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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は11/30(土)投稿予定です。
ティティルリアが危機した通り、道中で面倒な事が起こり始めた。
主に例の隊長によってだ。
まぁ一言で言えばセクハラセクハラセクハラの一言である。
所構わず女性騎士に対してセクハラを無遠慮にしている。
おかげで女性騎士の殺伐とした空気が漂い、常に張り詰めた状態を作り出していた。
「もう!一体あの人何を考えているのよ!」
「ちょっと、もう少しお声を落としなよっ!」
「だって〜!!」
今日もまた愚痴か・・・。
隣のテーブルに座って食事をしている顔見知り程度には覚えた女騎士が不満を口にしているのを聞きながら提供されたスープを口に含む。
「まぁた例の隊長の愚痴?もう聞き飽きたわ。」
一緒のテーブルに座ってスープを啜っているタルネも呆れた様子で口にする。
「今日は何を言われたんだろうね。」
「『今日はどこで洗濯するつもりだ?』だそうですよ。」
トレーを手に持ち、当然のようにティティルリアの隣にハイネは座りタルネに言葉を返した。
「それって業務連絡じゃないの?」
「その時彼女達服で隠していたけど洗濯する下着も持っていたんですって。絶対確信犯ですよ!彼女達が持っているのを分かってあえてそんな事を言ったんですよ!そもそも男性が女性にそんなこと言うのがアウトですよ!」
プリプリと怒りながらパンをちぎって口に入れるハイネを見て、怒っていても所作が綺麗なのはやはり貴族だからなんだろうなと何処か冷めた目で見ていた。
「男性が28人女が14人。男性が多いけど昔と違って女性騎士の志願は増えているんですから、いい加減男社会の空気は控えるべきですよ!ねぇ!ティティルリアさんだってそう思うでしょ?!」
「え?私?」
急に話しを振られティティルリアはどう返答すべきか迷う。
正直依頼は受けて仕事をこなしてきた身ではあるが、他人と一緒に仕事をした事がなく常に1人で行っていたティティルリアにとっていまいちピンとこない質問だ。
「うーん・・・正直よくわからないけど、自分が自由に仕事できないのって大変なんだようなとは思う。」
「そうでしょ!そうでしょ!」
「こら!ハイネ!あんたティティに絡みすぎ!それに変な質問はしないの!困ってるでしょ!」
「うっ・・・はーい・・・。」
タルネの叱咤にハイネはしゅんと肩を落としもそもそと食事を再開する。
そんなハイネに小さくため息をこぼした後タルネはティティルリアの方を見る。
「ごめんねティティ、変な事を聞いて。」
「あぁ別に大丈夫だよ。でも、正直ギスギスした状態だし早くこの依頼が終わればいいね。」
「ん、そうだね。それはそうと、明日には例の森に行かないと行けないし、早く寝ないとね。」
「うぅ・・・遠征訓練の時毎回思ってたし今回もだけど、テントって寝心地悪いんだよねぇ。」
「ハイネはすぐ文句言う!ティティなんか全然文句ひとつも言わないのにいい加減慣れなさいよね。」
「まぁ、私は旅に慣れているし初めの頃私も慣れるのに時間はかかったから。」
怒られさらに肩を落としたハイネを見て不憫に思ったティティルリアは柄にもなく励ました。
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