眠い…………
「で、なんで借金したんだ?」
返済返済と聞いてきたが、その理由を聞いていない。
三億もの金額の返済がどれほどのものなのか、ただの高校生であるオレにとってはいまいちピンとこないが、サラリーマンの生涯給料であると考えると、家を三、四軒破壊したぐらいだろうか?
そんなことしでかす元女神に付いて行くと考えれば考えるほど絶望でしかない。
今更だが協力拒否とかできないだろうか?
……できないだろうなぁ……高額の借金を背負っても女神昇格試験は継続されているみたいなので、天界側としても許容範囲なのだろうな。
「もちろん説明するけど、これからの稼ぎのことも含めて明日にしましょう」
そう言いつつ元女神は立ち上がる。
「いやいや。その重要な話をするために外で話してたんじゃないのかよ?」
ここで話を終わらせると、ただの酔っぱらいの話に付き合ったに過ぎない。
「違うわよ。最初に言ったでしょ『誰かに聞かれちゃまずい話がある』って。
借金の話は周知の事実なんだから、わざわざこんなところで話す必要ないわよ」
「……それは、確かに……」
いや、借金の事実がみんな知っているってどうなんだ? もしかしてオレ、また騙されそうになっていないか? 大丈夫だよな? いや、この状況がすでに大丈夫ではないんだろうけど……
「聞かれちゃまずい話ってのは『私』と『あなた』のこと。さっきまで話してた内容って、この世界の話ではないでしょ。
だからあんたにはまず、しっかり現実を認識してもらうこおが重要なのよ」
「お、おう……」
確かにそうなんだが……
さっきまで話していた内容ってゲームの話と、この元女神を自称する女性を含めた『天界』と名乗る組織をつぶした方がいいのではないか? という印象しかない。
それに、この元女神の様子を見るに、
「別にお前が眠いから話すのが面倒になった、とかじゃないよな?」
「……もちろんよ」
「目ぇ、閉じかかってんぞ」
元女神は酒も入っていることから急激な眠気に襲われたのか、ゲームの話をしていた時のキラキラした瞳から一転、八割がた瞼が閉じかかっていて、明らかに睡魔に襲われている。
「疑うならそれでもいいけど……ふぁ……私はもう寝るからね」
あくびしながら言い放つその言葉は疑惑どころか確定でしかない。
まぁオレも段々と眠気に襲われており、このまま借金の話をされても頭に入れる自信はない。
なので、覚えていない、とか言った日にはこの元女神は自分のことを棚に上げて、頭かち割って脳みそに直接書き込んでやる、とか言いつつ実行しそう。
「ついてこないならそれでもいいけど、わざわざあとで案内したりしないわよ」
元女神はそう言いつつ歩き出し、建物の入り口へ向かう。
「わかったよ」
ここで付いて行かない選択肢をとると逃げられるかもしれないが、借金問題を解決できず寝床は路上とかなりそうなので、付いて行くことにする。
先ほどはあまり気にしなかったが、建物に入ると正面の明かりは落とされており、それに代わって夜間受付のブラインドが上がっている。
そして受付の窓越しに見えるのは、ヒノさんがモニターに向かってなにか作業している姿だった。
そんな仕事中のヒノさんもかわいい。




