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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は2/15(土)投稿予定です。
ーーーーーーーーーティティの魔力は冷たいね。
子供の頃、いつもの丘のあの場所である日ふとサディアにそう言われた。
あの日は子供心でどっちの魔力が多いのか自分達の魔力の量を競っていた。彼の言葉で周りを見渡すと魔力を放出していたせいでいつの間にか私の周りの場所は私の魔力の影響で夏だというのに氷の景色になっていた。
そういえば、あの時は負けたくなくて思いの外集中していた。自分の身体が凍え、ひどく寒かった。
ーーーーーごめん!寒かったよね!
すぐに私は彼に謝った。
そして胸の中央で組んでいた手を解こうとしたが、それより先に彼の両手が重なる。
すると、彼の魔力が自分の身体に流れ込んできた。
彼の温かい魔力で自分の身体が温まっていく。
ーーーーーーーー大丈夫、だって、僕の魔力は熱いから。君が冷たくなったらこうして僕の魔力で君を温めるよ。
ーーーーーーーーじゃぁ、もしサディアが熱くなったら私の魔力で冷やしてあげる。
ーーーーーーだったら僕達、2人いれば無敵だね。寒いのも熱いのも平気になるね。
ーーーーーー本当だ!サディアと私!一緒にいればどっちにも困らなくなるね!そうすればサディアも腕輪しなくても大丈夫になるし!
そう、サディアの魔力はいつも熱い。だから私が冷たくなってもーーーーーーーーーーー。
「っ!!」
ハッとティティルリアは目が一気に覚める。
身体が思うように動かない・・・。
目が覚めたが自分の身体が氷のように冷たく、動くことができない事を悟る。
手足も寒さで震え歯がカチカチと寒さのせいで音が微かになる。
あの湖の水草のせいで自分の魔力と湖の水の魔力が混ざり合い、暴走しているのを理解する。
それでも辛うじて自分が生きているのは私を抱き抱えている存在が常に私と相反する属性の魔力を送っているからだ。
「サ・・・サ、ディ・・・。」
「っ!ティティ!気がついたんだね!」
ずっと魔力を送っているサディアと目が合う。彼もずぶ濡れで彼が私を湖から引き上げてくれたんだろう。
でも、天井を見る限り拠点のテントではなく岩肌が見える。
「すまない・・・拠点には戻れなかった。森の嵐がやってきて、咄嗟に洞窟の中に逃げ込んだんだ。でも彼女達は無事だ、拠点の部下達が保護した。」
その言葉にホッとする。が、いまだに寒い身体に震えが止まらない。
湖から近い場所の洞窟なのだろう・・・魔力がいつまでも纏わりついていまだ身体が凍りついたままだ。
サディアの服も凍り始めているのが見えた。
彼まで凍ってしまう・・・ここから、離れないと。
「サディア・・・。」
か細い声でティティルリアはサディアを呼ぶ。
「わ、私の胸元の鍵・・・取って。」
「これか?」
ティティルリアの胸元に下げている鍵をサディアは持ち上げ彼女に見せる。
なんとか手を伸ばしサディアの手の上に乗せる。
「このまま・・・壁に差し込んで。」
「!アーティファクトか!」
ティティルリアが何をしようとしているのか理解したサディアは彼女を抱えて立ち上がると岩肌の壁までなんとか移動する。ティティルリアは小さな声ではあったがなんとか言葉を紡ぐ。
鍵の先端は壁に当たることはなく光を放ちながら壁へと沈み込んでへいくと、開錠の音が鳴った。
同時に岩壁ではなくドアが現れる。
「・・・早く、中に。」
ティティルリアの言葉にサディは躊躇なくドアノブを捻り、光の中へと入っていった。
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