合法ロリは異世界の醍醐味
「基本的に本人以外は情報の開示はできないようになっているが、ある程度魔術、あるいは魔法に精通しているものだったら、例えば本人から少し魔力を奪って解除する、という方法もできる。
新人で大借金を背負っている、なんてことが知られたら、そこにつけ込まれて『闇バイト』みたいな無茶な仕事を強要されるケースもなくはない。
まぁ協会内にそんなことをするやつがいるとは思いたくないが」
異世界にもあるんだ。闇バイト。
元女神だったら『正義のため』とか言って、逆に金品を強奪しそう。
天界パワーとか使えば、指示役の居場所は簡単に分かりそうだし。
「もしかすると誰か拾って事務室に届けているかもしれないから、ちょっと確認してみるか」
リリィさんはそう言って、スマホのようなもので、おそらく事務室に問い合わせる。
「届いているそうだ。それと100と書かれたコイン2枚も一緒に届いているそうだが、心当たりは?」
「あぁ……記念コイン……お守りみたいなものですよ。姉に言わせると全く価値のないものらしいですが、まぁ気持ちの問題、といったところです」
「ふぅん……」
リリィさんはオレの言葉を聞いて、何やら思案している様子。
もしリリィさんにとって価値があると判断すれば、言い値で買い取ってくれるかもしれないから、気になるようであれば交渉してみようか。
元女神が価値がないときっぱり言った以上、持っている意味はないだろうし、万が一こちらの世界で2000円分ぐらいの価値になれば万々歳だ。
「しかし紛失物は本人でないと受け取れない。かといって取りに行って、またここへ戻ってくるのは面倒だ。
特に外に出る用事がなければ、明日受け取りにいってもいいだろう」
「そう……ですね。特に問題はないです」
多分。外に出るにもお金はないし、物騒な事件が起きたばかりなので、夜、一人で外に出る気にもならない。
「ではここでの話は以上だ。
あとは外装魔法を使用して帰るから、必要な服を詰めろ」
「わかりました」
言われた通り、白の無地のバッグに協会の服を3着詰め込む。
「では始めるぞ」
リリィさんがオレに向かって手をかざすと、アパートの時と同様、霧のようなものがオレを包み込む。
「そういえば、外装魔法って大変なんですか? 体型が、とか言ってましたけど」
「外装を作るだけなら大した問題ではないが、私の場合はちょっと身長を高くしなければならないからな」
……ちょっと? まぁ人によっては3、40センチはちょっとだよな?
「それに加えて、誰かに触れられた時に違和感を持たれないよう肉感も作る必要があるし、ベースである私の動きに不自然なく連動させなければならない。
つまり、高精度の具現化系と操作系の複合魔法を長時間維持し続けなければならないから、他に魔力を割く余裕がなくなってしまう。
だから現代は魔術が発達した時代で、心底よかったと思うよ」
「なるほど」
そんなに苦労するなら、見栄を張らずに元の姿のままでいればいいのでは? と、思わなくもない。
威厳は確かにないし、バカにする人もいるかもしれないが、この人の性格なら実力で黙らせることもできるだろうし、何より合法ロリは異世界の醍醐味だと思うんだけどなぁ。
ロリに興味はないが、もったいない。
まぁこういうコンプレックスに対しては、売り言葉に買い言葉、喧嘩状態にならない限りは極力口に出さない方がいい。
お嬢様カフェの貧乳お嬢様が詰め物をしているのを知って、ありのままでいいのに、とボソッと言ったところ、それを詩音に聞かれ……いや、察知されて、その場にいたお嬢様全員に囲まれる羽目になってしまったことがある。
口は災いの元、とはよく言ったものだ……
ましてやここは異世界。
リリィさんがちょっと前に流行ったという暴力系ヒロインだった場合、魔術を使用して思い切りぶん殴られる可能性が高い。
現実はギャグとは違うのだから、数分後に治ったりはしない。痛いのは嫌だよ……




