まるで宝くじ(一等)に当たったような
「あなたのその身体強化魔法、誰に教えてもらったの?」
あれ? 二つの予想とは全く違う質問だな。
人間(か、どうかはまだわからないが)が脳筋元女神に押し勝つぐらいなのだから、かなり強力な強化魔法なのは見ていただけでもわかる。
まさかその強化魔法を教えてもらって、さらに上の脳筋元女神にバージョンアップするつもりか?
「……この強化魔法は教えてもらったわけじゃない」
女性の性格的に、○○ック誰がお前なんかに教えるか、とか言いそうだが、状況が状況だけに素直に話し始める。
「正確に言うと、教えてはもらえるんだけど、身に付けることは誰もできなかった。
この強化魔法を使用するための条件は、前使用者が死亡したとき、つまりあたしのおばあちゃんが亡くなった時に私に引き継がれたんだ。
おばあちゃんが言うには『先祖には女神から力を与えられた勇者がいて、代々引き継がれてきた。そのためには前使用者が死亡すること及び勇者の血を引く我が家系のみで、さらには女性のみが使用できる』っていうのを半信半疑で聞いてたけど、おばあちゃんが亡くなった時にあたしに引き継がれたから、あぁ言ってたことは本当だったんだな、って。
それと、あたしも他のヤツに教えてはみたんだけど、やっぱり使えないみたいだな」
「……へ、へぇ……」
元女神はその話を聞いた途端、まるで宝くじに、しかも高額当選したかのような、周囲にはバレないように口元を押さえて喜びの感情を押し殺すも、目元が完全に笑っている。
しかも当選金額で言えば、一等が当たったレベルのニヤけっぷりだ。
どういう理由なのかは皆目見当もつかないが……こともない。
……女神と勇者、ねぇ……
まさかとは思うが、女性の命を奪って女性が持つ強化魔法を奪い取ることが目的……だとは思いたくないが……
もしそうなら、天界及び女神の存在は、やはりゲームでいうところの最終盤、倒すべき敵ということになりかねない。
「質問には答えたぞ。早くこの捕縛魔法を解いてくれ」
力なく半裸で冷たい地面に転がる女性。
詩音の件がなければ全力で目に焼き付けておくところだが、もやは見慣れた光景なので、なんの価値もない。
まぁ詩音は地面ではなくソファ、あるいは自室のベッドの上だが。
「あなたの話を聞いて気が変わったわ。
私、魔物討伐協会に所属しているの。
それで今後のために戦力が欲しいとおもっていたところだったんだけど、私に協力してくれると約束するなら解いてあげるわ。
それにあなたは強いけど不意を突かれて誘拐された、と弁護もしてあげる。つまりあなたはお金を返さなくても罪には問われない」
……そうかなぁ?
悪に人権はない、ってどっかの作品で聞いたことがある気がするけど……実際にはそれはそれ、これはこれ、だよな。
「ちなみに断ってもいいんだけど、さっき打ち込んだ捕縛魔法は私がマーキングを解かない限りは、いつでも発動させることができるわよ。
運悪く変態が目の前にいたときに発動しちゃったら大変よねぇ」
……外道め。
というか、元女神は、繊細な魔法は苦手、と言っていたし遠距離からもあてることはできなさそうなので、絶対にブラフだ。




