異世界漫画はエンターテイメント
「あれ? 考えこんじゃって。
もしかして、実は高性能パシリだったりする?」
「そ……そんなことねーよ!
そんなことより、話がだいぶ逸れたけどオレの出身の話だろ?」
「んん?」
若干動揺しつつ否定したことに疑惑を持たれたようで、元女神は小首をかしげて、ジッと疑いの眼差しでオレの目を直視してくる。
ここで目を背ければ負け……負け……負け……
「まぁいいわ。仮に高性能パシリだとしたら、いずれその方面の能力を無意識のうちに発揮するだろうから、それはそれで楽しみしておくわ」
……怖いことを言う……
確かに、体に染み込んだパシリ体質はそう簡単に消えるものではない。
とはいえ、無意識に反応するのは詩音に対してのみで、他の女性が詩音と同じような言動をとっても、それに反応することは一切なかった。
だからこの元女神の無茶振りに対して、パシリ能力が発揮されることはない……と思いたい。
「それであんたの出身の話だけど、私の召喚願望では出身地までは指定していなかったのよ。
天界の資料室に行けば全生命体の潜在能力を調べることができるけど、原則試験が終わるまでは天界に帰ることができないのよ。
で、結局どこから来たの?」
「日本」
ざっくりしすぎている気もするが、本当に元女神ならこれで理解してみろ、と挑戦を吹っかけてみたのだが、
「あ……あーあーあーあーあぁはいはいはいはい」
オレの出身地を聞いた女神は妙に納得した……というか、何かを悟った様子で、何度も何度も頷く。
なんかイラつくな。
「もしかしなくても『地球の』でしょ?」
「そうだけど。何かマズいのか?」
「いえいえ。納得しただけ。
そりゃ魔法も魔術もその他の能力も扱えないわけよ。
ついでに言うと、異世界ってものすごく文明が遅れているってイメージ持ってるから、現状を中々受け入れられなかったんでしょ?」
「……確かに。全部が全部ってわけじゃないけど、異世界漫画ってそういうのばかりだから、イメージとしてはそうかな」
本当に多いんだ。衣服は現代っぽい中世ヨーロッパ風異世界漫画。
「でしょ。
私も地球の漫画を読んだことあるけど、異世界もので未来へ行く話もなくはないけど、ほとんどの作品は文明未発達の世界。
ついでに言えば、チートとハーレムがセットになってる」
「まあ、ざっくり言ってしまうと、そうかな」
「私はそういうのって、もはやギャグ漫画を読むつもりでいつも読んでいるの。
んで毎回、そんなわけねーだろ、ってツッコムのが定番。
あーゆーのは作者の固定観念とでも言うのかしらね?
魔法が存在する文明が、魔法のない世界に劣るわけないのにね。
魔法があっても文明は発達するんだから、百歩譲っても文明レベルは同等以上のはずなのに、ファンタジー世界はそうでないと世界観が崩れる、なんて決まり事のように描かれるでしょ。
エンターテイメントなんだから、もうちょっと視野を広く持ったら? っていつも思うわね」
元女神はやたらと饒舌に漫画のことを語るが……もしかして……
「それに関しては同意するが、もしかして女神の仕事をサボって漫画ばかり読んでるのか?」
「なんッ……んなわけないでしょ!」
はい。サボり確定。




