女性の気持ちに寄り添うことが大事
「なんだ? その不満そうな顔は。せっかく美少女が上目遣いで見つめてやっているというのに」
目線は下からだけど、態度は上からという変わらないリリィさん。
というか、顔に出てたか。やっぱりオレの姉系レーダーって見た目で判断されるんじゃないんだな。
改めて思うけど、どれだけ姉系に虐められればこのような特殊な能力が身につくというのか……
思い出せるのは、幼稚園に入園してから姉感が異常に強くなった気がする。
しかし、こと異世界に置いては考えようによっては役に立つ能力なのかもしれない。
目の前の合法ロリことリリィさんのように、見た目を利用して悪事を働こうとしても、この姉系センサーがそれを察知できるかも。
……変態魔法に姉系センサーか……使い方しだいなところはあるけど、もうちょっとかっこいい能力が欲しかった……
「いや、リリィさんがそういう態度をとるときは何か企んでいるんじゃないかな、と」
姉系センサーのことを話しても、どうせ『ろくでもない能力』と罵られること間違いなさそうなので、この能力が活躍した時に話すことにしようか。
「おまえはそうやって、常に人を疑って生きているのか?
もしかすると本当に私はお前に惚れていて、この時を待っていたのかもしれないのに、おまえのその態度は私の気持ちを踏みにじる行為だぞ」
リリィさんはもっともらしく乙女心というものを説くが……
「オレの『能力に惚れて』が抜けているんじゃないですか?」
「ち……」
図星をつかれたリリィさんは、わかりやすく舌打ちをする。
漫画ならその『能力に惚れた』だけで人間的にも好意を寄せられるところだが、現実は厳しい。
特にリリィさんはアパートの件だけでも、魔力関係のことが最優先だというのがわかる。
「まぁ私のこともそうだが、女性に対するその言動は不正解も甚だしいと思わないか?」
「……つまり、女性には常に優しくし、余計なことを言わなければ損をすることはない、ということですか?」
「正確には、常に女性の気持ちを汲み取り、それに寄り添った態度をとること。
女心は複雑だ。
時には理不尽なことも強引に押し通すこともあるだろうが、男はそれを寛容な心で受け止め自分の気持ちは押し殺し、常に女性の気持ちに寄り添うことが重要だ」
「……時……には?」
常に詩音という理不尽の権化につきまとわれているのだが……でもリリィさんの言っていることを全否定するわけでもない。
はっきり言って、オレはそのような努力をすべき女性に今まで出会ったことがなかったのだ。
しかし異世界に来たことでヒノさんと出会い、今までの理不尽な経験を活かせば、きっと役に立つはず。
はっ! まさか詩音はそれを見越して……って、そんなことあるわけない。
あいつはただただ理不尽の権化。自分の融通を必ず通す化け物だ。




