第30話 コーヒーショップでの相談会
鈴鹿と出かけてから数日後、俺は鈴鹿と共に放課後にとあるコーヒーショップ前にいた。
すると、鈴鹿は俺からパッと手を離すと、小さく手を振る。
「それじゃあ、伴教くん。お友達とのお話が終わったら、連絡してね」
「あ、ああ。分かった」
俺は一瞬鈴鹿の唇を見てしまってから、慌てたように視線を逸らす。
……だめだ。鈴鹿とプリクラを撮って以降、妙に鈴鹿の唇を意識してしまっている。
あの日、俺はプリクラ機の中で鈴鹿に迫られて、そのままキスをされるかと思ってしまった。
後から鈴鹿に聞かされたが、俺がどれだけ流されてしまうのかを確かめるためだったらしい。
いや、妹だから普通に考えればキスなんかしてくるはずがないのだが、あれだけ近づかれてしまうと、普通の男子は勘違いするって!
女性店員さんが入ってくるのがもう少し遅かったら、目をつむってしまっていたかもしれない。
プリクラ、恐ろしや。
「それじゃあ、行ってくるな」
俺は鈴鹿に軽く手を振り返して、そのままコーヒーショップに入店した。
それから、俺はアイスコーヒーを注文して、コーヒーショップの奥へと入っていった。
「伊勢くん、こっちこっち!」
すると、すぐにジャージ姿の高崎が俺に気づいて大きく手を振ってくれていた。俺は数日ぶりにあった男友達に安心感を覚え口元を緩めて席に向かう。
「よっ、高崎。数日ぶりだな」
「そうだね。なんか久しぶりな気がする」
俺が席に着くと、高崎は嬉しそうに笑みを浮かべてくれていた。
ただの男友達とだべるっていうだけなのに、ここまで楽しそうにしてくれるのは嬉しいな。
そういえば、高崎も学校で男友達がいないって言ってたし、もしかしたら俺と似ているのかもしれないな。
俺がそんなことを考えていると、高崎はミルクが入っているアイスコーヒーをストローで回してちらっと俺を見る。
「えっと、この前ショッピングモールで偶然見ちゃったんだけどさ、伊勢くんの隣を歩いていたのって彼女さん?」
「彼女?」
俺は高崎の言葉を聞いて眉根をひそめる。
彼女とショッピングモールデートなんて、そんな羨ましいイベントが起きた記憶ないぞ。
「あっ、土曜日のことか。いやいや、あれは彼女じゃなくて妹だって」
「妹さん? え、でも、腕組んでたよね?」
高崎は目をぱちぱちとさせてから首を傾げた。
……まぁ、普通の兄妹にしては距離が近すぎるって思うのも当然か。
実際、わざと距離を近くして周りに勘違いさせようとしているわけだしな。
俺はそう考えてから、鈴鹿に偽カップルに見えるように接してもらって、守ってもらっていることなどを説明した。
一通り説明を終えると、高崎は胸をなでおろしていた。
「なんだ、そういうことだったんだぁ」
「安心してくれ。俺も高崎と同じで女子が得意ってわけじゃないからな」
「え? あ、うん、そうだね」
高崎は一瞬眉根を下げてから、思い出したように何度も頷いた。
それから、何かを誤魔化すかのようにアイスコーヒーをストローで吸っていた。
あれ? 俺に彼女がいたら先を越された気がするから気にしてたんじゃないのか?
安心したような表情をしていたから、すっかりそうだとばかり思っていたのだが。
「あっ、そうだ。俺からも聞きたいことがあるんだけどさ」
「ん?」
高崎がアイスコーヒーを飲みながら首を傾げる。俺はあたりを見渡してから、声を潜めて口を開く。
「もしかして、この世界の男って女の人からえっちな写真を送られてくるのが常習化してたりするのか?」
「ぶっ!! けほっ、けほっ!」
「た、高崎、大丈夫か⁉」
高崎は俺の言葉を聞くなり、アイスコーヒーを噴き出してせき込んでしまった。
俺以上に女子が苦手な高崎に聞く内容じゃなかったかな?
すると、高崎はハンカチで口元拭きながら、せき込んで涙ぐんだ目で俺を見る。
「う、うん、大丈夫。それよりも、さっきのお話はどういうこと?」
「えっとな。少し前からえっちな写真が送られてくるようになってだな」
それから、ここ最近送られてきているえっちな写真の説明をするのだった。
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