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朝一の眼福

 さて、元女神がやってくるまで何をしようか?

 二度寝してもいいのだが、生憎、この時間に起きることに慣れていて目は覚めている。

 ……もしかすると夜勤終わりのヒノさんに会えるかもしれない。

 仕事終わりなので長話はしない方がいいだろうから、せめて遠目に一眼だけでもその姿を見る……いや、拝めないだろうか?

 よし。

 そうと決まれば、浴室にあった小さな鏡で身なりを整え、歯ブラシはないみたいなので……あっても他人の歯ブラシは使えないが……とりあえず入念に口を濯いで準備完了。

 部屋を出て夜間受付へ向かうために階段を降りていくと、A4サイズの書類がちょうど入りそうなショルダーバッグを肩にかけたヒノさんの姿が見えた。

 あぁ……その姿を目に入れるだけでも癒される。今日はこれで満足。帰宅の邪魔をしてはいけない。

 と、思って踵を返そうとしたところ、

「あ、おはようございます。昨日はよく眠れましたか?」

 と、ヒノさんの方から話しかけてくれた。

 これは日頃の激務に対するご褒美では?

 そう内心で盛大な祭りが開催されていることを悟られないよう、極めて冷静を装いつつ、

「おはようございます。疲れていたのですぐに眠れました」

 と、挨拶を返す。

「そうですか。でもあまり無理をして疲労を溜めすぎないようにしてくださいね」

「ありがとうございます。でも体力には自信があるので、まだまだいけますよ」

 実際、詩音のパシリで体力だけはついているし、精神的にも大抵のことには耐えられるが、今回のような想定外すぎる出来事には流石に疲労が溜まってしまった。

 しかしヒノさんの前では元気な様子を見せる。

 一方の元女神の前では『初めての異世界。疲労困憊で動けない』と主張してみようか?

 それにしてもヒノさんの優しさは、今までに出会った姉系の『実は裏がある』的な優しさとは違い、本当に気を使っていくれている感がある。

 ヒノさんは年齢的には年上、見た目からして『合法ロリ系姉属性』なので、姉系の感情をある程度読み取る、という変な特殊能力が通用した……気がする。

 ……というか、なんだよその能力……と、自分でつっこんでみる。

 相手の衣服を破るとか、変な能力ばかりだな、オレの異世界生活。

「ふふ。でもアイリさんの前で言うと無茶振りをされてしまうかもしれませんよ?」

「う……確かに……」

 笑顔可愛い。

 元女神の性格なら確かに無茶なポイント稼ぎに付き合わされそう。

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