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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は6/1(土)投稿予定です。
ガーランド公爵家は隣国の古い由緒ある家柄と昔父から言われたことがある。
つまり格上!
そんな血筋を持つ目の前の少年にタメ口で喋っていたらどんな図太い人でも私のように顔を青くさせるだろう。
もうこれは絶対処罰される!
とそう思っていたが彼はただ笑っただけで何も咎めなかった。
貴族の位、それも高い地位を築いている公爵家の名を名乗ったその少年サディアは私に怒るどころか寧ろこのまま親しく話して欲しいとそう言い、逆に私が畏まることを拒んだ。
処罰されない事にホッとしつつ、彼の要望には最初こそ私は断ったがしつこく言われたことで私が折れる形となり、態度を改めることはしない・・・というか出来なくなった。
それって普通に大丈夫なんだろうかと心配しつつも、彼と色々な話をした。
聞けば彼は今避暑地でもあるこの街に数日前から別荘で過ごしているらしく夏のこの時期1ヶ月はここに滞在を予定なんだとか。
年齢を聞けば自分と同じ11歳だった事に驚いたが、それよりも貴族の勉強はどんな事をするのか、どういう魔法を使うのかとか自分の魔力操作とか比較の話しをしていくうちに、サディアとはすっかり仲良くなった。
だからさも当たり前ようにティティルリアはサディアに明日も会う約束をした。
その次の日も、その次の日もでもある。
そして、そうして2人で遊んでいたら、いつの間にかティティルリアとサディアが出会ってから10日も経っていたーーーー。
「ねぇ、サディア。そういえば良かったの?」
「え?何が?」
サディアが持ってきた魔術書を2人で仲良く読んでいた時だ。
ティティルリアは後ろにいるサディアを見るため振り返った。
「貴族様の避暑って友人の交友会とか色々な交流会とか参加するって聞いたんだけど、ずっと毎日ここにいるから大丈夫かなって思って。」
「それ誰から聞いたの?」
「えっと、私のお父さん。お父さん商人だからそういう事も知っているんだ。」
本当は仕入れの在庫確認しながら、昔のことをぼやいていただけなんだけど・・・。
父はそういう会に出るのがひどく気が進まないタチだったようで、毎年この時期の仕入れ内容を見ると思い出すらしい。
「ふーん、君のお父さんは物知りなんだね。」
父の昨晩の姿を思い出していると自分より背の高いサディアがどこか納得したように頷いているのが見えた。
そして彼はニコッと笑う。
「僕はいいんだ。ティティといる方が楽しいから。」
彼の口から愛称で呼ばれることにむず痒くなる。
最初は自分のことは名前で呼んでくれていたが、次第にそう呼ばれるようになった。
一度驚いた時に「ダメだった?」と悲しげに言われたのですぐに否定した訳なのだが、そこから彼はずっと自分の事を愛称で呼んでいるのだ。
まぁ、それだけでそわそわしている訳じゃないんだけど・・・。
「ねぇ、サディア。後ろからそんなにくっつかれると本が読みにくいんだけど。」
ピッタリとくっついてティティルリアの頭に顎をおいているサディアに抗議する。
すると彼はもっとギュッとくっついた。
「やだよ、ティティにくっつくとすごい気持ちがいいんだもん。」
その返事にティティルリアは小さくため息を吐いた。
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