その機能はどこで教えてもらえばいいの?
「……わかった。協力するよ」
強気な女性も自分の身が第一であり、元女神の強要を断ることができなかった。
「ふふん。それでいいのよ」
元女神は先ほどまでの涙目敗走が嘘のように、至極の優越感に浸かって満足そうだ。
こいつ、オレの手助けを忘れたわけじゃないよな?
もしかして、他人の手柄を横取りするタイプか?
「もういいだろ。早く捕縛魔法を解いてくれよ」
「まぁ待ちなさい。解いた途端、全力で逃げたり隙をついて攻撃する可能性もあるでしょ。
あなたのその強化魔法を使用すればどちらも容易いでしょうし」
「……約束は守る。そんな卑怯なことはなしない」
「どうだかねぇ」
女性の口調的に、これは元女神に賛成だ。
以前、詩音に『ちょっかい』だしてねじ伏せられた女性が『二度としない』と言いつつも、解放されたの数日後、仲間を引き連れて奇襲をかけてきたことがあった。
まぁ、それも詩音は『お仕置き』したわけだが。
そんなことが複数回あったため、今回の口調や態度的に同じことをやらかしそうな気はする。
「あー、聞こえる?」
と、元女神は女性から視線を外さずに身分証を取り出して、何やら話しかけている。
『はい。こちら『魔物討伐協会』ヒノです。
緊急連絡を受けました。大丈夫ですか?』
あの身分証ってそういう機能があるのか……さすが異世界。
というか、そういう機能説明を一切受けていないのだが……いざという時、オレ、大丈夫か?
「私は大丈夫なのだけど、たまたま誘拐現場に遭遇してね。
それで被害者は無事助けたけど、その際、誘拐犯には眠ってもらったのよ。だから起きないうちに捕まえに来てほしいの。
場所は」
と、元女神が状況を説明したのち、魔物討伐協会から近いこともあってか、体感三分も経たないうちに警察っぽい制服を着用した三人の男性が駆け足でやってきた。
「こっちです」
念のため破壊された玄関先で待っていたオレが手を振って案内する。
そして再びアパート内に入ると、警察人たちも
内部構造に驚いている。
そんな中、元女神がどこからか持ってきたパイプ椅子に座って、傍らに座らせた女性の肩に手を置いて慰めている、ような光景に少し引く。
オレには、女性が逃亡を企てないよう元女神が追い打ちをかけている、という光景にしか見えないからだ。
なお女性の衣服は、これもどこからか持ってきたのか、大きめのシャツ一枚に着替えており、その表情は意気消沈しているように見えるので、警察人たちへの説明(それっぽい嘘説明)も信じてもらえたようだ。
「あとは任せてもいいのよね?」
「はい。あと緊急連絡をされた方の確認を」
「あーはいはい」
指示された通り、元女神はもう一度身分証を取り出し、警察人に向け、警察人も何かの機会……いや、この世界だと魔術……を取り出して、身分証に向ける。
『確認しました。先ほどと同じ人物です』
どういう仕組みかはわからないが、ヒノさんによる確認によって通報者と同一人物ということが証明された。
仕事モードのヒノさんの声も、いいな……
というか、こういう光景を見ると、いかに地球の文明が遅れているか、そして異世界漫画は主人公にとっていかに都合のいい世界か、というのがよくわかる。
やっぱり魔力、魔法が存在する世界の方が文明は進んでいる。




