異世界の醍醐味
「……言わんとしていることは理解するが、もしかして経歴も詐称しているのか? どう見ても十代前半だろう?
それはそれでもちろん将来有望であり、改めて今後の話をしたいところだが」
合法ロリは異世界の醍醐味だけど、トップ女性がいう通り、将来有望株の天才幼女、と言った方が現実味がある。
それなら日本にもいるし。
「違う! 私は正真正銘28歳だ!
残念ながら十代途中で成長が止まり! それに気づいた私は年齢に合わせて外装を作り続けてきた、生まれながらの天才なんだ!」
異世界の醍醐味の方でしたか。というか、ここにきて自画自賛とは支部長らしいといえるけど、それがどれほどの才能なのか、オレにはよくわからないんだよなぁ。
それにしても、この漫画でしか見たことがない合法ロリって、もしかして魔力が何らかの作用をしているから起こる現象なんだろうか?
成長を生贄にして強くなる。
これなら漫画でも合法ロリが強い理由に納得ができる。
詩音みたいな成長とともに、手がつけられなくなる上にスタイルもいいとか……あ、これも漫画で見たことあったわ。
……やっぱり詩音は異世界産まれだった?
「……あ……あぁ……それは……」
「……個人差もあるしな……」
「……うん。まぁなんだ……」
支部長の主張にはお偉方も反応に困っている様子。ということは、異世界でも合法ロリは珍しいのか。
「……なんと言葉をかけてやればいいかは思いつかないが……
一つ確かなことは本人が言う通り、その年齢でこれだけの魔力を保有し、そして多くの魔法、魔術を扱える、世界では類を見ない才能の持ち主であることは間違い無いだろう」
あぁ、やっぱり凄いことなんだ。
トップ女性が褒めちぎったことで、支部長は良い気になったのか、腰に手を当てて胸を張る。
「では私の才能に免じて、今回のことはお咎めなし、ということで!」
支部長は言いつつ、上機嫌でその場を去ろうとするが、
「いや、それとこれとは話が別だ」
トップ女性にバッサリ切り捨てられ、テーブルの足に足を引っ掛けてこける。
「……たた」
そして手をつき膝を突きながら、起き上がる。
仕草だけ見ていたら可愛いんだけどな……
まぁそんなに上手い話があるわけもなく、トップ女性は続ける。
「今まではこれまで功績、特に魔導関係の難題を解決したことなどに免じて軽めの処罰で済ませてきたが、積もり積もった問題行動が帳消しになるわけでは無い。
理由はどうあれ、外装魔法を使用し全ての人を欺いてきた行為は、人の上に立つ支部長という立場にあるまじき行為。
降格処分でも甘い。よって懲戒解雇が妥当」
「んな!? それだけは!」
処分を聞いた支部長は勢いよく立ち上がり、弁明するためか、トップ女性の前まで歩み寄る。
そこまで討伐協会にこだわる理由はなんだろう?
支部長の性格は置いといて、その実力ならどんな仕事でもお金を稼ぐことはできそうだけど、お金の問題じゃ無い?
なら魔術。それも今回のように……失敗したけど……犯罪組織を追いかけていれば手に入りそう。けど、支部長は会談を優先した。
あるいはこの仕事に誇りを持っているのだろうか? 今まで見てきた支部長からは、人助けが生きがい、なんてことは思えないけど……
やっぱり手に入れた権力を失いたくない、とか?




