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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は6/7(金)投稿予定です。
「もしかしてティティは、僕にくっつかれるの嫌なの?」
「や、嫌とかではないんだけど・・・。」
サディアの言葉に否定しつつ、ティティルリアはしどろもどろになる。
そんな彼女の様子にサディアは彼女の言葉を待つ。
「・・・ねぇ、サディアは恥ずかしくないの?」
「え?どうして?」
「だって、普通ならこんなに近いと・・・その、色々気にするじゃん。汗臭くないかなぁとかこんなに近くだと恥ずかしいなぁとか。」
ティティルリアの言う事にサディアは「何だ、そんなことか。」とさも今の状況が何でもないように言ってのける。
「ティティからは花のような甘い匂いでいい匂いだし、それに恥ずかしいというよりすごく気持ちがいいし心地いいよ。」
ティティルリアの言葉を聞いてサディアはさらりとそう言ってのけると先ほどよりも更にギュッと抱きしめる。
「何よりティティが一番心地いいから、離れたくないんだ。」
あくる日に魔力が暴走して熱を帯びたまま意識をなくた時、サディアが何をしたのか私に聞いた事があり、掻い摘んで何をしたのか答えた事があった。母も魔力で何かしら不調した時は父にこうして魔力を送って母の調子を整えていた事を話すとサディアは初めは何故かひどく驚いていたが、最後にはどこか納得してとても嬉しそうにしていたのを思い出す。
その話しをしてからだ。彼はたまに魔力で調子がよくない時は私に魔力を送って貰いたいとお願いされるようになっていき、今では毎日の日課のように彼に自分の魔力を送っていた。
腕輪があるのにどうして?と聞いた事があったが、「ティティルリアの・・・ティティの魔力がひんやりしていてとても気持ちが良いんだ。」とそう言われた。
私は魔力属性で特化しているのは氷属性なので、火属性の彼には私の魔力が冷たく感じるのかもしれない。
まぁ倒れられても困るし心配だし、集中力がいるが疲れるということもないのでそういうことならと拒む理由もなくしていたのだが・・・それで彼はこんなに引っ付きたがるのだろうか?
そういえばあの時から自分を呼ぶ名が愛称に変わった気がする。
「ティティはどうなの?」
「え?何が?」
「僕はティティの匂いとかそういうの全然気にしたことなかったけど、逆にティティは僕に抱きしめられるの嫌?それとも僕が臭い?」
それを聞いたティティルリアはギョッとして勢いよく振り返る。
「私はそんな事を思った事なんてないよ!サディア臭くないもん!」
なんて事を言い出すんだとティティルリアは否定する。
「私の体臭はよくわかんないけど、サディアからはシトラスみたいな匂いがするし、私はそういう匂い好きだもん。」
「!そ、そうなんだ・・・好きか、好きならいいね。」
サディアは少し恥ずかしそうにそう言うとにっこりと笑った。
彼が一番上機嫌の時の顔だ。
「なら、全然問題ないからこのままでも良いよね?」
「え?そういう事になるの?」
「だって別に嫌じゃないんだよね?」
「でも恥ずかしいけど?」
「ティティ。」
急に真面目な顔つきで名前を呼ばれティティルリアはドキッとする。
「恥ずかしいならさ、慣れたほうがいいんだよ。」
「慣れ?」
「そう。だって恥ずかしいってことは僕たちが引っ付く回数が少ないからだよ。慣れたら恥ずかしくないでしょ?」
「そうなのかなぁ?」
どこか違うような気がするティティルリアは首を傾げるが、彼は大真面目に頷く。
「そうだよ。苦手なことでも頑張ってしたら克服できるじゃない?」
「んー・・・まぁサディアがそういうなら。」
首を傾げななが頷く彼女にサディアはにっこりと笑みを深くした。
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