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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は11/23(土)投稿予定です。
サディアの後ろへついていくようにその問題があったとされる場所へと向かうと2人の騎士が睨み合っている状態だった。
「良い加減にしてもらえないですか?!隊長は少々女性を軽んじています!」
1人は名前を知らない騎士でいかにも誠実そうな青年であり、そんな彼を見下ろし見下ろしているのは出会った当初からあまり印象の良くないバキだった。
青年は見たことがない顔だから恐らく彼の隊の騎士の1人だろう。
今にもくってかかりそうな彼に周りの騎士が宥めているようだった。
「なんの騒ぎだ。」
サディアの声にバキ以外の人間がこちらを向く。
「チッ、んだよ良いところで。」
ぼそりと言ったバキの言葉に青年は剣幕なまま睨みつける。
「それで、何が原因だ?タルネ。」
近くで様子を見ていたタルネにことの詳細を聞くとタルネはサディアの方へ駆け寄り耳打ちをする。
そしてタルネの説明を聞き終えたサディアは眉間に皺を寄せ不快感を露わにする。
一体何をしたんだこの人?見るからに良くない事をしたのは十中八九間違いがないと思うけど。
「んだよ、冗談だぜ?冗談。」
サディアの顔を見て鼻で笑うバキに対し、周りを囲んでことの成り行きを見ていた女性の騎士達の視線が一段と冷たくなったのがわかる。
「ただそいつに俺のテントに夜に1人で来いって言っただけだぜ?別に他意は無い、なぁ?」
バキの視線の先には女性騎士がびくついているのが見え、その彼女を庇うようにハイネが庇っているようにも見えた。
ヘラヘラしているバキにサディアは小さくため息をする。
「バキ隊長、少しこちらへ。他の騎士達はそのまま作業を進めろ。」
サディアの言葉に不満の声が上がりそうになったが、サディアの冷たい視線に誰もが口を噤んだ。
「チッ・・・しゃあねえな。おい、お前。」
胡乱げに見やるバキに楯突いていた青年が睨みながらバキの方を見る。
「今回は不問にしてやるが、次やったら容赦しねぇから覚悟しとけ。」
そう吐き捨てるように言ってバキは踵を返し、サディアとともに建てられた天幕の中へと入っていった。
隊長2人がいなくなった事に周りの騎士達の張り詰めていた空気が緩むのをティティルリアは感じる。
「あぁ・・・どうなるか分からなくてもう怖かった。」
疲れたようにタルネが大きなため息をしたので、ティティルリアは彼女の騎士のマントを少しだけクイッと突いた。
「ねぇ、タルネ一体何があったの?」
なんとなく嫌な事だと言うことしか分かっていないティティルリアが聞くとタルネは一瞬だけ伝えるべきか躊躇したが、すぐに何があったのか聞かせてくれた。
曰く、先ほどの女性の騎士にバキがいちゃもんをつけていたらしい。それで口論になった後あの威圧的な態度を見せ女性を怯ませたらしく、見かねた青年の騎士が間に入ったというわけだ。
「正直、あの人の態度は昔から褒められたことはないから、ちょっと何が原因なのか判断しにくいけど・・・まぁ、ね。」
言葉を濁したタルネに相槌をしつつ、ティティルリアは彼らが入っていった天幕を見、もう一度彼女の方を見る。
どうやら、私が思っているより面倒が多いのかも。
一人旅の方がどんなに良かったかとティティルリアは集団行動特有の調和の面倒くささにため息を溢した。
「」
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