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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は12/28(土)投稿予定です。
追記 すみません、思っていたより年末忙しい為更新が遅れております。次回1/4(土) 投稿予定となります。ご了承ください。
暫くして森の中へと入っていった一行は時折魔物の襲撃があるものの、順調に進んでいった。
そこはさすが騎士である。
私が特に何をすることもなく感知すれば統率の取れた攻撃で特別混乱を招くことなく魔物を狩っていく。
何よりーーー。
「わぁ!隊長の魔法やっぱりすごいですねぇ!」
ふとある場所に目を向ければ、魔物だけを燃やし尽くしているサディアの姿があった。
本来であれば辺り一面焼き尽くされてもおかしくない魔法力だというに、絶妙な調節で草木一本も焼かれていない。
「剣さばきも凄いのに魔法の扱いもピカイチなんて!流石だと思いませんか!」
ジッと見ていた私にキャイキャイとハイネは私に同意を求めるように言ってくる。
「・・・まぁ・・・そうですね。」
「?ティティルリアさん、なんだか元気がないですか?」
「ちょっとハイネ!なんであんたここにいるのよ!持ち場は?!」
「え?!えぇ〜っと。」
しどろもどろにしているハイネを見て、タルネははぁっとため息を吐いた。
「ったく、ちゃんと持ち場に戻りなよ。隊長に怒られても知らないからね!」
「え!えぇー!!そんなぁ、先輩もちょっとは乙女心考えてくださいよぉ〜。それにほら!ティティルリアさんの隣を守るのも立派な役目じゃないですかぁ〜。」
「それ、隊長直々に言ってみなさいよ。秒で剣抜かれるわよ。」
「ひぇっ!」
「・・・なんでそこで剣を抜くのか分からないけど、ハイネさん、ちゃんと持ち場にいませんと。」
ティティルリアの言葉にしゅんとしたハイネが持ち場へいくと、タルネがこちらを向く。
「で。何かあった?」
ハイネがいなくなった後直球で聞いてきたタルネに思わず面食らう。
「んー・・・あるといえばあったし、無いと言えば無い・・・かな。」
「ということは何かあったのね。」
ズバッと迷いなく言い返すタルネに曖昧に笑う。
こういう風に直球で言う彼女は何か確信めいたものがあるからだ。例えば私が落ち込んでいると分かっていたりとか。
「何年親友やってると思っているのよ?分かるわよそれくらい。」
「・・・そっか。ねぇタルネ、聞きたいんだけど。」
「何?改って。」
「隊長ってやっぱり人気なの?」
「え?・・・あぁ。」
どこか腑に落ちたのかタルネは周りを見やった後、サディア隊長の方へ目を向ける。
同じようにしてみれば、彼に何か飲み物を持って行っている先ほど自分に言ってきた女性騎士の姿が見えた。
「確かに人気よ。でも、だからって別に女にチヤホヤされて浮かれるクズ男じゃ無いわよ。」
まぁそうだから人気なんだろうけどとタルネはつけ加える。
「ねぇ、ティティルリア。」
「何?」
「何言われたのか大々想像つくんだけど、それでももう少しさ、サディア隊長を見てあげてよ。」
「え?」
「そうじゃ無いと隊長、ちょっと可哀想だよ。もう分かってるんでしょ?ハイネは婚約者じゃ無いってことも。まぁ今更私はどっちに転んでも良いけどさ。」
立ち去るタルネの後ろ姿にティティルリアは思いため息を吐き地面を見た。
「今、そんな事実言わなくても良いじゃん。」
タルネの容赦ない言葉にティティルリアは愚痴をこぼした。
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