はじまりは、禁忌の罪か人の業か
これは幻邏神様が作りだしたヒョウリュウジャーを語る物語。グリーンではなく、レッドの中の人が勝手に語る物語だ。時空の相違はあらかじめご了承いただきたい。
そもそもヒョウリュウジャーとはなに? という人々に、簡単ながら説明しよう。
ヒョウリュウジャーとはクリームソーダ後遺症を企画し、クリームソーダの世界を構築した、幻邏神様が誕生させし公式ヒーロー。
漂流者を謳う者がグリーンを名乗り、中の人となった。女神エメラルド様を守る騎士のようだと、皆も褒め称える。
称賛はグリーンの中の人にではなく、ヒョウリュウジャーの生みの親、幻邏神様に向けられた。グリーンはヒョウリュウジャーセットを着ただけだから。
しかし女神達には響くものがあった。玩具を見つけた赤ん坊のように、キラキラした目を向ける。そんなクリームソーダ女神達の幸せな波動は、多くの人々をクリームソーダ好きにさせたのだ。
グリーンは、選ばれた騎士らしく女神を崇め讃えて、有終の美を飾れば良かったと思う。
ずっと幸せな世界が続くものだと、みんなが思っていたのだから。
天秤を傾かせるのは、いつも愚かな人の業。
グリーンの手記『咫尺天涯戦隊ヒョウリュウジャーの1日』 を発表するまでは────。
何を思ったのか、グリーンはほのぼのと、炎ボーノな緑化運動をしようと思い至ったのである。火中の栗を拾うのではなく、自分から栗となって炎に包まれる。焼け栗炎上芸だ。
グリルにされたい願望と裏切りの証拠が、この手記に集約されていた。漂流の海にダイブすれば沈むだけ。まさか炎の海に焼かれに行くとは誰も想定していなかったのだ。
ましてフロートは駄目だと、モモルより忠告されていた。フロートを口にすれば、クリームソーダの加護を失うからだ。
もっと強くとめるべきだったのだろうか。
コーラが飲みたいと告げたグリーンには、警告までされていたのに‥‥禁を犯した罪深きグリーン。漂流者の業は深い⋯⋯。