表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/159

戦い終わって

「さて、今度こそ帰りましょうか」

 そう言って元女神は女性の肩を、ぽんぽん、と二度叩く。

 すると女性は捕縛魔法を解除されたようで、すっと立ち上がり、前かがみになりつつ落ちていたバッグを拾う。

 本来ならその行為によって、胸元が見えてドキ、とかいう感情が湧いてくるのだろうが……慣れって怖いな……

 そういうあざとい行為には、怒気怒気する。

「もしかすると事情聴取とかしたいかもしれないけど、この娘はショック状態でそれどろではないわ。

 今日のところは私が面倒を見るから、もう帰っていいわよね?」

 その元女神の言葉に反応するように女性は滅入った表情を浮かべ、バッグをぎゅっと抱きしめる。

 そのバッグの中身、返すつもりは……ないよなぁ……

 警察っぽい人たちも本来なら被害者である女性から話を聞きたいだろうが、

「事情が事情だけに、それが最善かと。

 ただ、気持ちが落ち着いてからでいいので、一度話を伺いたいのですが」

 警察っぽい人たちの中で最年長と思われる人が女性の心情をくみ取り……いや、演技に騙され、元女神の提案を受け入れる。

 しかしこのまま犯人たちが目を覚まし、本当のことを離したら立場が逆転するのではないだろうか?

 そんな懸念を抱きつつ誘拐犯たちの方へチラリと視線を向けてみると、多分全員の額が赤く腫れているのが目についた。

 さっきまではなかった……というか、何人かうつ伏せで倒れていたはずだが、今は全員仰向けになっている。

 これはオレが外に出ているわずかな間に、元女神が自分の都合が悪くならないための、何かしらの魔法を打ち込んだのだろう。

 証拠隠滅。こわ……

「さて。あんたの今日の宿は?」

 と、元女神が女性に問う。

 送っていくため? いや、逃がさないためか?

「バス停の近くの安ホテルだけど……

 そんな確認しなくても逃げやしないさ」

 女性も同じことを考えていたようで、その言葉には『とっとと逃げてやる』という感情が含まれていたような気もする。

「そんなんじゃないわよ。女二人、仲良くしましょう、ってことよ」

「……一人部屋なんだけど?」

「それがどうかしたの?

 勝者は高みへ。敗者は地べたに這いつくばる。

 つまり私がベッド。あなたが床。

 おわかり?」

「こん……」

 女性は、そんなことわかってたまるか、と言わんばかりに元女神に食って掛かろうとしたが、ここで元気な様子を見せると事情聴取を受けなければならなくなってしまうからか、唇をかんで感情を抑える。

 オレが手助けしなければ負けていたのに、なんてツッコミはしない。

 元女神が女性の宿泊先を占拠すれば女性に迷惑をかけるが、オレは一人宿直室で落ち着いて寝ることができる。

 詩音が修学旅行などで家を空けない限り、オレに気持ちの開放日なんてなかった。

 それを久しぶりに味わうことができるなんて、なんと喜ばしいことか。

 そんな報酬を得られるなら、手柄なんていくらでもくれてやる。

「それじゃあ行きましょうか。

 あと、明日の午前中にはそっちに行くから、ちゃんと起きてなさいよ」

「わかったわかった」

 それだけ言って、元女神は不満そうな表情を浮かべる女性と共に、この場を後にする。

 あー、ようやく解放された。

 気分上々でせっかくの異世界を少し散歩してみようか、と思ったりもするが、そこは異世界。

 魔法を使用する通り魔に出会ってしまったら一巻の終わりだ。

 今回は女性の方が圧倒的に強かったので事なきを得たが、オレができるの服を破ることだけ。

 女性ならいざ知らず、男性には通用しないだろう。

 やはりここは大人しく宿直室に戻って寝るに限る。

「ちょっとよろしいですか?」

 と、帰る気満々だったが、警察っぽい人に話しかけられ、現状わかっていることだけでもいいので教えてほしい、と、一時間ぐらい当たり障りのない、それっぽい嘘を混ぜつつ説明するのであった。

 ……ほんっと疲れた……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ