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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は3/8(土)投稿予定です。
彼の表情に戸惑う私に、サディアは言葉を続ける。
「君死ぬところだったんだよ?それなのにどうしてそんなに簡単に言うの?あの時、湖の中で君の息の根が止まりそうになったあの顔を見て、僕が・・・僕が!何も思わないと思った?!君を引き上げて意識のない顔を見て、呼吸しているのか、死んじゃわないかって、ずっとずっと見ていた僕がどんな思いでっーーー。」
彼の言葉にティティルリアの瞳が大きく揺れる。そしてそんな彼女をギュッと抱きしめた。
「後悔した、君を今回のことで同行させたこと。あの時より、それ以上にっ。」
「あの時?」
問いかけた時、サディアは抱きしめた腕を緩めティティルリアの顔を見る。その眼には涙で濡れていた。
サディアの涙に小さく息を呑んだ後、彼の胸元で揺れるものを見てさらにティティルリアは驚く。
それはあの日、私が彼の為に作り、そして彼に渡すことができなかったアオイライトのペンダントだった。
「これ・・・どこで。」
「・・・あの日、君が帰った後僕は君が来るのを待っていたんだ。でも、あまりにも遅くて心配になって迎えに行こうとしたんだ。そしたら、メイド長がこれを持っていたんだ。」
サディアはそう言ってペンダントを握りしめる。
「君の魔力を僕が間違えるはずはない。問い詰めたら君に何をしたのか、何を言って君を傷つけたのか、知ったんだ。あの時、僕がもう少し大人だったら・・・いや、魔力をうまく制御できれば良かったんだ。君を追いかけるよりも君を傷つけたことにそいつに怒り狂い、魔力を暴走させて散々暴れて終いには倒れて意識を失ってしまっていた。気がついた時には3日過ぎていた。・・・無意識に握りしめた君のペンダントの魔力のおかげで僕は死なずに済んだのに、僕のせいで君を傷つけて失ってしまったんだ。」
「そう・・・そうだったんだ。」
「君に会いに行こうと思ってあの丘に行ったんだ、でも、君のご両親に会うことを許してくれなかった。」
「え?!お父さんとお母さんが?!でも、家は知らなかったはずじゃ・・・。」
「それなりの地位はあるから、君の実家はすぐに調べられたよ。」
初めての事実にティティルリアは驚き、サディアは涙目ではあったが彼女の表情を見て少しだけ含み笑いをする。
「その時、君の父上に言われたよ。『娘を会わせることはできない』って。はっきりとね、到底容認できなかった、でも、僕は言う通りにするしか出来なかった傷つけたのは事実だたら・・・でも、やっぱり諦めきれなかった、ずっと、ずっと。」
「サディア・・・。」
「ねぇ、ティティ・・・。」
昔のように愛称で呼ばれ、ティティルリアは彼の眼を見つめる。
「僕の事は嫌い?僕は君の隣にいる資格なんてない?」
その言葉を聞いてティティルリアはポロリと涙を流し、ずっとずっと大人になったサディアを抱きしめた。
「・・・そ、そんな事ないっ!」
涙を流し嗚咽を我慢して言葉にする。
「わ、私だって!ずっとずっとサディの隣に居たかった!あの日からずっと、ずっと諦めるように言い聞かせて!だって・・・だって!サディの事ずっと好きだったんだもん!」
想いを口にしたティティルリアだったが、後悔はなかった。
どんな形になろうとも、もう彼の居ない日々を想像したくなかった。
自分の想いが実らなくてもそれでもいいと思ったのだ。
「っどうして今言うんだ。」
彼の声にティティルリアは顔を上げる、そこには珍しく顔を赤くしているサディアがいた。
「僕が、先に言おうとしてたのにっ。」
「!」
「でもいいよもう!何だっていい!君が僕の前からいなくならないなら!僕も好きだ!ずっとずっと!初めて会った時から!」
サディアはギュッと抱きしめる。自然とティティルリアも子供の腕で彼の背を腕を回す。
「あの日言えなかった事を言わせて!ティティルリア君が好きだ!だから僕のお嫁さんになって!」
「!うん、うん!」
思いがけない言葉に驚いたティティルリアであったが嬉しさが勝り、サディアの告白に大きく頷いた。
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