27
いつも読んでいただきありがとうございます。次回は10/19(土)投稿予定です。
「あ!おはようございます!ティティルリアさん!あ!ティティルリアさんって呼んでも?」
駐屯地の広場へいくと目立つピンク色の髪を靡かせて笑顔で挨拶してきた彼女に対し、分からないようにため息をする。
そんな風に周りの人間に言ったら断りにくいと知って言ってきているのか?
「名前呼びで構いませんよ。」
本当なら嫌だけどなと、ティティルリアは大人な対応をする。
そう言えばパッと花が咲いたようにハイネは微笑む。
「ありがとうございます!私の事はハイネと呼んでください!」
「え?あぁ・・・はい。」
思わず彼女に押される形で頷くと、彼女は満笑みで喜ぶ。
・・・まぁ、良い子ではあるんだろうなぁ。
自分には出来ない屈託のない笑みを浮かべられる子、そんな子だからサディアの婚約者になりえたのかもしれない。
「へぇ、そこにいるのはハイネじゃねぇか。」
「え?・・・・なんの御用ですかバキ隊長。」
そんなことを思っていると、急にやって来た男を見た途端冷たい表情に低い声色で返事をしたハイネに思わずティティルリアは驚いて彼女を見た後、バキと言われた男の顔を見る。
隊長もあってか身嗜みは良いが彼女を見るニヤニヤとしたイヤな目つきにティティルリアは生理的に受け付けられない何かを察し、彼女も同じなのだろうとそう思った。
今まで何度も見た事があるけどこういう男は大抵女を下に見ているかそれ以下の事を考えている目だ。隊長って言われてたけど・・・確か、別部隊と合流して今回の件に当たるって前の会議で聞いてはいたけど・・・その部隊の隊長かこの人?
「なんだよつれねーなぁ。お前と俺の仲じゃないか?」
「そんな親しい関係ではないと記憶しておりますが?」
明らかな拒絶の言葉にバキは気分を害したような顔をしたが我慢しているのかひくついた笑みを浮かべたままだった。
「そんな事を言うなよぉ?な?今夜でも美味しい酒奢るからさ。」
こいつ、本当にこんなのが隊長なわけ?
下心丸見えなバキの様子にティティルリアも呆れ、これ以上は彼女が可哀想だと彼女の袖をクイっと引っ張る。
「ハイネさん、そろそろ備品の再確認しないと間に合いませんよ?」
「え?あぁそうね。」
咄嗟の事にハイネは合わせてくれたと同時に頭上からの視線に気がつく。
「なんだよこの餓鬼。」
「この方はティティルリア=スペンサー、彼女は今回の植物採取に協力してくれる方です。」
「あぁ、あの。へぇ本当に餓鬼なのか、というか平民かよこいつ。」
「さっきから・・・良い加減にしてくださいませんか?」
明らかな侮蔑の言葉にティティルリアよりもハイネが口を開く。
「明らかにその言葉はティティルリアさんに失礼です。彼女はれっきとした大人の女性ですし差別発言も看過できかねます!」
「んだよ、そんな風に言わなくたって良いだろう?それにこれで大人かよ?あぁ!ちんちくりんな身体だけどあっちで上手いってことか?」
「!良い加減にっ「何をしている?」っ隊長!」
振り返るとそこにサディアが立っており、ここでバキの余裕の顔が苦虫を噛んだような顔に一瞬だが変わった事をティティルリアは見逃さなかった。
「いいえ、ただ挨拶をしていただけですよー、では私はこれで。」
そそくさと逃げるようにバキが向こうへ行くのを見つめながら、ハイネはイラついた目をして彼を見ていた。
「大丈夫か?何か揉めていたようにも見えていたが。」
「えぇ、本当、隊長が間に入って来てもらえてよかったですよ。あの後もずっと話してたら始末書ものです。それより、ごめんなさいティティルリアさん、あの男の侮辱な発言。」
「何?侮辱?何を言われた?」
先ほどとは打って変わり、サディアの顔も険しくなるのを見て、ティティルリアは慌てて口を開く。
「いや、別に気にしてないから大丈夫ですよ。」
「でも。」
「本当です、変な人や気にもしてない人に何を言われても何も思わないので。」
「ティティルリアさん!」
いや、なんでそこで君が好感度上がるの?
自分が言った言葉になぜかハイネが目をキラキラさせてこちらを見る様にティティルリアは思わず困惑した。
いつも読んでいただきありがとうございます。