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召喚の理由

「テンプレその二は、各国が戦力や独自の救済を目的とした召喚で、言ってみれば運任せのランダム召喚ね」

「なんか凄い人たちが大魔法を使って勝手に召喚する、みたいな?」

「それそれ。

 この行為自体には天界が把握してて、本当に必要な素質のあるものは召喚されないように制御しているのよ。

 漫画ではその『ハズレ能力』の真の効果を活かして活躍するけど、現実ではそれは不可能なのよ。

 ハズレはハズレ。所詮は人間が人間に付与した能力だから、漫画みたいにチート能力に昇華するの不可能で、都合よく『追放した人に復讐する』なんてことは絶対にありえないわ。

 それと、神様が『あっちゃあ、間違えちゃったから凄い能力付与してあげる』とか、これも絶対にありえないから。

 そんなことやった女神は、一発アウトで天使へ降格な上に、最低でも五百年は女神昇格試験が受けられなくなるわ。

 その間、ずーっと自分より階級が下だった女神、あるいは天使の下働きをしなきゃいけないから、すっごい屈辱を味わうことになるわね」

「ほうほう。まるで実体験のように語るけど、実はお前は何かやらかして、現在は女神ではない、なんてことはないよな?」

「………………」

「……目をそらすな……」

 半分冗談、半分カマかけのつもりで聞いてみたのだが……まさか、本当に女神ではないとは……再確認するが、こいつ、色々な意味でやばいよな……

「……そんっ! んなあわけ……ないでしょ……」

 悪魔は視線をそむけたまま、喉の奥に言葉が詰まったかのように、か細く小さな声でオレの言葉を否定する。

 もはや確定演出だろ……

「ははあん。さては前回の失敗から五百年くらい経ったから、ようやく女神への再昇格試験を受けれられるようになって、その関係で召喚を行ったんだな?」

「……ぐ……ぎ……ぅ……」

 悪魔はさらに、喉に餅を詰まらせたのか、というぐらい小さなうめき声を上げる。

 どうやら的を直撃したような図星だったみたいだが、正解したところで何も嬉しくない。

 多分だけど、力は強くても女神ほどの権限は持っていないだろうから、いざという時、例えば印籠的なもの見せつけるような威厳を示す場面があったととしても、それを証明する手段もないので役に立たず、棒立ちで状況を見守るだけの一般人と立場が同じ。

 オレのことを散々ド変態能力者とか言って蔑む割に、自分は女神であると嘘を吐き続けていたとか……

「……ち……ち……」

「ち?」

「違うわよ!

 試験は……そう! 今は女神昇格試験の真っ最中ってことは認めるけど、そのために召喚したんじゃないわよ!

 よかれと思って行った行動なのに、結果的にこんな借金背負うことになって、それを一人で返すなんて無理でしょ!? 心が壊れちゃうわ! これなら魔王討伐をやってたほうがよっぽど楽よ!」

 やけっぱちになったのか、ついに自分は女神ではないと認めた悪魔。

 いやどっちも嫌だが、オレ的には魔王討伐のほうが嫌なんだが……

 旅の途中で瀕死の重傷負うとか、死んでも無理やり蘇生させるとか……想像するだけでゾッとする……

「つまり召喚の目的は魔王討伐とかじゃなくて、借金返済のための協力者が欲しかった、と?」

「だから、最初からそう言ってるでしょ」

 悪魔改め元女神はあっさり認め、それを聞いてある意味安心する。

 衣服を破壊するだけの魔法で、どうやって魔王討伐の旅をするのか? 悪い頭をフル回転させたところで良案は思いつかない。

 ただ、どちらにしてもオレの異世界生活は詰んでいるような気もするが……

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