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家は部屋

「……考えておく、か。

 まぁいい。これで今日やらなければならいことは終了だ」

 その間が怖いんですけど……オレにとって不利益なこと考えてる顔な気がするんですけど……

「おまえも私の部屋以外では適当にしてくれて構わない。

 私の入浴中に覗いても構わないが、その度に実験用の魔力をいただくから、むしろ覗いて罰を受けろ」

 ……なにそれ怖い……それならまだ洗面器を投げられが方がマシだ。

 しかし宿直室での元女神の件もあるし、気をつけておかないと無意識のうちに脱衣所に入りそうなんだよな……しかもここ、一軒家だから自分の家と錯覚するかもしれないんだよな……

「……ところで、リリィさんの部屋はどこですか? 知っておかないと適当にできません」

 ちゃんと聞いておかないと、すぐ目の前のドアを開けたら部屋でした、なんて回避不能な罠を仕掛けてあるかもしれない。

「二階だ。私のプライベート空間というのもあるが、二階には重要なものばかり保管してあるから、素人に手を出させるわけにはいかない。

 もし下手なことをすれば、魔力を奪うどころの罰ではなく、私は本気でブチギレると思う」

「……うっす」

 リリィさんに出会ってまだ1日も経っていないが、このマジトーンはやばい、少女の姿からでも感じる威圧感がマジでやばい。

 これは詩音がたまに警告する『絶対にダメ』という圧力と酷似しており、それを破った場合……思い出すだけでも身の毛がよだつ……

「逆に、この家に住むためのルールはそれぐらいで、あとは家にあるものなら食料は自由に食べていいし、魔術も自由に使っていい。

 寝床は適当に寝ればいいが、客用の布団はないから、それは自分で用意してくれよ。

 必要なら貸しにしてやってもいい」

「わかりました」

 リリィさんの監視下ではあるが、これでやっと普通の生活ができるのか。

 もし元女神と一緒にいたら、最悪野宿だってありえたかもしれない。

 そう考えると、リリィさんに出会えたのはむしろ幸運だった……と結論づけるにはまだ早い。

 3日ぐらい経って、やっぱり宿直室の方が幸せだった、となる可能性だってる。

 いや、そもそも異世界召喚が……と、今更自分の境遇を呪っても意味はない。

「それじゃあ、あとは適当にな。私はシャワーを浴びて、ご飯食べて寝るから」

 リリィさんはそう言って、目の前のドアを開けると、

「おわ……」

 オレはその光景に思わず声が漏れてしまった。

 おそらく何かの資料なんだろうけど、廊下の左右にビッシリと積み上げられ本やファイルは、いつ崩れてもおかしくない状態だ。

「女の子の部屋を見て、その感想はないだろう? なんだよ、おわ、って」

「……部屋、ってか、廊下ですけど……」

 女の子? という疑問は今更だが、まさかの汚部屋?

 詩音ですら自分の……片付けてなかったわ。全部オレがやってたわ。中学の修学旅行から帰ってきた時、まず取りかかったのは詩音の部屋の片付けだったな。

 なんで3日程度であんなにも物を積めるのか……しかもオレの部屋から持ち出したものまでたくさんあったし。

「ふむ……まぁ家の中ならどこえでも荷物が置ける部屋だよ」

 真理……いや屁理屈か……

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