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魔導研究の素材

「あの変態魔法、効果としては全世界の女性を敵に回しかねないが、魔導研究の視点で考えるのなら、これほど優れた素材はないだろう。

 私自身が纏っていた外装魔法はそんじょそこらの魔術、魔法では解除できない、幾重にも術式を重ねたほぼ完璧な出来だった。

 それにも関わらず、魔術や術式を併用しない、単純な魔法のみで打ち破った。

 しかも1日に何度も……いや、疲労感を見るに3回か4回が限度だろうが、それでもこの威力を複数回使用できるのは、防御突破魔法として破格のせいのだと言っても過言ではない。

 ただそれが、衣服あるいは身に纏っているものだけに効果があるもので、例えば物理的な金属製の盾にも効果があるのかは検証してみなければわからない。

 つまり魔導研究者として、これほど興味をそそられるものはなかなか巡り合えることではないため、思い立っても素材が近くになく、わざわざ取り寄せるか取りにいかなければならないのは、時間の無駄でしかない」

 ……うーん……前半部分はリリィさんの魔導研究者として、純粋な探究心からくるものとして尊敬の念を抱くレベルだが、後半はただのいつもの欲に塗れたゲス顔が思い浮かぶお言葉だったな……

 まぁつまりは、リリィさんはオレのことを研究素材としか見てない、ってことか。

 ……もしかして人体実験とか解剖とかあるのか? そんなことになったら詩音の罰ゲームよりキツいんだが……

「リリィさんの魔導に対する探究心は知っていましたが、コウキさんを研究対象として見るのはいかがなものかと……

 下手すると、人体実験を行う狂人変態研究者、として後世に名を残すことになりますよ?」

「誰が狂人変態だ! これは真っ当な魔導研究だ!」

 これはヒノさんの意見に賛成だわ。自覚がなさすぎる。

「まぁ、さすがのリリィさんもそこまではしない、と信じたいところですが……

 コウキさんはどうされますか? リリィさんの自宅に住むということそのものは悪い提案ではないと思います。

 宿泊場所としては宿直室に比べて、段違いに快適だと思いますし」

「……そう、ですねぇ……」

 ヒノさんの表情を見るに『止めてほしい』という、不安や嫉妬心のようなものは一切感じられない。

 やはり現実は漫画と違い、出会って即落ち、なんて奇跡は起きない。まぁそもそも好感度爆上げイベントなんて起きてないし。

 漫画なら『対決よ!』とか『私の裸を見た責任取りなさい!』とかいうイベントがあるけど、そもそもヒノさんは事務員だから対決なんてしないし、裸を見るには自宅か更衣室に侵入しなければならないので、好感度以前に犯罪者確定だ。

「正直言えば、生活が今より改善されるのであれば、良い提案かと思います。

 それにオレには面倒臭い姉がいるので、面倒臭い女性と生活するのは慣れていますし」

「……アイリさんが聞いたら怒るかもしれませんよ?」

「……はは」

 つい本音が出てしまった。

 そういえば、こちらの世界では元女神が姉設定だったっけ……もう何ヶ月も会っていない感覚だから、つい忘れてしまう。

「私のことを面倒臭い女性というのは心外だが」

 ……どの口が言うのか……

「私は姉のような存在であって、姉ではない。

 お前がいつ己の欲望に負けて私に手を出そうとするか、見ものだな。

 一応言っておくが、いくら衣服を破られたからといっても、現状身体そのものに対してダメージはない。

 外装がぶっ飛んだ分、魔力の回復に少々時間はかかるが、それでも私が本気で攻撃魔法をぶっ放せば、ぽん、という間に灰だからな」

 現状の見た目では全く姉のような存在とも思えないが、その威圧感が姉感を抱かせるには十分である。

 それにロリには手を出さない、というか、仮にヒノさんレベルの好みであって欲に負けたとしても、あのアパートの件を見てしまっては、怖くて手なんて出せない。

 灰になって死ぬ。なんて、それこそ漫画でしか見たことがないが、現実的に考えると、溶鉱炉に落ちて死ぬとか破砕機に挟まって死ぬ、とか、もう考えただけで身の毛もよだつ死に方なんだろうな……

「まぁ姉の友達にも色仕掛けされたことがあるんですが、姉のこともあって姉属性の人たちには嫌悪感しか抱きませんでした。

 なので姉のような存在のリリィさんには手を出さないかと」

 あそこまでして自身の本当の姿を見られたくなかったのだから、かなりのコンプレックスを持っているはず。

 なのでロリに対するツッコみをしたら、ブチギレられ、オレの今後の待遇が悪くなるのは目に見えている。

 なので遠回りに言ってみた。

「……かわいそうなやつ」

「コウキさん。きっといつか良い人と出会えますよ」

「……あれ?」

 むやみやたらに女性には手を出さない、紳士的な男性である、ということも示してみたつもりだったのだが、二人には哀れみのような同情のような目を向けられてしまった……


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