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邪道のクリームソーダは、秘密の合言葉か


 『メイド喫茶 愛しのチェリー』 に、エメラルド様とルビー様がそれにヒョウリュウイエローがやって来て叱られた。グリーンの心配事ではない。グリーンへの贈り物のクリームソーダを、飲めるものにしなさいねって事で注意を受けた。


 最後には自分の元へと戻って来る⋯⋯そんなグリーンを信じている優しい女神のお言葉。サファイア様もチェリー嬢も素直だからエメラルド様に誓う。私は三姉妹にチェリー嬢が一枚の絵のように集う姿に感動していた。


 ヒョウリュウジャーの装備がブルーの魔改造により強力でも、グリーン以外、中の人の精神作用までは強化されていない。全員で萌え萌えされて悶え死ぬ──私はまさに死の間際に立っていた。


 エメラルド様とルビー様はお帰りになった。イエローは何故か残ってる。嫌な汗が頬を伝うのがわかる。この同僚に酒を飲ませてはいけない。ろくな目に遭わないのがわかっている。(咫尺天涯戦隊ヒョウリュウグリーン危機一髪!参照)


 イエローがどこから嗅ぎつけたのかは、そんな事はどうでもいい。イエローは、大人のクリームソーダ|《カクテル・C・S》もイケるのか。まさか萌え萌え見たさに来た同志なの⋯⋯か?! 


「チェリーレッド、貴方がこのお店で、新しいクリームソーダを開発しているって聞いたのよ。本当なのかしら?」


 ほっ⋯⋯違ったようだ。今日はただの視察だったようだ。日夜クリームソーダづくりに精を出す私を褒めに来てくれたのかな。イエローだし、レモンづくしのクリームソーダ飲むかな。


「これはこれでいただくわ。でも、そうじゃないでしょ、チェリーレッド」


 まずい‥‥いやイエローに出した初恋味のレモンクリームソーダは、酸っぱ甘くて美味しいはず。⋯⋯じゃなくて、イエローにはやはりバレてるよね。


 どこからともなく現れた爺やが、レモンクリームソーダを受け取り、ヒョウリュニウム製のS.o.D.A(ソーダ)専用クールBOXにしまっていた。プリンセスの名は伊達じゃない。(【連載版】咫尺天涯戦隊ヒョウリュウジャー ~消えたブラック・プリンセス~ 参照)


「レッドく〜ん、説明しようか?」


「はい、喜んで!」


 間髪入れず、私は答える。答えざるを得なかったのだ。


 要望通り、説明しよう──このメイド喫茶(愛しのチェリー)には、バーのマスター直伝のオリジナルカクテルが存在する。( 情熱のルビーレッド 参照)


 酒をベースにしたアイスクリームとチェリーのカクテルクリームソーダは、酒が不味くなる⋯⋯そう言って暴れる通な酒飲み達からは()()と呼ばれる飲み方である。アイスクリームとチェリーで甘くなりがちなのも理由だろう。


 チェリー嬢の特別室で楽しめるのは、チェリーダンスばかりではないのだ。大人の時間もあったわけだ。萌え萌えしてばかりではないのだよ。


 S.o.D.Aのために、特別なクリームソーダレシピの開発だってしていたわけだ。


「レッド⋯⋯メイド喫茶に入り浸ったままなのは事実よ」


「レッドさぁ、あなたお酒(カクテル)のクリームソーダを頼んだ事ないよね」


 ぐはっ、まさか味方なはずの二人からチェリー弾を撃ち込まれた。実は‥‥みたいなのやりたかったよ。


 イエローが呆れているかと思えば、キラキラしている。ヒョウリュウジャー達の悪い癖だ。好きな事、面白い事を見つけると突っ走る。


「ソレ採用ね。グリーンちゃんの有罪(ギルティ)裁判の時に、レッドにも犠牲になってもらうね」


 意味がわからない。月に代わってお仕置きをしたいようだ。断ろうとしたが⋯⋯イエローはヒラヒラと請求書の束を振ってみせた。ブルーが資金の使い方にチェックを入れて、私の弱点を発見したようだ。


「お店にたまったツケ(迷惑料金)、私が立て替えたのよ。グリーンちゃんに請求回した分はもちろんそのままよ」


 メイド喫茶を出禁にならなかったわけは彼女のおかげだ。グリーンの支払い分は、ブルーもイエローも放置したらしい。


 借金(人質)を取られた私は、イエローの言葉に従わざるを得なかった。そのかわり、新たなクリームソーダをグリーンへ、カクテルクリームソーダはイエローへ届ける事になった。


 パチン────イエローが指を鳴らすと、爺やが現れ『NAROU(ナロウ)』 本部の隅っこに特別室を設ける事になったようだ。ブルーが魔改造し、ここと本部を繋げる異次元空間を築いたらしい。


「要するにワインセラーだよね」


「違うわ。裏の‥‥秘密組織よ」


「酒飲み放題だよね」


天国(パラダイス)よね」


 やっぱりそうだ。緩い組織だから何でもありだが、この人に酒を飲む自由を広げるのは、女神様より未来(グリーン)が危ない。


 ヒラヒラと請求書をチラつかせるお姫様の意向に、私は屈した。


「出入りは自由なのかしら」


 二人のヒョウリュウジャーの話にサファイア様も興味を持ったようだ。


「合言葉はいりますが、S.o.D.Aの皆さまは基本自由です」


「なら私もいつでもチェリー嬢の踊りを見に来られるわね」


「姉さま達が気軽に来てくれるの嬉しい。ありがとう、イエロー」


 サファイア様もチェリー嬢も大喜びだ。私としても、ここにいれば出勤扱いになる。ずっといるので残業扱いになるよう交渉するか。借金(人質)少しでも取り返さないとね。


 合言葉と、サファイア様とチェリー嬢のタッグは『パープルシャドウ』 と呼ばれるようになった。


 クリームソーダ界からも、カクテル界からも邪道扱いされているクリームソーダ。邪道だからシャドウ。サファイア様の青と、チェリー嬢の赤でパープルだな。安易なネーミングなのだが、わかりやすいから良いか。


 密かにメイド喫茶(危険物取り扱い店)は、邪悪な裏組織と呼ぶ仲間達もいたので、恐れられていたが、やっているのは可愛らしい女神様方がクリームソーダを作り、踊るだけ。


 ブルーとグリーンが爆破事件に巻き込まれたのも、邪道は許さないとカクテル界の過激派が爆弾でも送りつけたのかもしれない。いやブルーだから‥‥改造は爆発だぁーーーと、耐性強化にノリまくりな可能性もあるか。


 私も後ろ髪引かれながら新作クリームソーダの配達頼まれたが、巻き込まれないで良かったよ。


 こっちはチェリー嬢のダンスに夢中なのと、新作のクリームソーダ作りに忙しいのに警戒網どうなってるのだ。みんな気を緩ませ過ぎだよね、まったく。


 チェリー嬢の喜びのダンスを眺めながら、私はチェリー嬢特製のチェリークリームソーダを堪能する。



「────ヒック⋯⋯」


 あっ、やべぇ。爆弾(イエロープリンセス)忘れてた。

 お読みいただきありがとうございます。


 ブルー様、イエロー様をお借りしました。とある日常です。イメージはレッドの視点ですので違ってもお許しを。


 レッドの裏話のため、時系列、キャラ設定に若干のズレがありますが、ヒョウリュウジャーの世界観を楽しんで下さいませ。

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