リリィ・レインブラ
「……………………はぁ……」
学校の授業よりはるかに辛い……これが社会人ってやつか……
途中休憩があったものの、これが四十年以上続くとか、地獄でしかない……
それともそのうち慣れていく、それこそいわゆる社畜というやつに染まっていくのか……
そもそも会議を行わないような仕事に就けば……って何があるだろう?
あくまでイメージだが、スーツを着ている人は毎日会議をやってそう。
工場で働く人も、物をつくるには何か資料、図面がなければできないだろうし、スーパーやコンビニも正社員で働く以上は品物の売れ行きとか気にしないといけないだろうし……
プロスポーツ選手は……縁がないかな。運動神経は自分でもいい方だと思うけど、そもそも運動系の部活に入ったことがない。
帰宅部兼詩音の荷物持ち、そしてたまにお嬢様カフェでの強制労働。
考えれば考えるほど、どんな職業についても会議は必ずやりそう……というイメージ。
とはいっても来年には進路を決めなければならない……とその前に、無事に日本に戻れるかどうかも怪しいんだが……
……そうだ。忘れそうになっていたが、そもそもの目的は元女神の借金返済……性格には弁済金らしいが……を手伝うことだというのに、オレは今何をやっているんだろう?
こんなことをするぐらいなら、コンビニでバイトでもした方が、まだお金を稼げる。
そもそもコンビニがあるかどうか……という問題だが、間違いなくある、はず。
ここまで日本と酷似しておいて、コンビニはありませんでしたー、なんてことはないだろう。
「大丈夫ですか?」
ぐったりとうなだれているオレとは対照的に、ヒノさんは疲れた様子もなく、それどころか優しくオレを心配してくれる。
……あぁ……これだよこれ。こういうのが欲しかった。今までは縁遠かったからなぁ……
「正直、ちょっときついです……ヒノさんは平気なんですか?」
「私は仕事柄なれていますので。
それにしてもコウキさん。すご」
「あぁ……ちかれた……」
「…………」
せっかくヒノさんに『凄いですね。支部長の外装魔法を破るなんて』と、褒めてもらえるところだったのに……多分……
この合法ロリが邪魔しやがって。
あれから支部長……いや、元支部長アリサさん改め、リリィ・レインブラさんに対してトップの人たちは徹底的に釘を刺したのち、業務に関する話がひたすら続いた。
そして事情を知っているオレととヒノさんが、何かあった時にフォローする、という役割を与えられてしまった。
ヒノさんと仕事を共有できるのはいいが、正直不安しかない。
態度に出るかもしれない、というのももちろんあるが、この元女神にも勝るとも劣らない破天荒なリリィさんが、いずれ我慢できず暴発する可能性があり、そんなことになったらどう考えてもフォロー、というか止めることなんてできない。
そんな時、オレにできるのは真っ裸にするか、トップにチクるかの二択だ。
まぁ支部長の権限を盾にすれば大人しくなると思うけどなぁ。
ちなみに『リリィ・レインブラ』というのが本名らしく『大人しくしていれば、まるでお人形さんのようにかわいい』というテンプレを具現化したような少女。
なお、既に正体を知っているオレからすれば、クソ生意気な合法ロリでしかないけど。




