テンプレはどこにいった?
「あ、異世界の珍しいものといえば、これ、高値で売れないか?」
取り出したのは詩音から渡された百円玉二枚。
「それ地球の、というか日本のお金?」
「そう。この世界だと珍しくないか?」
「んー、材質的にはどこの世界にも同じものがあるから、そういう点では希少価値はないし、貨幣としても当然使えないわ。
歴史的価値がある、とかなれば高値がつくかもしれないけど、そもそも天界の原則として『異世界のものはどんなに価値があってっも召喚された先の世界では無価値』という設定されているから、絶対に値段がつかないの。
記念品として譲渡するぐらいなら構わないけど、譲渡された人が売ろうとしてもガラクタ扱いされて、絶対に値段はつかないわ」
「やっぱりそううまくはいかないか。
というか、また設定って言ってたけど、女神たちは人間を使ってゲームでもやってんのか?」
もしこの憶測が当たっていたら、ゲームや漫画なら終盤で明らかになりそうな真相だと思うが、元女神は特に気にした様子もない。
「そんなわけないでしょ。とはいえ、ゲームに例えるのは面白いわね。
例えば今回、あなた自身を含めた異世界のモノが金銭的に無価値になるという設定は、ゲームで言うところの不正防止ってところね。
でもあなたの能力が『ただの石ころを金に換える』であれば、それを引き出した私の功績として認められるから、それは不正にならないわ。
だからねぇ、そういうのを期待してたわけよ。よりによって、ねぇ。性犯罪魔法、ねぇ……」
元女神は期待外れなオレの能力を再確認し、大きくため息をついて肩を落とす。
落ち込みたいのはオレのほうなんだが?
なぜ元女神都合で異世界に召喚された挙句、付与された能力が衣服を破壊するとかいうふざけた能力なんだ?
しかもお約束のお色気シーンではデコピンでぶっ飛ばされて気絶させらえる始末。
ここは決闘に発展するのがテンプレなのではないか?
……ま、この能力で怪力姉属性に勝てというほうが無茶ではあるが……せいぜい衆目の前で恥辱を味合わせるのが関の山。
それにそんな衆目の前でオレの能力を披露したのなら、全女性から敵認定を受けてしまう。
それこそヒノさんからも軽蔑の目をむけられてしまうだろう。
……あれ? どうがんばって異世界チートハーレムにならなくね?
……おかしいなぁ……
いや、おかしいのは元女神の方か。
「……気を取り直して。
というわけで、借金返済のためにはこの世界のルールに則った解決策を講じなきゃ意味無いの」
やっと本題に入るのか?
疲労感も相まって、一週間ぐらいここで喋っていたような気になってきたところだ。




