女神による転生、転移の真相
「まぁ、天界の話は今はいいのよ。
今必要なのは借金を返すこと。でないとあんただって元の世界に帰れないわ。
そのために気合い入れて召喚したんだから、私が授けた能力以外にも何かできることあるでしょ?
最初、魔法と魔術の違いに疑問を持ってたみたいだけど、あんたの世界では別の呼び名があるの?」
「……ちょっと待ってくれ。なんだよ? その魔力が使えること前提な話は?
こちとら体育の成績がちょっといいだけで勉強はからっきしの、ただの高校生だぞ。他の能力なんてあるわけがない」
詩音のパシリが得意、なんて口が裂けても言えない。
「え……ちょっと待ってよ……」
悪魔は若干焦りの表情を浮かべ、頭を両手で押さえて何か考え始める。
この間、オレたちの間にはただただ沈黙が流れ、聞こえるのは町の喧騒のみ。
「……ねぇ。あんた、どこから来たの?」
悪魔は長いようで短い、短いようでながい思案を終えて口を開いたと思ったら、あまりにも無責任な質問が飛んできた。
「自分が召喚したのに、そんなことも把握してないのかよ?」
オレの言葉に悪魔は、むっ、とした表情を浮かべる。
「召喚にもルールがあるの!
例えば救いが必要な世界の場合、召喚先の世界に応じて女神が勇者を選別する。
これがテンプレその一。女神空間よ」
オレの質問に対する答えになっていないが……話をはぐらかすつもりか?
でも漫画にありそうな展開で、ちょっと面白そうなので話に乗って進めてみる。
「なんとなくわかる。
例えばトラックに轢かれて死んだ場合、何もない空間で神様と出会うパターンだろ?」
「そうそうそれそれ。
でもあれって死亡事故を女神が起こすわけじゃないから、実際には死んでから魂の再確認と会場や送り出すゲートの準備、現地の言葉を授けるために魂の干渉などなど、死んだ本人は直後に女神に出会ってると錯覚してるけど、実は結構時間が経ってるのよ」
「……なんかそんな裏話聞きたくなかったな。もっと神秘的なものだと思ってた」
「ま、神秘的には仕上げてるわよ。でも人間も大したものね。想像だけで正解に近い答えを漫画や小説にしてるんだから」
「そう言われると確かにすごい。
もしかして、幽体離脱とか死を経験して戻ってきた、って人はその光景を見たりしたのか?」
「その人に素質があれば可能性はあるわね。
女神が導いている間に息を吹き返して、魂が元の体に戻るパターンもないこともないから。
ったく。こっちがどれだけバタバタして準備したと思ってるのよ、って若干イラつくわ」
とても女神の発言とは思えん。あ、悪魔だったわ。
その悪魔は当時を思い出したのか、若干不機嫌な表情を浮かべている。




