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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は2/1(土)投稿予定です。
「ね、ねぇ・・・本当に持ち場を離れて大丈夫なの?」
「やっぱり戻ったほうが・・・。」
「大丈夫よ、今だって嵐の兆候が出ていないんだから。ちょっと水浴びするぐらいの時間はあるわよ。」
ずんずんと気にせず湖の場所まで向かう女性騎士に内気な女性騎士はオドオドして優柔不断な態度にフンッと鼻を鳴らした。
同じ所属ではあるがどうもこの子とは馬が合わないが、優柔不断な分自分勝手に振る舞えたので行動を共にする事が多かった。
何でサディア隊長は私じゃなくてあんな子供の言うことを聞くわけ?!
彼女が未だむしゃくしゃしている原因を思い出し顔を歪ませる。
ずっと憧れだったサディア隊長。誰よりも美しい容姿を持ち貴族の地位も申し分ない人物。
学生の頃から彼をずっと見てきた、だから親のコネを使ってまで騎士に入ったって言うのに!!
騎士は騎士でも彼と部署が違えば会う機会なんてほぼ無い。だから、今回の遠征には運命を感じたのだ。
きっとこれは私と彼を引き合わせるための必然なのだ!
そう思っていたのに・・・何故か彼の隣には殆どあの平民の隣にいた。
気に食わなかった。
平民という事もそうだし、何より彼の部署に配属しているタルネ達の言葉を聞いてしまったのだ。
隊長と彼女は知り合いで、彼は彼女のことを何年も想っているとーーー。
「そんなの信じられない。」
あの子供のままの大人ではない、しかも平民に?
貴族である私があんな子供の姿の女に?
「あぁもう!汗でベタつくし気分も最悪だわ!」
「待って!!」
悪態をついていた時だった、騎士の女性達は振り返る。
そこには息絶え絶えなティティルリアの姿があった。
「はぁ・・・はぁ・・・一体どこに行くの!早く拠点へ戻って!」
必死な形相で言うティティルリアに内気な2人は互いに心配になり顔を見合わせたが、1人だけティティルリアの言葉に鼻で笑った。
「どうしたんです?植物博士様?」
「さっき話していたでしょう?もうすぐ森の嵐が来ます!危険ですから戻って結界の中にいないと!一体何をしにここまで来たんです?!」
「へぇ〜そうなんですね〜。」
真剣に耳を傾ける気がない彼女にティティルリアは怪訝な顔をした。
「貴女方はどこに行くつもりなんです?本当にもう危険がここに来ようとしているんですよ?」
「何って、ちょっと水浴びに行くのよ?大丈夫すぐ戻るわ。」
「水浴び?この湖で?正気ですか?!」
危機感のない身勝手な理由にティティルリアも怒気が強まる。
「この湖は生きているんです!普通の水じゃない!おまけに嵐の影響で魔力の質も濃く変わっている!死にたいんですか?」
「もう!いちいち指図しないでよ!ちょっと汗を流すだけよ!」
「だから!それ自体が駄目だって。」
「あぁもう五月蝿いな!!良い加減に!!」
彼女が踏み込んだその時だった。左足が滑り彼女の体が大きく傾いた。
そして、そのまま湖の中へと意図せず入り、湖の中へと沈んでいった。
その光景でティティルリアは顔を真っ青にさせた。
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