第三会議室にて
ヒノさんがオレ『支部長』を連行する間、一瞬たりとも離れることはなく、討伐協会の建物内にある『第三会議室』に到着する。
天にも登る気分だったが、こうでもしないと逃げる可能性がある支部長って、駄々をこねる子供かよ。
今なら見た目通りで可愛げもあるかもしれないけど、大人の姿でやられるのは痛すぎる。
そんな支部長は少しでも時間をかけたいのか、小さな歩幅をさらに小さくして歩いていたので、それに合わせるため、大人の倍以上の時間をかけて到着した。
支部長を囲む男性5人はうんざりした表情だが、オレからすればありがたいことでもある。
さて、この至福の時間が終わると、ついに地獄がの幕開けだ。せめて支部長がオレに責任を押し付けなければいいのだが……
会議室の広さは学校の教室ぐらいで、コの字型に設置された席には、お偉方と思われるスーツを着た男性5人女性8人が既に着席しており、ピリつく空気はもう最悪。
そんな中、支部長はコの字型の開いた場所に用意された席に、少し気怠そうに着席する。
「……あなたが座るのですか?」
するとおじさん……というのは失礼か。でも名前がわからないから、偉い人Aさんから疑問が飛んできた。
「ヒノから報告がなかったのか? 私は『代理人』だ」
こんな追い詰められたと言っても過言ではない場所であっても、支部長の態度に変わりはなく、堂々と……怠そうではあるが……答える。
にしても、この会談は重要なものだから大人しくこの場に来ることになったのに、こんな態度をとっていていいんだろうか?
もうちょっと媚び諂って土下座とかしたほうが……って、もしかしてそれをオレにさせるつもりか?
……あり得るな。今支部長は『代理人』と言ってたわけだし……
でも、そんな思い通りにはさせない。
「代理人ではありませんよ」
「な!? おま!」
オレが発言したことで焦った支部長は立ち上がろうとするが、オレは後ろから両肩を押さえてそれを阻止する。
純粋な力は見た目のままのようで、力任せに立ち上がろうと、あるいは手を振り払おうとするが、全く抵抗感を感じない。
そして『支部長』であるはずの人物から聞こえた別人の声に、周囲のお偉方もざわつき始め、中には臨戦態勢に入る人もいた。
「ブレイク!」
疲労感的に使えるかどうかは賭けだ。
「おまえ! ここで私に恥辱を味合わせることが……が……あ……」
焦った支部長は手で体を隠そうとするが、吹っ飛んだのは支部長の衣服ではない。
『!?』
周囲は再びどよめき、臨戦態勢に入っていた3人(男1女2)はオレの喉元に手刀を突きつける。
目にも留まらぬ速さで詰められたオレは、思わず息を呑み、声を出すことを忘れてしまいそうになるが、
「オレは霧崎鋼樹です! 問題娘とか言われているアイリの弟です! 先日、無理やり所属させられました!」
どうにでもなれ! という気持ちで声を絞り出す。
そして吹っ飛ばしたのはオレの外装。
本来なら素っ裸になるはずだが、そこは自分の能力。なんとか制御できなかと頑張ったところ、ギリギリトランクス一枚を残すことに成功した。
もしかすると、魔力がギリギリだったのもあるかもしれないが。どちらにしても成功なので良し。
……でもヒノさんに見られるようなら、もうちょっと鍛えておけばよかった、と、ちょい後悔……
そんなヒノさんは、口元に手を当てて驚いた表情をしている。
ちなみに詩音曰く、オレの身体のデキは、まぁまぁ、らしい。というか、風呂上りの脱衣所に堂々と入ってきて、まじまじと見るなよ。姉弟とはいえ恥ずかしいわ。
その反撃として同じように脱衣所に突撃しても詩音は堂々としたもので、入ってきたのらついでに髪を乾かせ、とかいう始末……
羞恥心ないのかよ……これはこれで少し心配になるレベルだった。




