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今後について

 人を見かけで判断してはいけない。

 というのは詩音で慣れていたつもりだが、スキンヘッドの悪人ヅラ三人組は思いのほか優しかった。

 酒がダメだと伝えた以降は、場の雰囲気に乗って無理やり勧められることもなかったし、好きなものは? 嫌いなものは? と、気を使ってくれたり、個人情報は名前以外一切聞かれなかった。

 こうなると現状、女神がヤクザで、ヤクザ(っぽい人)が神様のようだった。

 お腹も満足したところでお開きになり、現在は悪魔と二人で『魔物討伐協会』前まで戻ってきた。

「明日の朝ごはんもゲットしちゃったし、運が良かったわね」

「……あ、そう」

 正確に言えば、運が良い、のではなく、この悪魔は普通に朝食分として注文していた。そして当然のようにお代はあの三人持ちという遠慮のなさ。

「テンション低いわね。

 お金のない私たちにとっては凄くありがたいことなんだから、素直に喜びなさいよ」

「状況的に喜べるわけないだろ。借金だぞ。大借金だぞ……それに私たち、って、もしかしてお金を全く持っていない、とか言うなよ?

 オレは当然のことながら手持ちゼロだぞ?」

 ポケットの中を確認すると硬貨が二枚。ただし、この世界で使えるとは思えない。

 先ほどの支払い時はオレと悪魔は先に外に出て、三人が支払っていた現場を見ていないので、現金がどのようなデザインかも見ていない。

 ちなみに、オレはお礼言った。悪魔はお察しの通り『拝観料なので当然のこと』とふんぞり返っていた。

「あんたに期待はしてないわよ。どうせこの世界じゃ元のお金は使えないどころか、異世界を匂わせるものが周囲に知られるのはアウトだし。

 それと私だっていくら借金を背負ってるからって無一文、ってわけじゃないんだから」

 言いつつ、悪魔はスマホらしきものを取り出して、多分残金を確認している。

 この世界ってキャッシュレスなのか?

「……………………」

 確認後、悪魔は黙ってしまった。

「……まぁ、心配ないわ。なくなったら稼げばいいだけだもの」

 これは厳しい状況間違いなし。

「そうだ。いい方法を思いつたぞ」

「え? なになに? もしかして早速役に立っちゃってkれるわけ?」

「お前にストリップさせて稼げばいいだろ。ほら、手伝いはしてやるよ」

 半分冗談半分本気。道端でやったらお金をくれるか、ただの露出狂だと思われて避けられるか。それ以前に公序良俗で捕まること間違いなしだろうが。

「は?」

 オレの提案を聞いた悪魔は、思い出したかのように気分上々の表情から一転、眉間にシワを寄せて鋭く睨んでくる。

 やはりこの威圧感は尋常ではなく、足がすくみそうになるが、ここで負けたら永久に立場が下っ端で固定されてしまう。

 せっかく異世界にきた……と、そろそろ現実を受け入れてもいいかと考える……ので、ここで引いてなるものか。

 幸い長年恐怖を刷り込まれてきた詩音ではなく、新規の姉系なので耐えられる。

 なんとか悪魔の視線に対抗し、じっ、と瞳を直視する。

 ……悪魔のくせに綺麗な瞳をしてやがるのが詩音を思い起こさせ、怯むと同時に腹が立つ。

「……ま、いいわ。

 いつまでもこうやっていても仕方ないし、二度目の召喚はできないから代えもきかないし。

 ちょっと座ってお話しましょ」

 そう言って悪魔が腰を下ろしたのは、道路に設置されている縁石。

 ……ここで話すのかよ……

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