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第31話 girlsサイド:嘘つき少女は興奮する

「ふ、ふーん。そういうことがあったんだ」


 僕は冷静を装って、伊勢くんの言葉に頷く。


 何を思ったのか、伊勢くんは僕が送った少しえっちな写真の相談を僕にし始めた。初めはもうバレたのかもと思って動揺してしまったけど、伊勢くんはその写真を送っているのが僕だということには気づいていようだった。


「そういえば、なぜか土曜日の夜以降は来ていないんだよな。もう飽きて送ってくるのをやめたのかな?」


 伊勢くんは思い出しようにそんな言葉を呟く。


 ……いやいや、さすがに彼女がいる人にあんな送り付けるほど僕は変態ではないよ。


 僕は心の中でそんなふうにツッコんでから、またアイスコーヒーを一口飲む。


 偶然ショッピングモールでデートしているような姿を見てしまったら、えっちな写真を送り続けるのが馬鹿らしくなってしまったのだ。


 でも、あの子が彼女じゃなくて妹だってことは、まだ伊勢くんに彼女がいないということだ。


 それなら、また送り出してもいいのかもしれない。


 僕はそんなことを考えて、きゅっとジャージのズボンを少しだけ強く握る。


「なぁ、高崎はこういう経験あるのか? 変な写真が送られてきたりとかさ」


「いいや、僕はまだそういう経験ないかな……もしかして、妹さんとか誰かに話したりした?」


 僕は控えめにそんなことを伊勢くんに聞いてみた。


 あれだけ仲の良い妹さんなら、写真のことも相談されているかもしれない。もしも相談されていたらどうなるのか。


 そう考えてしまうと、もう一度写真を送るのに結構勇気が必要になる。


 すると、伊勢くんはすぐに首を横に振った。


「いや、話してはない」


「あっ、そうなんだ」


 僕はほっと胸をなでおろした。


 よ、よかった。警察沙汰とかにはなる未来はないみたい。


 僕がそんなふうに安心していると、伊勢くんはスマホを取り出して、スマホの画面をじっと見ながら口を開く。


「話したらブロックするように言われるだろうからな。そうなったら、もったいないし」


「もったいない? え?」


 僕は伊勢くんの言葉に首をかしげる。それから、言葉の意味を理解して顔を熱くさせてしまっていた。


 僕は伊勢くんのほうを見れなくなって、少しだけ顔を俯かせる。


 どくんどくんっと心臓の音が大きくなっていくのが分かった。


「伊勢くんは……送られてくるえっちな写真をもっと見たいってこと?」


「そりゃあ、男子だからな」


「そ、そうなんだ。そうだよね」


 伊勢くん、喜んでくれてたんだ。


 僕は面と向かってそう言われたことが嬉しくて、ちらっと伊勢くんの顔色を窺う。すると、伊勢くんはさっきと変わらずスマホの画面をじっと見ていた。


 このタイミングで操作もせずにスマホを見てるってことは……もしかして、僕が送った写真を見てる?


公共の場で伊勢くんに見られてはいけないものを見られている。僕はそんな気がして、さらに心臓の音をうるさくしてしまっていた。


 それから、僕は不自然にできてしまった間を埋めようとして口を開く。


「で、でも、あれって保存期間が終わったら見れなくなるよね?」


 僕が送った写真はSNSを通して送ったものだ。そのSNSは写真も送れるのだが、一定期間を過ぎると写真が見れなくなる仕組みになっている。


さすがに、ずっと残ってしまうものだったら、あんな写真は送っていない。


「保存しておけば問題ないだろ」


 すると、伊勢くんが顔を上げて当たり前のようにそんな言葉を口にした。僕は伊勢くんとばっちり目が合ってしまい、逸らすこともできなくなってしまう。


「え? ほぞん?」


「いや、あんなエロいの送られてきたら保存しないのはもったいないだろ。消えちゃう前に保存しておいたから見れなくなることはない」


 伊勢くんに見つめられながらそう言われてしまい、また体温がぐんと上げられてしまった。


 伊勢くん……僕で興奮してくれたんだ。


 そんなふうに考えてしまい、僕は自分の息が荒くなっていくのが分かった。


「ちょ、ちょっとトイレ行ってくる」


 僕は伊勢くんにそう言い残して、パタパタッとトイレに駆け込んだ。それから、僕は自分の肩を抱くようにしながら息をさらに荒くさせていく。


「……伊勢くんっ、伊勢くんっ」


 外に聞こえないような小さな声なのに、自分の息が熱くなっているのが分かった。


 目の前で伊勢くんにえっちな写真を見られているかもしれなかったり、目を見られながら写真を保存したといわれてしまえば、色々いけない感情が押し寄せてきてしまう。


 それから、僕はちらっと洗面台を見て、そこにポケットから取り出したスマホを立てて置いた。


 僕は熱でぼうっとする頭のまま、ジャージのズボンを下ろした。それから、ジャージの上をめくってカメラに映らないようにしてから、少しだけTシャツの裾をたくし上げる。


 タイマーをかけておいたカメラの音を聞いて写真を確認すると、そこにはTシャツを一枚だけ着たような女の子が、カメラに向かってパンツを見せようとしているような一枚が撮れていた。


 いや、少しだけ水色の下着が見えてしまっていた。


 僕は写真を撮りなおそうと考えながら、そっとカメラのアプリを閉じた。


 ……伊勢くんも見たがってるみたいだし、それなら何も問題ないよね。


 僕はそんなふうに考えて撮ったばかりの写真を伊勢くんに送るのだった。




 それから少しして、僕が席に戻ると伊勢くんが慌てた顔をしていた。


「伊勢くん、何かあったの?」


 僕が何食わぬ顔でそう聞くと、伊勢くんは緊張した顔で僕を見る。


「さっき言ってた写真が送られてきた! ……おおっ」


 伊勢くんはそう言いながら、送られてきた写真を見て感動するような声を上げた。


 僕は食い入るように写真を見ている伊勢くんを見て、また息を荒くしてしまう。


 ねぇ、伊勢くん。伊勢くんも興奮してる?


 どくどくっと押し寄せてくるいけない感情に刺激されて、僕は思わずそんな言葉を漏らしそうになっていた。


 僕はそんなことを考えながら、目の前で僕のえっちな写真を見る伊勢くんを見つめるのだった。


どうしよう、これじゃあ本当の変態みたいだ。


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