難儀な人々~愛に飢えている子~
世間では共感能力がある方が人間関係がうまくいき、それこそが大事だといわれることがあるけれど、私が勤めている施設では逆だ。
親身になって、身をささげていく行く人ほど疲弊して、支援員をやめて行ってしまう。
精神的に強くてバイタリティがあり、この人は辞めないじゃろう・・・と思っていた支援員さんが3人ほど辞めてしまった。
残った支援員さんは、ここはお金を稼ぐ場所であって別に精神障がいを持った人を救済しなくてもよい。と割り切っている人たちだ。それが正しいと私も思う。
専門の訓練を受けた医者や臨床心理士ですら治せない障がいを、私たちが何とかできるわけがない。
私たちの仕事は、市役所から来た書類をどうやって書くか指導したり、代筆したり、福祉サービスの手配したり、一緒にお部屋の掃除をしてあげたり、スパムメールをくい止めてあげたり、日常レベルのことであって、精神的な悩みから救ってあげることではない。
悩みのすべてを持ち込んでくるタイプには気を付けた方がいい。
大抵、精神障がいを持った人の多くは、自分のことで頭一杯。全部ぶちまけて解決してもらおうと持ち掛けてくる子は、相談を受けた側のことなど全く考えていない。
だから境界性パーソナリティ障がいっぽい子にはいち早く気が付いて、距離を取らないといけないのだ。親身になる人ほど燃え尽きてしまう。そういった愛情に飢えている子の要求はどんどんエスカレートして、支えている人の限界が超えて頼みごとを断ると烈火のごとく怒るのだ。
”あなたも私を見捨てるのか!?”と。境界性パーソナリティ障がいを持った人の心はブラックホールだ。
どれだけ愛を注いでも報われることはないと私は身に染みてわかっている。
人というのは、共感してもらえる人に自分の心情を打ち明けたり頼みごとをしたり、感情をぶつけてくる性質を持っている。だから熱意ある人の方へばかり仕事がはいり、無関心な支援員のほうはどんどん楽になる仕組みだ。
これが精神障がい者施設の現状である。
尊敬してた先輩もやめてしまって、自分も燃え尽きないようにしないとなぁ・・・
と、あまり仕事熱心ではない支援員さんをリスペクトし始めている。