成果だ。解呪なんてさせないほどに、複雑にした術式。復讐相手にかけるだけだった。


「まぁでも」


 ディアルーナの右手が振り上げられて、金色の粒子をくぐるかのように振り払って術式を消し去った。


「長く苦しめたいなら、他の手を勧めるよ。どっちがいい? その呪いをかけて、魔法少年院に仲良く放り込まれるか。ちなみにその呪いの解呪なら、私の父親が出来てしまうから長く苦しめるのは無理だろうね。または復讐相手をぶち込んで、軽い呪いをかけて一生苦しませる。貴方達は自由の身」


 キラキラと魔力の残骸が降っては消えていく中、ディアルーナは微笑む。

 双子は揃って、ポッカーンと見惚れた。


「お前、誰?」


 頬を赤らめたまま、双子兄はそうなんか声を絞り出して、尋ねる。


 ディアルーナはドレスの裾を摘まみ上げると、軽く足を折り曲げて、カーテシーを披露。


「ディアルーナ・ラ・ピスラッツリ公爵令嬢、以後お見知りおきを」


 ピスラッツリ公爵家の令嬢、ディアルーナは挑発的な笑みを深めた。



 双子の名前は、兄がラスヴェート、弟がアギヴェート。


 両親が名づけもしなかったために、乳母が朝焼けを意味する名をつけたものだ。

 ミルクティーのような金髪は、そんな乳母も年でいなくなってしまい、手入れが行き届かなくてパサついた白髪のようなものだった。特徴的な朝焼けの瞳を持つ顔立ちの整ってるだけあって、ボロボロの衣服姿は痛ましい。


 ディアルーナは、冷遇された生い立ちを聞き、ラノベ知識的に下剋上してざまぁすべきだなと思ったのである。しかし、双子に泣かされた家が、再び双子に泣かされる展開になるとは、自業自得ざまぁすぎると思った。


 自分達を虐げる家の者に復讐したい双子に提案したことは、なんてことない。虐待の告発だ。

 ただ告発するだけではない。ちょっとした仕掛けもする。


 ディアルーナは、ある魔法を双子に教えると、二人の祖父母の元に突撃した。


「謝ってください。ラスヴェートとアギヴェートに!」


 家に遊びに来ている公爵令嬢に、虐げている双子について謝れと言われて、気まずそうにしぶしぶ謝る老夫婦。その場しのぎだろう。あとで覚えておけよ、という眼光が隠せていない。


「仲直りの握手をしてください!」


 子どもらしく楽観的に解決をすると思っている発言をして、ディアルーナは握手を促す。


 それが魔法を使うチャンスだった。先ずは、ラスヴェートが祖父と握手をするために双方の手を取って繋いだ。今である。

 ラスヴェートは遅行性の微量の毒魔法をかけ、同時にディアルーナはその魔法の隠蔽をかけた。

 次に、アギヴェートと祖母の手を取らせて握らせ、同じ魔法をかけたのである。


 それは後々、腹痛の症状が出る、至って微量の毒の魔法。しかし、魔法自体を解呪しなければ、腹痛が続く。つまり、気付かなければ、一生腹痛と付き合うことになると言うことだ。


 魔法研究所のトップでもない魔法使いの目を欺くのは容易かった。


 ディアルーナの両親は、双子の両親と談笑している最中だろうから、祖父母に呼びに行かせる。そうすることで、ディアルーナの両親を祖父母が引き留めるだろうからだ。それはディアルーナ達に都合がいい。

 魔法をかけるところを目撃されないのだから。

 最も、公爵夫妻に虐待の事実を隠したい男爵家からすれば、こちらも都合がいいだろう。


 ラスヴェートが母親に、アギヴェートが父親に魔法をかけ終えたあとに、男爵夫妻は口止めをしてきた。


「もう仲直りしましたので、どうかご両親には言わないでください」

「わかりました」


 わかったと言ったが、約束するとは言っていない。笑顔のディアルーナは、男爵夫妻を一先ず安心させた。

 男爵夫妻も、二度と双子を虐げないと約束していないしね。


 一旦、双子とは別れた。そうして、ディアルーナは両親と合流したところで。


「この男爵家、長男と次男の双子を虐げていたの! 虐待、怖い!」


 早速言いつけた。

 爆弾発言に凍り付くその場。

 冷ややかな公爵夫妻の視線が男爵家を襲った。


 直ちに、双子を確認した公爵夫妻はあまりにも痛々しい姿の二人を保護するように手配。


 魔法警察が呼ばれることになり、事情聴取から始まる男爵家。その頃には、男爵夫妻も祖父母も腹痛を訴え始めた。しかし、念のため診察しても何も異常はないため、演技と見做されてさらに冷たい視線に晒される羽目になるのであった。激痛というほどでもないが、いつまでも痛い腹を抱えつつ、洗いざらい罪を吐かされる男爵一家。


 叩けば埃は出るもので、家宅捜査で前男爵の脱税、現男爵の魔法研究所の研究費横領が発覚。爵位剥奪が決定した。


 双子の保護先は、ピスラッツリ公爵家だ。


 男爵家よりも豪邸で、綺麗な服を着て、温かで美味しいご飯をお腹いっぱいに食べて、ディアルーナの魔法パズルに挑戦する穏やかな日々を過ごした双子。



「ねぇー、オレの月光華。なんで隠蔽の魔法を使えたの?」


 ラスヴェートが、ディアルーナの肩に凭れてパズルをいじりつつ尋ねた。

 金色の魔力越しに月光華の瞳に見惚れたラスヴェートは、ディアルーナのことをそう呼ぶ。あだ名を超えて、愛称である。愛を込めた呼び名。


 ちなみに、周りに人がいる時はちゃんと身を弁えて呼んでいたりする。


「とっても今更だね。魔法研究所の所長の娘は恵まれてて、色々魔法を見せてもらえるんだよ」

「……子どもに魔力隠蔽や魔法隠蔽を見せるの?」

「なんか天才だからどこまで覚えるか、躍起になって教えてくれたんだよねぇ」


 ラスヴェートの反対側のディアルーナの右隣に座るアギヴェートは、宇宙を見た猫のような表情でディアルーナの淡々とした横顔を見つめた。


 どうなっているんだ、魔法研究所は。確かにディアルーナは魔法研究所のトップの凄腕魔法使いの公爵の娘だが。常識的に、10歳にもなっていない少女に教えるような魔法でないだろう。


 アギヴェートは指摘したいが、仕方ないのである。齢7歳で魔法パズルの難解問題を作り出すディアルーナには、ファンが出来上がった。魔法研究に明け暮れる魔法使い達である。そのファンが献上するがの如く、自分達の魔法知識を吹き込むのだ。そして吸収されていく。


 天才児、神童、と持て囃されるが、ディアルーナは自分の精神年齢が高い転生者だからだし、親の才能のおかげだと認めていない。そんなことはないと嘆く周囲は自覚させたくて難しい魔法を教えて吸収させてを繰り返す。


 最早、父親の才能を超えていると言っても、ディアルーナの反応は薄い。


 なんでだよ!! と嘆く周囲に、魔法文字を覚えた段階で気付けなかった親は気まずい思いをしていた。今では、伸び伸びと成長させようと、魔法研究所の出入りを許しているのである。


「あっ、またリセットされたぁ~。オレの月光華ぁ、これ難しすぎる~。答え教えて」

「ん? どこまで解けたの?」

「えっとねぇ、ここをこうしてぇ……ここまで」

「もう半分超えたじゃん。ゴールまでもう少し、頑張って」

「え~? わかったぁ」


 ディアルーナの肩にぐりぐりとこめかみを押し付けたラスヴェートは、頭を撫でられたことに喜んだのか、励まされたことが嬉しかったのか、口元をにんまりと緩ませて、魔法パズル解きを再開した。


 ラスヴェートもアギヴェートも、ピスラッツリ公爵家預かりになってから、子どもらしい頬の膨らみを取り戻し、肌艶がよくなった。髪も透けてしまいそうなミルクティー色の金髪は艶々だ。朝焼けの瞳も相まって、神秘的な美少年である。


 そんな成果を一番喜んでいるのは、何を隠そう、ディアルーナだった。膨れた頬をツンツンつついたり、頭を撫でて髪を掬ったり。


 ラスヴェートもアギヴェートも互いは双子だから接触なんてなんとも思わなかったが、赤の他人の接触には最初こそはたじたじだった。しかし艶チェックがしたいだけのディアルーナのお触りに下心はない。よって、距離バグが出来上がった。ラスヴェートが凭れているのは、ディアルーナのせいである。ディアルーナは慣れているし気にも留めないので、この距離バグは改善されない。


 ちなみに、人目があればラスヴェートも身の程を弁える。なんせ、お世話になっている公爵家の令嬢様だと理解しているのだから。人目がなければベタベタしていいだろう、という認識である。


 双子達の弟の方は、虐げる側にいたため、双子と一緒にさせてはいけないという判断で、母方の弟、つまりは叔父の家が預かりとなった。弟の方は自発的に物を投げて兄達を痛めつけていたが、悪影響の家族のせいであり、子どもだからという情状酌量の余地あり、と見做されている。

 叔父は疎遠になっていて、虐待の事実も知らないとのこと。


 双子も、二つ下の弟まで苦しめるつもりは毛頭なかった。虐げる親と同じに染まっていても、復讐の対象外だったのである。親を真似ているだけのしょうもないガキ。それが双子の実の弟への認識だった。


「……本当にバレないのかな」

「バレないよ。魔法隠蔽を解呪する魔法を使える魔法警察だって、そう多くないんだし、そういう人こそ他の事件で多忙の身だろうしね」

「診察する医者ではないの?」

「診察する医者に、そこまでの魔法レベルはないと思うよ。それこそ、不審死でもしない限り、魔法隠蔽の解呪は施されないから」

「……」


 そういう知識は一体どこから得たものだろうか。興味があるアギヴェートだった。


「判決は30年の採掘労働の刑になる確率が高いってお父様が話してたでしょ? 過酷労働中、ずっと腹痛に苦しむのよ? いい気味でしょ」


 大抵の犯罪者は採掘場で強制労働の刑である。牢獄に収容するのは、監禁が必要な凶悪犯くらいだからだ。


 言っていることは物騒だが、彼の復讐の成功を、ふわりと可憐な花のように微笑んで言うディアルーナに、アギヴェートは見惚れる。


 そもそも、アギヴェートの救世主だ。復讐を完遂させてくれただけではなく、冷遇場所から救い出してくれた恩人なのである。元の計画では、アギヴェート一人が実行犯になって復讐を遂げようとしたと言うのに。


 アギヴェートもラスヴェートも、二人まとめて救い出してくれた。それだけでも崇拝の域で感謝をしているのに、あまりにも美しく微笑む少女に心を奪われる。無理もない話だ。


「その刑期を終えたところで腹痛は治まらない。むしろ、その頃になったら、それが通常だと頭が麻痺して認識するかもしれないわね。出所後に、魔法隠蔽解呪を頼むお金だってあるわけがないから、これは完全犯罪よ」


 やはり言っていることは物騒極まりないが、ディアルーナがあまりにも美しく微笑むから、ぽーと見惚れてしまう。


 完全犯罪。そう、完全犯罪なのだ。これはディアルーナと、双子のラスヴェートとアギヴェートの三人だけが知る完全犯罪。三人だけのとっておきの秘密なのである。


「心配はないわ」


 左肩にラスヴェートの頭が乗っているから、動かせる右手の方でアギヴェートの頭を撫でつけるディアルーナ。


 三人だけの秘密。

 甘美な響きだ。

 トロトロに甘いが、ドロドロした罪の味。


 うっとりして、アギヴェートもディアルーナの肩に頭を置いてすがりつく。


「ねぇ、ディア」

「なぁに?」


 二人の少年に凭れられても、ディアルーナは読んでいる本のページを捲る。


「僕達の養子先が決まっても、ディアのそばにいたい」

「オレも~。オレの月光華のそばにいたい」


 双子は、弟のいる叔父の元へ行かせるより、他家に養子になる方向で話が進んでいた。それはちゃんと魔法が学べる環境が用意出来る家と決まっている。何故なら、独学で魔法文字を学び、魔法を理解している天才児だとテストをして調べがついているからだ。


「ん~、じゃあ従者になる?」


 特に深く考えることなく、そばにいるための手段として従者になることを提案するディアルーナ。

 ディアルーナは高位貴族の令嬢である。従者の一人や二人、いてもいいだろう。


「なる」「なるぅ~」


 顔を上げた双子は、喜色満面の笑みで頷いた。







お仕事続きで何も書けていないのですが、去年書いたっきりのこちらの作品を投稿することにしました!

続編があれば、ヤンデレ双子の狂愛度アップしたり、また完全犯罪したりする話が書けたらいいなぁ〜……と思って、一年経ちましたね。

ちなみに未だに続編の内容は考えていません!キリッ。


でもヤンデレ好きとしては、育てたいヤンデレ双子ですね(じゅるり)


今ヤンデレ狐男に釣られて、ホラゲ配信で「サイレントヒルf」をやっているのですが、こちらのヤンデレも良きです。おすすめですよ、ヤンデレ狐男。ぜひぜひ。


よかったら、ブクマをして、ポイント入れて、リアクションをくださいませ!

ここまで読んでくださり、ありがとうございました!


(2025/11/26⭐︎)

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