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衣服破壊魔法の性質

「フィントロゥ・ネッセンス!」

 唖然としていたのも束の間、目の前の『少女』が何か叫ぶと、濃い霧のようなものが『少女』を中心として展開され、視オレの位置からギリギリ『少女』が見える程度の視界となる。

 状況を見るに、この『少女』の正体は支部長なのだろうが、魔法が使えるのにわざわざ魔術を使う理由はなんなのだろう?

「……面倒なことをしてくれる。

 おまえの魔法は衣服を破るだけの、ただの煩悩が具現化した犯罪にしか用途がない魔法だと思っていたが」

 酷い言われようではあるが、否定できないのが辛いところ。

 いやいや、好きを作るのに使える、と反論したいところだが、男には対して効果がないように思えるし、結局女性に向けて使うしかないので、やっぱり犯罪者魔法か……

「まさか外装をも破る魔法だったとはな。

 私とした事が、犯罪臭が強すぎてここまで考えが至らなかった事は反省すべきか」

 反省、という概念はあるんだ。

 詩音と同じように『総ての罪は自分以外にある』とか言う人かと思っていた。

 というか、支部長が言うには、オレの魔法には別の効果があった?

 少なくとも『お姉さん系を妹系に変える効果』でないことは確かだと思うが。

「さすがは問題娘の弟くん。これはこれで今後の研究材料としても役に立ちそうだな」

 獲物を舐め回すかのような視線に、オレはゾクりと鳥肌が立つが、これは決して少女からの蔑むかのような視線に喜ぶ感情ではない。

 詩音や元女神にも匹敵するスタイルの持ち主である支部長が、その山脈を確認できない無限の平野となった幼女へと変化したことがどうでもよくなるぐらいに、『少女』の狩人のような視線に恐れ慄いてしまった。

「それはさておき」

 支部長かと思われる『少女』も現状には耐えられないのか、ツールバッグから先ほど言っていた変えの衣服を取り出すもサイズが違いすぎるので、着用せずに巻きつけるだけ。

「えと……どちらさまでしょうか?」

 間違いなく支部長なのだろうが、一応、念のため聞いてみることにした。

「支部長様だ」

 そういえば若干声が違うも、この堂々とした態度は先ほどまでの支部長と同じもの。

 というか、幼女かしたら声も幼女っぽくなるのが定番だと思っていたが、なぜ支部長は少し声が低くなっているのだろう?

 渋い声だが、おばあちゃんではなく威圧感を感じるような声質は、むしろこっちの方が怖いと思うぐらいだ。

「えと……魔法で化けていた、とかですかね?

 それでオレの魔法にはそれを解除する効果があった、と?」

 自分でも衣服破壊魔法の効果は『衣服を破るもの』であり、それによって相手に羞恥心を与える副効果がついてくる、程度の認識でしかない。

「他人に変身する魔法というのもあるが、魔力の消費が大きい上に、化けた本人の情報が少ないと、似てはいるがやはり他人、というそっくりさん程度にしかならない。

 私が使用していたのはそれとは違い『大人の姿の私』を具現化した魔力を纏っていたので、間違いなく『本人』であるので、いくら姿を変えても『偽物』としてバレる可能性はゼロだ。

 ただどちらにも共通するのが、魔力を纏っている『外装』状態であること。

 弟くんの魔法は相手の衣服を破るという性質を持っている。すなわち『外装』も衣服扱いされ、何がなんでも本体の裸体を晒す、というど変態を極めた非常に強力な魔法だろうな」

 解説する支部長は至って真面目な表情をしているように見えるが……

 ……褒められて……ないよな……


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