表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/158

部屋の中の間違い探し

 元女神は警戒もせず、躊躇なく部屋の中へ足を踏み入れる。

 さて、今回は、というか、今後ともポイント稼ぎ要因でしかないオレは無理して部屋の中へ入る必要はないのだが……

 後で元女神から『なぜ付いてこなかったのか? この腰抜けが』と罵られたとしても、命優先なので腹が立つとかそういう感情にはならないと思う。

 問題なのは、先ほど元女神と長々と話してしまった結果、誘拐された人に危害を加える時間を増やしてしまったことに対しての罪悪感はある。

 責任よりも命の方が大事なのだが、ここは元女神という盾もいるので、いきなり撃ち殺されないよう慎重に元女神の背中に隠れつつ、部屋の中を覗き込む。

「……なんだこれ?」

 中の様子を見てみると、一階部分全て、つまり四部屋ブチ抜きの構造で、床は全てコンクリート(ここに限らず、部屋の構造とかは日本でみたことのあるものばかりなので、名称は違うかもしれないが同じものだと思う)でグレー一色。

 大きな一部屋となった左右二か所に階段が設置されていて、そこから二階へ上がることができるようだ。

 そして肝心の誘拐された女性。

 白いワンピース、長い黒髪はサイドアップ、そして元女神にも負けない美貌と、いわゆるスレンダーな身体つき。

 詩音や元女神とは違うタイプではあるが、お姉さん系には変わりないので警戒はしておく。

 それはさておき、まるでどこぞのお嬢様を思わせるような可憐な女性が、暗がりを一人で歩くには危険というもの。

 比較的平和な日本であっても、弱い立場の女性が痴漢にあうなんて話は聞く。

 詩音はねじ伏せていたが……

 だがここは異世界。魔法が存在するのだ。

 見かけによらず女性が強ければ反撃することもできるだろう。しかし、女性は抵抗することなく攫われた。

 が、今はっきりと確認できるのは『白いワンピースを着た女性』なのだ。

 そして周囲に転がっているのは、多分女性を誘拐した犯人たち。

 さらには、女性の手には複数の財布らしきものが握られていた。

 ……これは高度な間違い探しだ。いったいどこが間違っているのだろうか?

 そういえば、去年の文化祭、詩音が他校の不良たちに囲まれた後、十数分後にはこれと同じ光景が広がっていたので、実はこちらが正解、というわけだ。

 ……んなわけあるか!

 詩音の場合は『詩音親衛隊』とかいう、漫画でしか見ないはずの特殊部隊が存在しており(詩音公認)その人たちが詩音を守っていた、というのが後でわかったのだが、今回はそれとは違う。

 先ほど再認識したが、再々認識。

 ここは異世界。女性が強くても不思議ではない。

 そして手に持つ財布。

 とある漫画には『盗賊殺し』とかいう異名を持ったヒロインがいた。

 つまり、目の前の女性はわざと攫われてアジトにいた全員から金品を巻き上げた、という解釈でいいだろう。

 問題なのはオレたちがこれを目撃してしまったこと。

 オレがチート能力持ちなら、口封じのために襲ってきた女性をねじ伏せて惚れさせることもできるだろうが、現実は服を破ったのちぶん殴られるのがオチだ。

 なので早々に退散したいのだが……元女神はどうだろうか?

「なんだ。もう終わってたんだ。

 せっかく大きな代償払ったってのに……はぁ……大損じゃないの……」

 女性の無事に安堵するよりも、目的であった『人助けでポイント稼ぎ』ができないことに、大きなため息をついている模様。

 こいつって多分、というか間違いなく、自分の利益最優先で動いている、と思うには十分な態度だ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ