支部長のやり口
「では私はこの子たちを安全な場所まで送ったあとに、協会へ向かうことにします。
それとそろそろ援軍が来るかと思いますが、もしかすると場所が場所だけに魔力的に阻害されているかもしれませんので、それが原因で迷っているようでしたら私から連絡をしておきますので。
支部長も即解決といかなかったわけですし、ここは一端退いた方がよろしいのでは?」
「お……おぉ……」
ヒノさんは最後に支部長を少し煽り、少女と子猫を連れて階段を登っていく。
「……なぜだろう……いつもいつもどうしてもヒノは苦手なんだよな……」
不真面目な支部長とは正反対の素晴らしい人だから、ではないでしょうか? とか言いたいけど、まだ喋ってはダメだろうから、そこは心の中に留めておく。
「さて、と。邪魔者はいなくなったことだし、援軍が到着する前に調べてしまうか」
やはりというか、支部長はすぐにここから退くつもりはないようで、掌より少し大きな青白い円形の魔法で、この秘密部屋を手早く調べ始める。
一方のオレはもうやることもなく、改めてこの部屋を見渡してみる。
広さはバスケットコート1面分くらいで、漫画とかでよく見かける無数のモニターなどは設置されていない。
それの代わりなのだろうか、プロジェクターっぽい魔術が天井に設置されており、多分これで様子を見ていたのだろう。
それと、何か置かれていたであろう、高級そうな漆黒の台座。支部長もそこが一番気になったのか、念入りに調べ始める。
援軍は……まだやってきそうもないが、来ても先ほどのように、適当なことを言って追い返しそうではある。
「……くく……予想通り」
何かを発見したのか、支部長は不気味に笑う。
声が渋いから、そんなトーンで笑われたら魔女の雰囲気なんだが……威厳は足りないけど。
「やはり慌てて逃げたようで、使用していた魔力の残滓を消し切れていないな。
これを追っていけば、ここにあった魔術や奴らが所持している魔術などを、合法的に押収できる。
そうなればまた私は手柄を立て、押収した魔術も特権で使用できるな。くく」
なるほど。それが支部長のやり口というわけか。
協会の人や犯罪組織の人をまとめて掌の上で転がすとか……実力に自信があるからこそできるんだろうな。
まぁ確かに『優秀』だわな……善悪はさておき。
「会議なんて後回しだ。言い訳などいくらでもできるしな。ただ、あまりこの姿で歩き回りたくはないが……獲物を逃すわけにはいかない。
責任とってお弟くんもきっちり働いて欲しいものだな」
……まぁ、わかってたけどオレも付いて行かなきゃいけないんだよな……しかもまた犯罪組織のアジトに……
……次も怪我をしませんように……
「支部長。やはりそんなことだろうと思いました」
そこへ意外な……でもないか……




