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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は申し訳ありませんが5/24(金)投稿予定です。
どこかぼんやりとしていた彼だったが徐々に頭が冴えてきたのか、ハッとして辺りを見渡す。
近くに畳んであった自分のローブを見つけ、すぐさま羽織りフードをきっちり被る様にティティルリアは思わず目を疑う。
いくら先ほどより涼しくなったとはいえまだ火照る身体には毒だろう。
「ね、ねぇ・・・暑くないの?」
「・・・大丈夫、いつもの事だし。それにごめん。」
急に謝られたのでティティルリアはキョトンと目の前にいる少年を見る。
「何で謝るの?」
「僕の皮膚見て嫌がる奴とかいるから・・・。」
「え?そうなの?綺麗だと思うけど?」
宝石のように綺麗な光を放つ彼の鱗のような皮膚を思い出しながら、何故そう思われるのか心底不思議そうにしているティティルリアに対して少年は少年で心底驚いたようで、ティティルリアをジッと見つめ返した。
「え?ご、ごめんなさい、気に触るようなことを言った?」
「・・・僕のこれ本当に変に思わないの?」
「え?う、うん。そう思うけど。」
そう言うと今度は少年はフードをゆっくりと取る。
フードのせいで彼のボサついた髪の毛を見た後に彼の鱗が生えたような頬をジッと見た。
やっぱり自分には綺麗で繊細な工芸品や宝石のような美しいものとして目に映る。
「やっぱり綺麗だねぇ。」
「っ!」
呟いた言葉に瞬時にボッと赤くなった顔を隠すように少年はフードを被り直す。でも先ほどより深くではなく顔が見えるように被りそっぽを向いているが彼の照れた顔が少しだけ見えた。
「あ、ありがとう、僕の家族ぐらいしか褒められた事がないから少し・・・恥ずかしい。」
「そうなんだ、まぁ着るのは自由だし・・・でもこのコート結構分厚いね、本当に暑くないの?」
「僕の家系は元々体温が低いから・・・でも少しだけまだ暑い・・・かも。」
「え?!それならコート脱ぎなよ?!また倒れるよ?!」
ティティルリアの焦った声に少年はクスクスと上品に笑う。
「このぐらいなら大丈夫。でも腕輪があったらそんな心配はないんだけどね。」
「腕輪?・・・あ!」
すっかりその存在を忘れていた腕輪を思い出し、ティティルリアは箱を取り出す。
そして持っていた鍵を使って開け、彼の前にそのまま差し出した。
「もしかしてこれの事?」
「!それ!」
「去年君に偶然会った日、これがここに落ちてて拾って保管してたんだけど・・・。」
「そうだったんだ・・・もう僕の手元には戻ってこないと思って諦めていたんだけど。」
そう言ってそっと大事そうに腕輪を取り出し自分の腕につける。
一瞬だけ紋様が光った途端、彼の顔色も先ほどより良くなっていくのが見えた。
「ありがとう、これは先祖代々受け継いでいる家宝の一つなんだ。」
「え?!そんな大事なものだったの?!!」
新たな事実にティティルリアは驚愕する。本当あの時置いて帰らずに持って帰ってよかったと心底そう思っていると急に自分の手から他の人の手の感触を感じて肩が跳ねる。
「本当にどうもありがとう。君は僕の恩人だよ。」
にっこりと笑いかける異性の少年に今度はティティルリアの顔に熱を帯びるのがわかる。
「僕はサディア=イルデ・ファルダ・ガーランド。君は?」
「わ、私はティティルリア・・・え?ガーランド?って・・・公爵子息様?!!」
よく聞く貴族の有名な名を聞いたティティルリアは今までのタメ口を思い出し赤い顔が一気に青くなるのを感じた。
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