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リリィと契約

「ではリリィさん。あなたの気持ちを受け入れます。さぁ」

 冗談ではあるが、オレは膝をつき両腕を広げて、リリィさんが飛び込んでくるのを待つ。

 これで本当に飛び込んできたら、オレの気持ちは揺らぐのか? 姉系嫌悪の克服につながるのか? もしかしてロリコンに目覚めてしまうのか?

「……それはキモいわ……」

 対するリリィさんの答えは、全力拒否の表情。

 まぁオレもリリィさんの誘いには嫌悪感を示したことだし、これでお互い様、ということで。

「で、二人きりの用事ってなんですか?」

 立ち上がり、話を元へ戻す。

 これ以上話を脱線させても疲れるだけなので、とっとと用事を終わらせて、できるだけ早く横になって休みたい。

「先ほどの会議で言ったいた通り」

 ……途中から右から左で、あまり内容を覚えてないんだよな……メモを取る道具もないし。

「……えぇと……」

「膝をつけ」

「……はい」

 オレの今後にも関わる重要な会議。それを上の空でメモも取らず聞いてもいませんでした、となれば落ち度はオレにあり、説教を食らうのは当たり前か……

 5日前にも、詩音の話を適当に聞いていたら正座させられたばかりなんだけどなぁ……

「よく聞けよ」

「……はい」

 リリィさんは言いつつ、オレの耳たぶを掴む。なお痛くはない。

「周囲の人間にいらぬ疑惑を持たれぬよう『支部長アサヒ』は、今まで通り暮らさなくてはならない。

 それなのに、退社する『支部長アサヒ』が一切目撃されないとなると、そこから何か違和感を覚え、訝しむ人は必ず出てくる。

 討伐者でも上位に入るようなヤツの勘、ってものは甘く見れないからな。

 なので今まで通り外装魔法を使用するのだが、それを早ければ明日からくる代理人にも使用しなければならない。

 そして問題なのが、代理人の体型だ。

 大人の私に近ければそこまで魔力を使用することもないが、今の私と同じぐらいとなると、いくら私が人並み外れた魔力を保有しているとはいえ、毎日毎日繰り返していれば、疲れ果てて魔導研究どころではなくなってしまう」

 ……ははぁん……なるほど。

「つまり、出勤退社時はオレに外装魔法を使用して、少しでも負担を軽くしよう、ということですか?」

「そのとーり」

 嬉しくない正解。

 しかし、そうなると……

「というか、オレは姉にもこき使われていて、お金を稼がないといけないんですけど」

 首謀者である元女神の姿を全く見ていないので忘れそうになるが、三億稼がないといけないんだよな。

「その点は心配するな。要はお金を稼げればいいのだから、支部長直々に仕事を受けた、とでも言っておけばいい。

 その点は私もバイト代を支払うし、トップ連中にかけあえば、おそらく手当が貰えるだろう。

 それに家は自由に使ってくれて構わないから、宿泊費もかからない。

 どうだ? こんな美少女と同居できる上にお金までもらえる。こんな美味しい話は二度とないぞ?」

 ……美味しい話には絶対裏がある……というか、おそらく拒否権はない。

 しかし詩音と違うのは、働いた分だけお金が貰えるという点だ。

 詩音の場合は、お嬢様カフェの手伝い分は別として、プライベートの手伝いは『美人お姉様の役に立てたことを光栄に思いなさい』とかいうヤツだからな……

「わかりました。その話、受けさせてもらいます」

 リリィさんがちゃんとお金を払ってくれるのなら、元女神とお金を稼ぐよりも死亡率は格段に低そう。

 目的がオレの能力ってところが怖いが……解剖とかされないよな? な?

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