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いつも読んでいただきありがとうございます。次回は10/5(土)投稿予定です。


「え?・・・待って。食事?食事ですか?」


思わず、ティティルリアは自分の壁にある鳥の絵の壁時計を見やる。現在の時間午前7時である。

とてもではないがこの時間に約束も無く、加えてこの時間に食事に行くなんて普通はありえない。


・・・今度は違う意味で頭が痛くなってきた。


「あの・・・、もしかしてそれは・・・今からと言う事ですか?」

「そうだか?」


即答で言われ、ティティルリアはますます項垂れる。

なんで日頃から避けている人と食事に行かなくては行けないのか?しかもこんな朝早くから、更に言えば殆ど朝はコーヒー一杯で済ませている事が多い自分が?である。


「もしかして予定があったのだろうか?」


予定云々以前の問題だわ!!


思わずそう言いかけた言葉をグッと我慢してティティルリアは深く息を吐いた。

「も、申し訳ないんですが、私は朝食は食べないんです。」


怒鳴りたい気持ちをグッと押し留めて絞り出すように俯いてそう返す。


・・・・・・何も言い返してこないな?


いつまで経っても何も言い返してこない彼に、ティティルリアが顔を上げて視線を向けてギョッとする。

思いっきり目を見開いてる・・・しかもなんでか姿勢が無駄に良いんだけど。


ピシリとまるで背中に板でも入れているのかと思うぐらい微動だにせず、目が見開いたままだ。

・・・え?無駄に綺麗な顔をしている分、迫力があって怖いんだけど。


「・・・話しが違う。」

「え?話しが違うというのは?」


ポツリとこぼした彼の言葉を聞き返すと、彼はハッと我に帰ったようにこちらを見た。


「いや・・・部下から朝よく食べに行くと言っていたからてっきり君は朝食をするものだと。」

「え?あぁ、それは徹夜明けというか仕事が朝納品ですからその時は朝というか夕飯みたいな感覚でいるからといいますか・・・。」


言ったの絶対タルネだな?と思いながらもサディアにそう答える。

と言うか・・・。


「あの、そんなに誰かと一緒に食事したいなら貴方の婚約者さんと一緒に行けばいいと思うんですが・・・?」

「は?」


え?今度は凄く真顔なんだけど。

婚約者の事を言われて不快だったのか表情が一切無くなりティティルリアは素直に怖いと感じた。



「あ、いや。君に怒ったのではない・・・。」

慌ててそう言うが、ティティルリアの顔を見て立ち上がる。


「今日はこのまま失礼するよ。」

「え?・・・はい。」

そう言ってスタスタと玄関へ向かう彼がピタリと足を止めた。

「因みに、僕の婚約者って言った女性って誰かわかる?」

「え?確か貴方の部下でピンクの髪の「ありがとう、特定出来た。」」

そう言ってサディアは振り返りもせず部屋を後にする。

急にやってきて急に帰っていった彼を見て、ティティルリアは物凄く疲れた顔をした。

「本当・・・一体何だったわけ?」


嵐のように去っていった今はもうここにいない彼にティティルリアは帰ってくるはずのない問いかけを思わず呟いた。



いつも読んでいただきありがとうございます。

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